うる星やつら チェンジ・ザ・ライフ 最終章 幻 (Page 6)
Page: 01 02 03 04 05 06

 「な、なんと言う事だ…あれほど恐ろしい物は見た事が無い…」と言って、倒れた。それを見た泉は
 「ラムさん!」と言うと、ラムと一緒に通信機でデータを銀河パトロール本部に転送した。すると、間もなくどこからともなく何人もの銀河パトロール隊員がやってきて倒れている組織の人間を連行し始めた。そして、責任者も手錠をはめられ連行された。
 そんな中、泉は言った。
 「皆さん、本当にありがとう。現時点で判っている組織の拠点は全て制圧。これで事実上組織を壊滅する事ができた」だが、誰も泉の話を聞いていない。その訳は、あたるが弁天、ラン、お雪を追い回し、そんなあたるをラムが追い回しているからだ。その光景を見た泉は、肩を震わせて突然大笑いを始めた。
 「あーははははは!やっぱり、諸星君とラムさんはこうでなきゃ」そんな泉をよそにあたるは弁天に殴られ、ランにバズーカを撃ち込まれ、最後にお雪に首から下を氷漬けにされた。そしてそんなあたるにラムは
 「ダーリン!いい加減成長するっちゃ!覚悟はいいっちゃね?」と言うと、バチバチと放電を始めた。それを見てあたるは
 「ま、まてラム!俺はただ弁天さまとランちゃんとお雪さんにお礼をしようとしただけだ!」と言ったがラムは
 「あれは、どう見てもお礼をしようとしてる様には見えなかったっちゃよ」と言い、そして
 「覚悟を決めるっちゃ!」と言った。あたるは諦めた様に目を瞑り覚悟を決めた。そして次の瞬間あたるは唇に柔らかいものを感じた。あたるが目を開けると、ラムがあたるにキスをしているではないか。ラムはあたるの唇から自分の唇を離すと、氷漬けのあたるに抱きつき
 「ダーリン…うちの事見つけてくれてありがとう。うちのブレスレットを外す為に頑張ってくれてありがとう。そして何より、うちを覚えていてくれてありがとう」と言った。そんなラムにあたるは照れながら答えようとしたが、何故か声が出ない。ただ口がパクパクと動くだけで声にならないのだ。それを見てラムが
 「ダーリン?どうしたっちゃ?」と聞いたが、やはりあたるは声が出ずただパクパクと口が動くだけだった。するとラムは慌てて
 「ダーリン!苦しいっちゃ?」と言うと、弁天が来て
 「ラム!どけ!」と言うと、正拳突きで氷を殴った。すると氷はバラバラに砕け散った。ラムはすぐにあたるを抱き起こすと
 「ダーリン大丈夫だっちゃ?」と聞いた。あたるは動こうとするが体がまるで自分の物では無い様に動かない。すると、その様子を見た泉が
 「もしかすると、諸星君の意識の中にはまだ過去の彼の意識が残っているのかも…いや、体が動かないみたいだし逆かもしれない」と言った。それを聞いたラムは
 「どう言う事だっちゃ?」と聞くと、泉はあたるを見つめながら言った。
 「多分、今の彼の意識は過去の諸星君の意識だと思う。だから、思う様に動けないんだ」するとラムは
 「じゃあ、本当のダーリンの意識はどこだっちゃ?まさか過去に?」と言った。しかし泉は
 「いや、それは無いとおもう。多分過去の諸星君の意識が過去に戻れば、元通りになるはず」と言った。そして、更に泉は言った。
 「おそらく、今体が動かないのは過去の彼の意識が過去に戻りつつ有るからだと思うよ」それを聞いたラムは
 「そう…複雑な気持ちだっちゃ。でも、うちの事を助けてくれたのはきっと過去と現在の両方のダーリンだっちゃ。多分過去のダーリンの未来は違う未来だろうけど、うちは忘れないっちゃよ」と言うと、あたるに微笑みかけた。そんなラムの目には涙が浮かんでいる。あたるはそんなラムを見て
 (泉の言う様に、俺が過去の俺だとしても、お前とのこの経験は忘れないからな)と思った。そしてあたるはラムの腕の中で深い眠りに落ちた。

 あたるはゆっくりと目を開けると、目に入ったのは見慣れた天井。あたるは起き上がると周りを見渡した。そこはあたるの部屋だった。おもむろにあたるは自分の唇を触った。まだラムの唇の感覚が残っている様な気がする。あたるは
 (ここは、過去か?いや、俺にとっては現代か…)と思うと、ラムの寝ている押し入れの襖に手を伸ばした。しかし、寸前で手を止め
 (ラムが居ないなんて事無いよな?)そう思うと、それ以上動く事が出来なかった。するとその時
 「ダーリン」と窓の方から声がした。あたるはすぐに振り向くと、そこには虎縞ビキニ姿のラムが窓枠に座ってこちらを見ている。その顔は優しい笑顔で満ちていた。あたるは思わず
 「ラム…」と呟いた。するとラムはあたるのそばに寄ると、そっとあたるを抱きしめて
 「おかえり」と言った。あたるは涙がこぼれそうになるのを必死にこらえた。

                 END

Page 5 [Page End]
戻る
Page: 01 02 03 04 05 06