Welcome To Another World(Chapter 1&2) (Page 2)
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とラムは明るく答えた。
(い,いや、せやから心配やねん・・・・・・ラムちゃん、『間違い』の意味わかっとらんな・・・・・・)
テンはそう頭の中で言った。額には脂汗が流れていた。
しばらくの間テンはぐずったが、結局ラムに押し切られる形で、母の待つ鬼星へ向かった。
(今日から3日間ラムと2人きり・・・じ、地獄じゃ・・・!!)
朝食を食べた後、あたるはそう思った。彼が心配していたのは、これから3日間の食事のことである。
ラムの料理がどのようなものであるか知っていれば、この意味が分かるだろう。
制服に着替え、2人は学校に向かった。程なくして友引高校に着いた。
あたるもラムも教室に入ってから下校するまで、今日は家で2人きりであることをクラスのみんなに悟られないように注意した。
もしこの事がメガネたちラム親衛隊や、面堂の耳に入ろうものなら、また前のようにうるさい夜になるのは明白だからである。
2人で学校から帰っている途中に、
「うわぁー、きれいな夕焼けだっちゃねー、ダーリン!」
ラムは茜色の空を見上げながら声を上げた。
「ん、ああ、そうだな・・・」
あたるは適当に相づちを打った。すると、ラムが突然話し始めた。
「ダーリン、ウチね、この前こんなドラマを見たっちゃ。ある男の人が主人公で、その人には最愛の妻がいたっちゃ。
2人はとある町で仲良く暮らしていたんだけど、やがて戦争が起こって2人が住んでいた町も戦渦にさらされたっちゃ。
2人も町を侵略してきた敵と戦って敵を壊滅寸前まで追い込んだけど、妻は敵のボスに殺されてしまったっちゃ・・・」
ここまで聞いたあたるが、
「ホー。で、その後どーなったんだ?」
とラムに尋ねると、ラムはまた口を開いた。
「男の人はしばらく悲しみに暮れていたんだけど、その後復讐の鬼と化したっちゃ。
やがて敵の本拠地を攻めてボスを殺して敵を壊滅させたあと、自殺したっちゃ」
これを聞いてあたるは、
「その男もアホじゃなー。あとを追って自殺するなんて。何も女はその妻1人じゃあるまいに・・・
オレはそんなの、まっぴらゴメンだぜ」
と言った。その後またもラムが、
「ねえ、ダーリン。もしも、ウチが死んじゃったら、悲しいっちゃ?」
と言うのであたるは、
「何じゃい、藪から棒に」
と返事した。ラムは、
「ううん、ちょっと聞いてみたかっただけだっちゃ」
と首を横に振りながら言った。
「何言っとんじゃ、お前は!」
つまらないこと聞くな、という感じであたるは言った。
期待したとおりの答えが得られなかったラムは、ちょっとがっかりした気持ちになった。
こうしてしばらく歩いていると、誰もいない家が見えてきた。暗いのでよく見えないが、家の前に誰かいた。するとその人物が、
「ラームちゃん!ダーリン!こんばんわー!」
と、大きく右手を振って2人に呼びかけた。ランだった。左手には大きな袋を持っていた。
「うわーっ!ランちゃん、久しぶりー!」
あたるがランの方に向かって走り、彼女に飛びつこうとしたが、ぐしゃっと言う大きな音とともに地べたに倒れた。
「もーう、ランちゃんてば冷たいんだからぁー」
うずくまったままあたるは呟いた。
「ランちゃん・・・どうしてここにいるっちゃ?」
ランを指差してラムが尋ねると、
「ご挨拶ねえ!今日はダーリンのパパとママがいないからみんなでパーティーしようってメールしたのはラムちゃんじゃない!」
とランは答えた。
「え・・・ウチそんな覚えは・・・」
見に覚えがなかったのでラムはそう言ったが、あたるは、
「なにいっとる!お前もう忘れたのか?今日はみんなでパーティーじゃ!間違いない!
ささっ、ランちゃん。外は寒いから早く家にあがりなよ」
とランに迎合するように言った。
「じゃ、遠慮なく。お邪魔しまーす!」
ランはそう言って家に上がると、あたると一緒に家の奥へと消えて行った。
(一体どうなってるっちゃ?)
ラムは状況が飲み込めずにいたが、ふと思い出した。自分のことをやけに心配していたテンのことを。
「そうか・・・そーゆーことだっちゃね。もう!テンちゃんたら余計なことを!
せっかくダーリンと2人きりの夫婦生活を堪能できると思ったのに・・・」
ぶつぶつ言いながら、ラムも家の中へと入った。
台所ではランが慌しく今晩の料理の準備をしていた。鍋だそうだ。あの大きな袋には食材が入っていたのだ。
「えっ・・・と、材料はこれでよし、と!もうしばらくかかるから、2人とも待っててねー」
ランは台所からあたるとラムに向かって言った。ラムはすかさず台所に行って、
「ランちゃん、いいっちゃよ!お客様がこんなことしなくても。料理はウチに任せて!」
とランを台所から追い出すような仕草をしながら言ったが、ランは怖い顔でラムに包丁を向けて、
「あかん!おんどれが作る料理なんぞ、ここにいるヤツの誰も食えん!ええからワシにやらせんかい!」
と言った。
「だから、ウチが手伝うって言ってるっちゃ!」
「いらん!おんどれが介入するとややこしいことになる!!」

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