Welcome To Another World(Chapter 1&2) (Page 3)
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こんな調子で台所で2人が言い争っていると、あたるが現れ、
「まあ待て、ラム!ランちゃんが1人でやりたいと言っとるのだから、ここはお言葉に甘えようではないか。
それじゃランちゃん、悪いけどよろしくねー」
とニヤニヤしながら言ってラムを台所から追い出そうとした。
「ハーイ。まかせといて!」
ランは明るい声で返事した。しかし追い出されそうになっているラムは面白くない。
「ダーリン・・・そんなにウチの料理食べたくないの・・・?そんなにランちゃんの料理が食べたいの・・・?」
あたるとランに背を向けたまま、わなわなと震えながらラムが言うと、あたるは、
「い、いや、だから、その、つまり・・・ねぇ!」
と、おたおたしながら言うと、ランのほうを見た。あたるに見られたランは、
「え、ええ!そ、そーなのよ、ラムちゃん!」
とあたると同じような口調で言った。しかし次の瞬間、
「何わけの分からないこと言ってるっちゃ!もう!!ダーリンとランちゃんの・・・」
とラムが叫んだ。あたるは、
(まずい!いつものパターンじゃ!!)
と思い、とっさに、
「ワーッ!ラムッ!落ち着けェッ!話せば分かる!!」
と両手を体の前で振りながら言った。ラムが、
「問答無用だっちゃ!!2人とも覚悟・・・!!」
と言いかけたところで、外から何か変な音が聞こえてきた。2階のほうだ。
「ほ、ほらっ!外でなんか変な音がするぞ。2階のほうからだ!行ってみようぜ、ラム!」
あたるはこう言って何とかその場をはぐらかした。
3人が2階に行ってみると、そこにはまた見覚えのある顔が2つあった。
「オス、ラム。久しぶりだな!それに諸星も元気そうじゃねえか。あれ、ラン。何でおめえここにいるんだ?」
鉄のビキニを着た女は3人の姿を見るや否やそう言った。
「こんな時間に突然押しかけちゃって。すみません、ご主人様」
白い着物を着た色白の女もあたるの方を見てそう言った。あたる、ラム、それにランの3人はぽかんとした様子で2人を見つめた。
「弁天・・・お雪ちゃん・・・どうしてこんなところにいるっちゃ?」
ラムはランに対してした同じ問いかけを2人にした。
「いやな、たまたま地球の近くをツーリングしてたらよー、バイクが故障しちまってよー。
これじゃとてもアタイの家まで帰れねえから、とりあえずここに来たんだ。
かなり故障がひでえから、修理屋に連絡したんだけど、来るのは早くても明日の朝だっつうんだよ」
弁天はここに来るまでの経緯をラムに話した。
「なるほど。さっきの変な音は壊れたバイクのエンジン音だったのか」
あたるは納得した表情で言った。
「ところで、お雪ちゃんはどうしてここにいるの?」
ランはお雪に尋ねた。
「私は銀河系の近くにあるバード星ってところに品物を売りに行ったんだけど、その帰りにたまたま弁天と会って・・・」
するとお雪も今までのいきさつをしゃべり始めた。そこでそのまま弁天に海王星まで送ってもらうつもりだったのだ。
「それでよう、ラム。アタイらさあ、宿無しなんだ。わりいけど、今日1晩、泊めてもらえねえかな?」
弁天に頼まれたラムは、これ以上騒がしくしたくないという気持ちからあまり乗り気ではなく、
「エッ、でも・・・わざわざうちに泊まらなくても弁天の星か海王星に連絡して迎えに来てもらえばいいんじゃないの?」
と返事した。しかし弁天は深刻な表情で、
「それがな、アタイらもそのことに気づいてそうしようと思ったんだけど、だめなんだ。
アタイの星も、海王星も連絡しても応答しねえんだ。どうやらかなりつええ磁気嵐の影響らしくてな。
おめえの星にも連絡してみたけど、だめだった・・・」
と言った。2人の困った様子を見たあたるは、
「そういうことなら、どうぞ、どうぞ!1晩と言わず、2晩でも3晩でも」
と調子のいい声で2人に言った。
「本当か!?いや、サンキュー!助かるぜえ!」
弁天はあたるに軽くお礼を言い、お雪と一緒に家の中に入った。
「ダ、ダーリン!」
ラムはそんな、困る、といった感じでそう言ったが、
「いいではないか。どうせ今日は父さんも母さんもいないんだから。それに、パーティーは人は多いほうがいいぜ」
とあたるはラムの言うことに耳を貸さなかった。まあ、ここはあたるの家なのだから、決める権限は居候のラムにはない。
(あーあ、ダーリンと2人きりの夜が遠のいていくっちゃ・・・)
ラムは頭の中でそう呟いた。
「本当にすみません、ご主人様。ところで、夕飯はもう済みましたか?」
お雪に尋ねられると、あたるは、
「いや、まだだけど」
と答えた。するとお雪が袋を取り出して、
「でしたらこれをどうぞ。海王星の特産品が中に入ってますわ。宿外代わりに召し上がってくださいな。売れ残りで申し訳ないですけど」
とあたるに差し出した。あたるは、
「へぇー、そう。だったら今日は鍋だから、その中にでも入れようか。ランちゃん、これ頼むよ」
とランにその袋を差し出した。
「ハーイ!」
ランはそう返事して、1階に下りていった。
「では、私も手伝いますわ」

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