二年目の決戦 (Page 5)
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あたるはラムが大広間を出ていくのを見ると窓の外を見て敵のおおまかな居場所を確認した。
「意外と近いぞ、急がせろ!」
だが、誰からも返事はなかった。振り返ると誰の姿も蔭も痕跡すらない。
「あの野郎!先行きやがったな!」
本来は複数形のため野郎どものはずだが、あたるの怒りは面堂のみにぶつけられていたため単数形となっていた。あたるは後を追いかけようと
自分でもわからないぐらいの速さで部屋を出ようとした。だが、わからない速度ではブレーキの加減もわからなかった。従って、廊下を出て、
右に行こうとしたが勢いのあまりほぼ直線で壁に激突した。そしてそのまま向こう側に倒れ、城の外にほっぽり出された。
「うわァ〜!」
ドーンと砂煙を上げながら、即立ち上がり門へ向かった。が、赤口商業の大群にぼてぼてに踏みつぶされた。赤口商業はあたるに気付かず、城
の中へと消えていった。あたるはそれを見届けるとトランシーバーをポケットから取り出し、ラムを呼び出した。
「ラム、最後に大黒柱を破壊しろ。終わったらそのまま逃げろ、いいな!?」
『わかったっちゃ』
その返事と共にごごご・・・と地響きがなり始めた。すると門の中から光る飛行物体が飛んできた。ラムである。ラムの無事を確認すると、
「これで、赤口は終わったな・・・」
と、捨てぜりふを履きながら、城に背を向けた。
「卑怯者ぉ!」
「罠だぁ〜!」
「ふざけやがってぇ〜!」
崩れる城から様々な悲鳴があたるの耳に届いた。あたるは少し立ち止まり、城を見ると何も言わず、再び歩み始めた。
「ダーリン!他の学校が崖の方から出て来るっちゃ!」
空にいたラムが城の左側に位置する崖を指さした。あたるは振り返り、目を凝らした。
「あれは・・・、仏滅か・・・」
あたるは再びトランシーバーを取り出すと今度は面堂に連絡した。
「城の左側の崖から仏滅高校の姿を確認。面堂部隊は正面を固めろ」
「いや、その必要はない!」
「なにィ〜!ど〜ゆ〜ことだ!?」
「いやな、あの城の地下には火薬が結構は言っていてな、それが爆発すれば周りは大惨事だ。それに周りには地雷群がある。ど〜ゆ〜ことかわ
かるか?」
あたるはトランシーバーの面堂の声を聞き、少し考え込むとラムに向かって再び命令を飛ばした。
「ラム、どこでも良い!地雷群のあるところに電撃をかませ!それで仏滅はTHE ENDだ!」
ラムはうなずくと両手をあげてクロスさせた。と、同時に青白く光り始めた。そして地雷群の方向に手をかざすとババババという音と共に、
電気の帯が地雷群を直撃した。そしてすさまじい爆発が連続して起きた。無論崖は大崩壊し、仏滅学園は崖と運命を共にした。
「おわぁ〜!!」
これで友引高校はほぼラム一人で赤口学園と仏滅高校を倒したことになる。しかし、友引高校に休む暇もなかった。
「ダーリン!砂煙が三本も立ってるっちゃ!」
「なに!?ってことは、先勝大付属、先負高校、大安学院全部俺たちを狙っていると言うことか・・・」
あたるは頭を悩ませた。三校も同時に戦える戦術があるだろうか、それを考えていた。しかし、アホの頭で考えられるはずもなく、パニック状
態に陥った。そのとき友引高校二百人が、のんきに手を振りながら走ってきた。
「どうした諸星、何を踊っている?」
面堂はこれまたのんきな質問をした。
「大馬鹿者!誰が踊っとるか!!」
木槌で面堂を殴った。
「そんなことをしとる場合ではない!残りの三校が全部せめてきやがった!総員第一級戦闘準備!」
友引高校の全員に指さした。しかし、あることに気付いた。三校相手でも勝てる方法を思いついたのである。
「そ、そうだ、チェリーを・・・」
「わしを呼んだかぁ〜?」
先ほどの爆発にも勝るものであった。あたるはぼろぼろになりながらもトランシーバーを取り出した。トランシーバーは生きているようである。
「ひ、被害状況を報告しろ・・・」
「こちらメガネ部隊・・・。約四分の三がリタイヤ・・・。リーダーは無事で・・・」
トランシーバーの向こうで送信者が倒れたのが、わかった。
「こちら面堂部隊・・・。隊長を含め約半数がリタイヤ・・・」
面堂はチェリー爆発ではなく、あたるが殴ったのが原因だとわかったものはごく少数だった。
「こちらしのぶ。私以外はみんなリタイヤよ」
「こちら、竜之介。同じく俺以外は全員リタイヤ。ど〜すんだよ?」
あたるはゆっくりと体を起こし、痛めた腰と腕をおさえながら立ち上がった。
(残るは、俺とメガネ、しのぶに竜ちゃん、それからその他大勢・・・ん?)
一人連絡のない者がいることに気付いた。ラムである。ラムの部隊は一人であるため、連絡がないと言うことはリタイヤの可能性が高いと言う
ことであった。
(くそ、ラムがいねえんじゃ敵の一がつかめにくいな・・・)
あたるは頭をかきむしった。それを見たチェリーは再び悪巧みを考えた。すかさずあたるの足下に近寄り、あたるのズボンをくいくいっと引っ
張った。
「貴様!これ以上被害を広げるつもりか!!」

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