うる星やつら チェンジ・ザ・ライフ 最終章 幻 (Page 3)
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 (これにかけるしかない)と思い、道具を握りしめボタンを押した。するとあたるの周りの空間が歪みあたるの体は別の空間に入った様な感じだった。しかし、あたるからはまわりの景色は見えていた。あたるはそのまま動いてみた。すると、あたるの体は別の空間から出てくる様に元の空間に戻った。あたるは
 (なるほど、本当に動いたらすがたが見えちまうみたいだな)と思った。そしてあたるは大きく深呼吸をすると自分に出せる最大の大声で
 「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」と叫び、すぐさま道具のボタンを押した。
 いきなりのあたるの叫び声に見張りの男は驚き、慌ててドアの鉄格子から中を見た。しかしそこにはあたるの姿は無かった。見張りは我が目を疑ってもう一度部屋中を見たが、やはりあたるの姿は無い。見張りは慌ててどこかに走って行った。多分誰かを呼びに行ったのだろう。あたるはドアの所に行くと鉄格子越しに外の様子を伺った。すると間もなく廊下の先から誰かが走って来る足音が聞こえてきた。あたるはドアのすぐ横で再び道具を握りしめボタンを押した。あたるの姿は一瞬にして消えた。
 足音はすぐにドアの前まで来て誰かが部屋の中を鉄格子越しで覗いた。すると見張りの男が中を見ている男の後ろから
 「突然叫び声が聞こえたと思ったら消えていたんです!」と言った。どうやら男はこの施設の責任者らしい。責任者らしき男は見張りの男に言った。
 「おい、ちょっとドアを開けてくれ」見張りの男はすぐにドアの鍵を開けた。責任者らしき男はドアを開くと部屋の中をみわたして言った。
 「この部屋に居た男は、何か能力を持っていたんだよな?」それを聞いた見張りの男は
 「ええ、そう言ってました」と言った。すると責任者らしき男は呆れた表情で
 「その口調からすると、どんな能力かは聞いていないらしいな」と言うと部屋の中に入って来た。見張りの男も
 「申し訳ありません」と言いながら後に続いた。二人が部屋の中央あたりまで進んだ時あたるは音をたてない様に注意しながらドアに向かい、ドアから出ようとした時背後から
 「あ!」と声がして、あたるが振り向くと見張りの男と目と目が合った。男の声に責任者らしき男も振り返りあたるを見て、見張りの男に言った。
 「何してる!早く捕まえろ!」見張りの男は
 「は、はい!」と言うとあたるに向かって来た。それを見てあたるは
 「やばい!見つかった!」と言うとダッシュで逃げ出した。すると責任者らしき男は見張りの男に
 「すぐに追え!」と言うと、隔離部屋の外に設置してある非常ボタンを押した。その瞬間施設内には、けたたましい警報が鳴り響き、それを聞いた者が集結し始めた。
 その頃ラムの部屋に居た泉とラムも警報を聞いていた。そしてそれを聞いた泉は
 「やった!諸星君がやってくれた!」と言った。それを聞いたラムは
 「当然だっちゃ、ダーリンなら絶対にやってくれると思ってたっちゃ」と言い笑顔を見せた。しかし泉は心配そうに
 「後は、諸星君が捕まらない事を祈るだけだ」と言った。しかしラムは余裕の表情で言った。
 「それなら心配いらないっちゃ。ダーリンの逃げ足は天下一品だっちゃ。それはうちが保証するっちゃ」それを聞いた泉は
 「ラムさんがそう言うなら、心配いらないね。じゃあ、僕達は通信室に向かおう!」と言った。
 ラムと泉は、平静を装って通信室に向かった。廊下は逃げたあたるを探す連中が右往左往している。みんなあたるを探すのに夢中でラムと泉の事を気にする者は居なかった。ラムと泉は順調に進んで行き、ついに通信室の近くまで来た。廊下の角から覗いてみると、通信室の前には見張りが二人いる。それを見て泉が言った。
 「見張りは二人か…中にも居るかもしれないから、あの二人はできるだけ静かに倒さないとだな」するとラムが
 「うちがあの二人を電撃で気絶させるっちゃ」と言った。それを聞いた泉は
 「じゃあ、僕はその隙に中に入り誰か居たら倒すよ」と言った。そしてラムはブレスレットを外すと両手に電気を貯め、二人の見張りの所に飛んで行き見張りがラムに気づくと同時くらいに電撃を放つと、二人の見張りは一瞬で気絶して倒れた。まさに瞬殺である。
 泉は少し遅れてドアの前にたどり着き、ゆっくりとドアを開けて中を確認した。幸い通信室の中には誰も居らず泉とラムは通信室の中に入って行った。
 その頃あたるは道具を使いながら逃げ回っていたが、突然道具が壊れたのか姿を消す事が出来なくなった。しかし、そこは天下一品の逃げ足を持つあたるだけあって簡単には捕まらない。あたるは逃げながら後ろを振り返ると、追って来ているのはざっと数えても50人近く居た。それを見たあたるは
 「泉のやつ!何が20人だ!」と言いながらちょこまかと廊下を曲がりながら逃げ回っていると、前からも追っ手が迫って来た。あたるは立ち止まり
 「万事休すか」と呟いた。

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