二年目の決戦 (Page 6)
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これに気付いたあたるはすかさず木槌で殴り飛ばした。チェリーは大回転して森の向こうへ落ちていった。そのときチェリーが落ちたと思われ
るところで大爆発が起きた。あたるは最初地雷にでも引っかかったとおもったが、人柱が上がっているのを発見すると何が原因か一目でわかっ
た。
(あれは・・・)
あたるは望遠鏡で爆発の方向を見た。
(大安学院か・・・。ありゃもう駄目だ・・・。となると、残るは先勝と先負か。しかしどう戦う?俺たちの今の兵力では勝ち目はない。地雷
群も全部使ったし・・・)
「ダーリン!」
と毎日聞く単語が聞こえた。その声の方を見るとススだらけになりながらも傷一つ無いラムの姿があった。爆発のショックでトランシーバーを
落としたため、連絡が取れなかったのだ。あたるから見れば少し輝かしく見えた。あたるは少しほっとした表情をし、また作戦を考え始めた。
しかし自分たちは普通の高校生でないことに気付いた。
(そ、そうだ・・・。ラムの電撃にしのぶの怪力、竜ちゃんの格闘センス、メガネの暴走、面堂がいなくて、俺の・・・。勝てる!これなら勝
てる!)
あたるは感激に充ち満ちた。感涙を禁じ得ないとはこのことである。もはや迷う必要はない。その後友引高校が人数差を抱えながらも、圧倒的
なパワーで勝利を収めた。

大会本部前広場
(これでラムさんは俺の物だ・・・。ふふふふふふふ・・・)
メガネは声に出していることに気付かなかった。
(諸星め。今日が貴様の命日だ)
薄笑いを浮かべながらあたるを見た。
「表彰。優勝。友引高校。本連盟主催、第一回六輝中学校無念晴らし合戦大会において頭書の成績を収められたので、ここに表します」
朝礼台の上であたるが校長から賞状を貰った。しかし賞状など二の次三の次であった。表彰を素直に喜ぶ者は一人としていない。皆、心の奥底
で薄暗い陰謀を立ちこめていた。
「では優勝者に願い事を叶えてくれる方を紹介しましょう。どうぞ・・・」
横からサングラスと深い帽子で小さな体を大きなマントで覆い隠した男らしき人物が出てきた。そんなことはお構いなしに、あたるそのほかは
賞状や盾を捨て去り、その者に殺到した。
「ビデオデッキ!」
「ウォークマン!」
「按摩機!」
「ラムさん!」
「世界!」
「宇宙!」
「明太茶漬け!」
「待ちなさい。そう慌てる必要はありませんよ」
校長は殺到する生徒に手で待ったをかけた。そんな事を友引高校の生徒が聞くはずがない。
「いやいや、おいらはみんなを早く幸福にしたくてうずうずしてたんだ。みんないっぺんにかなえてやるよ」
その者の声は友引高校の人間なら誰もが知っている嫌な声だった。
「ま、まさか・・・」
その者はサングラスと帽子をばっと脱ぎ捨てた。
「お、お前は・・・」
かつて友引高校に波乱と騒動、そして裏切りを呼んだ指名手配犯『連続幸福魔・青い鳥』である。
「幸福光線、発射!」

完

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