死闘!メガネVS面堂軍団!!(1) (Page 1)
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月が雲に隠れるのを待って、門の横の壁から潜入を開始した。
カクガリの肩に立ったパーマを梯子代わりにあたるとチビが壁を乗り越え、向こう側に
降り立つ。
やがて巨大な門扉の横の潜り戸が二人によって開けられた。幸いにも正門の警備員は少
し離れた詰所に居るらしく見当たらない。
詰所前の立ち木の影まで前進してチビに目配せをする。うなずき返したチビは慎重に窓
の下まではい寄ると中の様子を窺う。
チビは、小心で臆病な所があるが、言いかえれば用心深く不信な気配に敏感だと言うこ
とだ。この様な役にはうってつけである。
やがてチビが詰所の中を指差し、次いで三本の指を立てる。三人中に居ると言う意味だ
ろう。頷き返すと、OKのサインを作ってからこちらに来いと手招きをした。
巨体にものを言わせたカクガリのタックルがドアを吹き飛ばすと一斉に室内に踏み込
む。
「動くな、動くと撃つ。壁に向かって立て」
あたるが銃を突きつけ相手の動きを封じる。
完全に不意を付かれた警備員はなすすべもなく抵抗を諦め、壁に手を付いた三人の警備
員を私とパーマにカクガリで武装解除にかかる。
ここまで順調に事は進んでいる。いや順調すぎたのかもしれない。私は重大なミスを犯
した。
「あれは宇宙人の玩具でな、破壊力はTNTの非に有らず・・・」
警備員の身体を調べて最中に声をかけてしまったのだ。
「玩具が怖くてパパになれるか」
振り向き様の一撃で床に倒される。無駄口はせめて武装解除後に手足を手錠かロープで
拘束した後にすべきであった。
しかし、そんな事も考える暇も無く相手は攻撃を繰り出してくる。
パーマに踊りかかった一人を引き剥がそうとカクガリがその後ろから絡みつく。
あたるは敵味方が入り乱れて拳銃を撃つに撃てず天井に向けて威嚇射撃を行った。
銃身から赤い閃光と共に軽快な電子音が発せられた・・・。が、別に天井は吹き飛ばさ
れも焼け焦げる事も無く相変らずそこに存在していた。
本当に「ガキの玩具」であったのだ。
警備員は一瞬動きを止めたが、危険が無いと判断するとあたるに殴り掛かる。
サスガは訓練を受けた人間である、強化服に身を包んだ打撃戦は不利と見て寝技に持ち
込み関節を決めに来た。それでもアーマーが邪魔で完全に極まらないと次の技に移行し
ていく。反撃はおろか防ぐので精一杯であった。
あたるやパーマも押されぎみだ。形勢は逆転しつつあった。
我々の中でチビだけがフリーの状態であったが突然の成り行きに状況判断も出来ず、た
だオロオロとしている。定時連絡のためか鳴り出した壁の電話機を反射的に取り上げた
チビは我に帰り、コードを引き千切ろうとして電話機ごと床に落とした。
相手側も詰所の異常に気が付いただろう。ますます形勢は不利に成った。
「チビそこのライフル」
あたるの応援を求める声にチビは傍らの銃架の小銃に手を伸ばした。
銃を手にした事が無い者が突然敵と遭遇した場合に、銃を撃たず棍棒の様に振り回す事
が有ると何かの本で読んだ事が有るが、今のチビが正にそれであった。頭上にライフル
を振り被ると突進していく。
だが、銃を振り下ろす前に先程あたるの落とした玩具を踏み砕いた。
強烈な閃光と共に瞬間的に開放されたエネルギーは爆発を引き起こした。
やはり宇宙人の玩具は侮れない。
怯んだ相手の無防備な顔面に拳を叩き込み、膝から崩れ落ちた所へ止めの蹴りを入れ勝
負を付ける。あたるやパーマ達も何とか敵を制圧し終えた様だ。
チビはショックで気を失っているが、特に怪我は無い。もう少し寝かしてやることにし
う。
「な、何だ」
あたるが何か言いたそうにコチラ睨んでいる。
「この、お喋り。余計な事を言いやがって」
「何を、お前こそ本当に玩具を持ってきてどうするつもりだったんだ」
あたると暫く睨み合っていたが、やがてどちらからとも無く噴き出した。
パーマも笑いながら。
「まあ、作戦の第一段階は成功だな。使えそうな物を頂いて次に行こうぜ」
「そうだな、アチラもここの異常に気が付いた事だろうし、急いだ方が良さそうだな。
俺とパーマは武器や他に役立ち相な物を探そう、あたるとカクガリはこいつらを念の為
に縛り上げてくれ」
ロッカーの中に有った警備員の私物らしいキャンバスバックの中身を床にぶちまけ、ロ
ープや邸内の地図など役に立ちそうな物を詰め込んでいく。
「メガネ、こりゃ何てライフルだ。ゴルゴが使ってるのとは違うようだが」
チビが先程放り出したライフルをパーマが拾い上げて手渡して来た。
「俺も本物は始めてだが、これは面堂工業が自衛隊や海上保安庁なんかに下ろしてる
64式自動小銃ってやつだな。国産のアサルトライフルだ」
パーマに答ながらコッキングレバーを引いて薬室に弾薬が装填されていない事を確かめ
ると遊低を再び閉じ、銃口を上に向けて引き金を引いてみる。どうやら機能は壊れては
いない様だ。
「面堂の所はライフルも作ってるのか。自家製で間に合わすとは意外とセコイな」

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