二年目の決戦 (Page 2)
Page: 01 02 03 04 05 06

コースケの驚きに満ちた声が響いた。慌ててあたるがコースケの口を塞ぐ。コースケは気を落ち着かせ、あたるの手をどかせるとまたひそひそ
話で話した。
「それ、しのぶにも言った方がいいんじゃねえか?」
「・・・そうだな。しのぶちょっと・・・」
女子達と何かぺちゃくちゃ話していたしのぶにあたるは招き猫のように手を動かした。しのぶは友達に何か断ったよな素振りを見せるとあたる達
の所に早歩きで来た。
「なに?」
「実は・・・」
これもまたひそひそ話である。
「え・・・。それホントなの?」
「ああ・・・。最近よく学校帰りに見かけるんだ、あいつらを・・・。もしかしたら、二年前の決着を付けようとしてるんじゃないかって思った
んだが・・・」
「だから昨日はあんなに早く、それも空から・・・」
「恐らくあいつらのねらいはあたるを行動不能にする事ではないかと・・・。あいつらにとってあたるが一番驚異的な存在だからな。決戦前に始
末しようとかんがえてるんだろう」
「厳重な注意が必要ね・・・。他の仲間にも連絡しておきましょ」
「そうだな・・・」
メガネは三人が教室から出ていくのを確認すると親衛隊に招集を掛けた。
「どうしたんだ、メガネ?」
弁当を食っていたのかパーマの口元にはご飯粒がついていた。
「妙だと思わんか?」
「なにが?」
「あたるとコースケとしのぶだ。三人でひそひそ話をしたかと思うと今度は教室を出ていきやがった」
「そう言えば何か深刻な顔してたな・・・」
ドアの近くの座席であるチビが口を開いた。
「う〜ん、いったいこの友引高校に何が起ころうとしてるんだ?」
張りつめた空気がその場を流れた。
「何か共通点はない物か・・・」
メガネはぼそっとこんな言葉を口にした。それが決定打だった。
「そう言えば・・・あいつら・・・。六輝中学出身だ・・・」
「六輝中学って、あの・・・」
六輝中学は友引高校の学区にある中学校である。学力的には中であるが、生徒の活気が異常なほど高く、常に何かと先生と対立を起こし、毎日の
ように合戦が行われていた。
「しかし、六輝中学出身だからなんだというんだ?」
「さあ・・・」
またしても沈黙が続いた。
「お、あたるが帰ってきた」
あたるがコースケとしのぶを後ろに入ってきた。あたる達の空気は尋常ではなく、四組の視線の的であった。三人はまたしても窓際に集合し、何
か相談のような形で話し始めた。
「おい、あたる!」
メガネは強引に割り込みあたるの目の前に仁王立ちで立っていた。
「なんだ?」
「此処にいるのは全員六輝中学出身のようだが・・・」
どきっと言う音がその場に鳴り響いた。メガネは後ろの二人を見ると、二人は視線を逸らした。
(しっぽをつかんだ・・・)
さらに真相を追求すべく、メガネは質問を加えた。
「六輝中学は確か毎日のように合戦があったようだが・・・」
あたるの頬から汗が一粒流れ落ちた。
「説明して貰おうか」
しばらく力んだ顔をし、そして意を決したかのように肩の力を抜き口を開いた。
「よかろう・・・。いずれわかることだ」
あたるは一言いって窓を開けた。そしておおまかに景色を見ると外を見たまま続けた。
「六輝中学の合戦は生徒と教師の対立だと言うことは知っているな?」
「ああ、この学校と変わらんそうだな」
「そうだ。だが、俺たちの学年は違った」
外を見ながらうなずいた。
「どういう事だ?」
そして振り返り、視線を誰にも合わせず下を見ながら静かに続けた。あたるの話によると事の発端はの体育祭だった。その年の一年生は負けず嫌
いがそろっており、特にクラス対抗リレーは互いにライバル意識が激しかった。そして本番、戦いは熾烈を極めた。だが、無情にも一組から六組
まで同時にテープを切るはめになり、写真判定でも見分けはつきにくく同率首位と言うことになったが、生徒は黙っているはずが無く、本番終了
後激しい討論が繰り広げられた。それが原因で一組から六組は男女問わず激しく対立。廊下ですれ違うたびに火花が散っていた。そこで教師は一
年生だけ三年間クラス替えをしない事に決定した。だが、それでもその対立は毎日の合戦に至った。いつも放課後にグラウンド行われ、ルールは
学級委員を先に倒した方が、勝ちと言うものだ。だが、全クラス勝ち数負け数引き分け数全て同じだった。そこで二年に進級したあたる達四組は
、少しでも放課後の合戦に有利にすべくある作戦を立てた。
「作戦だと?平面なグラウンドに作戦などいるのか?」
「いや、普段の生活で精神的に追いつめることだ・・・」
あたるの眼球がくいっとメガネの方向へ変わった。
「精神的?」
「ああ、昼休み、食堂のオバチャンに紛れて、敵がやってきたら、ビューティーフーズ十粒、下剤大盛り、ダイナマイト、生きたままのピラニア
etc・・・。とにかく何でも入れ込んでやった。特に学級委員が来たら二倍にしてな・・・」
「過激なことするなぁ〜」
メガネ達は驚くと同時に関心もした。

Page 1 Page 3
戻る
Page: 01 02 03 04 05 06