二年目の決戦 (Page 3)
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「そのおかげで二年生は圧倒的に俺たちが勝利したわけだが、三年になってこのことに気付いた三組が生徒会に訴えた。そのことが原因で一週間
の合戦は四組だけ禁止。
一位を誇っていた四組はあっという間に追いつかれた。幸い夏休みで三年の合戦は受験のため禁止され、勝負はつかずじまいというわけだ」
「だが、その話が何で今になって問題になってるんだ?」
あたるの話を聞き終えたパーマが口を開いた。
「外を見てみな・・・」
あたるは窓の外の校門を指さした。なんだなんだと四人は窓の外を押し合いへし合いでのぞき込むとそこには何人もわたる他の学校の生徒がにら
み合いながら見張るような形で立っていた。
「あれは・・・、赤口商業に仏滅学園、先勝大学付属に、先負工業、大安学院までいるじゃねえか!」
メガネは制服を見ただけでどこの生徒か言い当てた。
「どうしてあいつらがここに?」
再び視線をあたるに戻した。
「六輝中学は高校で対立を起こさせないため、一組は赤口商業、二組は仏滅学園、三組は先勝大学付属、四組は友引高校、五組は先負工業、六組
は大安学院に行かせた。だから今の二年の六輝中学出身は四組の連中しかいない。ちなみにあいつらも六輝中出身だ」
あたるは窓の外の連中を見下ろしながら低く喋った。すると今度はコースケがバトンを渡されたかのように次いでいった。
「あいつらは毎日、あたるがエスケープするのを知ってるからな。エスケープしてきたところを狙ってたたきのめすつもり何だろう。だから昨日
はラムちゃんに空から連れ出して貰ったんだ」
「なるほど・・・。だが、なんだって今になってたたきのめしに来たんだ?」
「・・・。ウチの校長がこのことを聞いたらしくて、この六学校校長主催の合戦大会が行われることになったんだ。
だが、俺が何をするかわからんから早めに手を打っておこうというのがあいつらのねらいだ」
「そうか・・・。で、合戦上はどこだ?」
あたるは一度目を閉じ、振り返ると
「面堂邸だ」
と、静かにそして重く言った。
「明日、行われることになっている。選手は、今日の放課後、校長が発表する予定だ。二年の中から強制でな。ただ、優勝した場合は選手に願い
事を何でも叶えてくれるとのことだ」
「なら出るべきだな」
メガネは即答で答えた。メガネの表情ににやつきが見えた。
(なんでもということは、ラムさんを・・・)
言わずとも何を考えているか一目瞭然だった。それを見たあたるは目を細めた。
(おおかたラムをもらおうとでも考えてんだろうが、そうはいくか・・・)

んでもって翌日
そこにはいつものメンバーとその他大勢、計二百人がずらりと並んでいた。横には先勝大学付属と先負工業の選手が同じく二百人並んでいる。
列の前の方では六輝中出身の人間がそれぞれ火花を散らしていたが、後方では握手したり、男子生徒がモーションを掛けていたりと、緊迫感に欠
けている様子が見受けられた。前のテントでは校長らがお茶について激しく討論をしていたようだが、いつの間にか消えていた。
「これで説明を終わります」
合戦場提供者である面堂がルール説明をしていたようだが、それは無意味であった。
ルールは各学校ごとに同じの城が用意され、時間無制限に行われる。食料は面堂家から毎日支給され、また夜七時から朝の十一時まで合戦は禁止
されている。そのため選手は食べ物と夜の心配をする必要はない。武器は原則何でも有りだが、ミサイルや核爆弾、地雷等の強すぎる武器、また
既に仕掛けられている物、その他却下された物は不可であった。
「それでは最後に・・・」
面堂が落ち着いた口調で何か言おうとしていた。
「なぜ僕がこの試合に出なければならんのかねぇ!?僕は常に満たされているのだ!貴様ら凡人の大会など高みの見物をする立場なのだよ!」
面堂はマイクを掴み少し前に乗り出し、崩れた顔で叫んだ。
「やかましい!貴様も友引高校の生徒ならちゃんと出場しろ!」
友引高校の列から罵声がいくつも飛んできた。紙コップや座布団、ポリバケツ、タコなどが面堂の元へ飛んできては当たったり、他の人間にまで
被害を及ぼしていた。
「うるさ〜い!」
面堂はさらに前へ乗り出し、喉を痛めるのではないかと言うぐらい叫んだ。そのときが〜んと言う音と共に面堂の視界は消えて無くなった。真っ
暗闇であることに気付いた面堂はおなじみの叫びである
「暗いよ〜!怖いよ〜!」
を連発した。原因はあたるがかぶせた鐘である。友引高校以外の生徒は、友引高校への警戒心を薄くした。この絶叫を聞けば誰でもそう思うはず
である。そんなこともほっといて、あたるは鐘の上に座り、鐘の中に向かって偉そうに言った。
「おい、面堂。割ろうとしても無駄だぞ。これはお前んとこの超合金で出来ているからな。もし大会に出るのなら鐘をどけてやる。それにな、校
長の話だと金でもかえない物でもかなえてくれるそうだ。だから・・・」
そのときばきっと言う音と共に鐘にひびが入った。

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