BD2 夢の未来 (Page 1)
Page: 01 02 03 04 05

BD2  夢の未来

「これは・・・、ひょっとこ?」
「あー、それは我が家に代々伝わる家紋です。それが何か?」
「おまえ、面堂家の人間け!?」
ラムは手が使えないので、右足の人差し指でシュガローを指さした。
「そ、そうですけど・・・」
シュガローは目の前に突きつけられた人差し指にびっくりしながらも答えた。
「こう見えても僕は面堂家の長男なんです。だからこの戦争が終わったら、僕は軍を辞め、頭首にならねばならないんです」
「で、でもシュガロー・メンダーって名前がちがうっちゃ」
「ああ、それは地球が宇宙連合に加盟したことで、日本人の名前の発音が変わったからですよ・・・」
「は?どういう事だっちゃ」
「あれから地球は宇宙連合に加盟したことで他星との貿易が盛んになりました。同時に宇宙人との交流が深まり、地球人との子供が出来るのは、当たり前の時代に
なってきました。日本人は新しいもの好きという性格から言葉にも大きな変化が起こりました。そしてその影響は名前までに達し、
そのうち東洋系の人間でも今のような名前が出来てきたんです。そして面堂家はメンダー家と名前が変わりました」
「諸星ってのはどんな名前だっちゃ?」
ラムはあたるの子孫、つまり自分の子孫の名字はどんなのか気になった。
「ええっと、たしかモロヴァシーだったと思います。あ、うちの上官もモロヴァシーでしたよ」

同盟軍第一小艦隊司令鑑「ルーガ」
「なにか呼びました?」
青龍組元隊長・シュガロー・モロヴァシー大佐が先日上官になったあたるに小声で呼びかけた。
「いや、なんも・・・。空耳じゃねえの?」
青龍組控え室のモニターにリーヤンの顔が映っている。控え室といっても五十メートル四方の部屋である。そのなかに青龍組全156人がきれいな四角形を作って、
だまってリーヤンの顔を見ている。
「これから青龍組の選抜メンバーは敵艦シリウスに突入する。選抜メンバーのうち、
第一班は捕虜の救出、第二班は敵司令の捕獲作戦を展開してもらう。全員、誇りを持って戦うように・・・。
では選抜メンバーを発表する」
リーヤンにとって、誇りなんかどうでも良かった。できれば生きて帰ってきてほしいのだ。
「第一班、諸星あたる、面堂終太郎、シューベル、ゼルクス・・・」
リーヤンは選抜メンバーの名前が乗っている紙をみて止まった。組員はどうしたというような顔をして、
次の反応を待った。
「これ・・・、メガネって・・・。名前?」
メガネはぶすっと顔を起こらせた。
「あ、メガネさんですね、つ、続きを・・・」
ゼルクスがメガネの怒りが爆発する前にリーヤンに次を読むように催促した。
リーヤンは訳のわからぬまま、名前を読み上げ、第二班も発表した。

「ったく、名前くらい確認しとけ。ニックネームで読むんじゃない」
メガネは名簿を提出したゼルクスにとがめをかけていた。
選抜組はロケットに乗るべく、ハンガーに向かっていた。
「すいません、メガネでいいと言われて、ついそのまま出してしまいました」
ゼルクスは頭をぺこぺこと下げながら謝った。
「気にするな、俺たちだって本名知らないんだから、にゃははは」
「知りたくもないがな・・・」
面堂が刀を右手に、淡々と言った。
「何だとっ・・・」
メガネは面堂に怒りの視線を向けた。
「まあ、落ち着いて。つきましたよ」
「ったく・・・」

「ほー、以外とでかいな・・・」
あたるは管制室からガラス越しに見えるロケットをみて感想を言った。
「大きいですが、スピードは並ではありません。これなら敵に追跡も振り切れるでしょう。
さ、いきましょう。出発はすぐですよ・・・」
「もう出るのか?」
「ええ、待っていても仕方ないですからね・・・」
すると管制室に巫女の姿をしたサクラが入ってきた。
「サクラさん」
あたるは甘い声を出しながらサクラに歩み寄り、そのままエルボを食らった。
「ゼルクスとやら、しばし待っていただきたい」
「しかし、出撃時間が・・・」
するとサクラはだまってお札を取り出し、ゼルクスに投げつけた。
「悪霊退散!!」
「あ、悪霊!?」
あたるたちは悪霊という言葉に驚きながら、ゼルクスを見た。
ゼルクスはお札を何なりとよけて、ふっと空中に飛び上がり、そこで浮遊した。
「にゃははははは、姉さん、わいの変装を二度も見破るとはさすがでんな」
きまじめなだったゼルクスの顔が、怪しい笑いを浮かべている。
「やはり貴様であったか・・・」
「その声は・・・、夢邪鬼!!」
ゼルクスはボンと煙を立てるとあの夢邪鬼が爺くさい笑いを浮かべていた。
「貴様!引退したんだろーが!!なんの因果で俺たちに夢を見させやがる!!」
あたるはジャンプしながら、叫び、ヒュンと夢邪鬼の頭めがけて木槌を振り下ろしたが、夢邪鬼はさらっと難なくよけ、あたるは床にたたきつけられた。
「いや〜、あんさんも相変わらず元気でんな」
「そんなことはどうでもいい!」
あたるは腰をさすりながら、上向きに夢邪鬼に怒鳴りつけた。
「落ち着け、諸星・・・」

Page 2
戻る
Page: 01 02 03 04 05