Welcome To Another World(Chapter 1&2) (Page 6)
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周りの者はみんなずっこけた。チェリーが現れたのだ。
「いきなり出てくるなっ!!」
ドカバキドカッズゴッ
周りの者は皆そう言ってチェリーをライトハンマーでどついた。
「オヌシら、慌てるでない!私たちは飯をたかりに来たのではない」
そこにはサクラもいた。手にはマイ箸とおわんを持っていた。説得力も何もない。
「サクラさーん!こんな時間にわざわざボクのこと・・・」
あたるが抱きつこうとすると、
「たわけーーーーッ!!」
そう言ってあたるをぶっ飛ばした。
「でもサクラ先生、どうしてこんな時間にあたる君の家に来たの?」
しのぶに尋ねられると、サクラは、
「なに、教師として、子供たちだけでこのようなことをさせるわけにはいかんからのう。諸星の両親に代わって保護者として来たのじゃ。
それにしても、うまそうじゃなー、この鍋」
と食い入るように鍋を見つめながら言った。
(なるほど、真の目的はこれね・・・)
しのぶは頭の中でそう思った。
みんなが鍋の周りに座り、いただきますをしようとすると、
「ブモーーーーーー!」
空から巨大な虎牛が降ってきた。匂いを嗅ぎ付けてやってきたのだろう。
「ラムゥーーーーー!」
レイはニッコリ笑ってラムに近づいてきた。居間は大騒ぎだ。
「ワーッ!レイッ!どーしてお前がこんなとこに来たっちゃーっ!」
そう言うとラムは逃げ出した。
「きゃん!ランちゃん、感激ー。レイさんが来てくれるなんて!」
ランは突然のちん入者を歓迎した。
(あーっ、もう!これじゃダーリンと2人きり静かな夜どころか、今までで1番騒がしい夜だっちゃ!)
ラムはそう思いながら、しばらく逃げ回った。
しばらくして騒ぎが一段落したあと、改めていただきますが行われ、鍋パーティが開始された。
「何かよー、修学旅行みてえだなー。それにしても、うめえな、これ!ああー、生きててよかったぜー」
竜之介はそう言いながら、お雪の持ってきた海王モモンガのすり身団子に舌鼓を打った。
それにしても、サクラ、チェリー、レイ、それにあたるは食べる、食べる!
食材は大量に用意されていたにもかかわらず、数十分後にはすべて跡形もなくなくなってしまった。
「汁が残ってるから、これで雑炊にしよーぜ!」
あたるがそう言うと、大量に炊かれていた米がそのまま鍋の中に入れられた。
しかしそれも、すぐになくなってしまった。パーティーは、お開きとなった。
「いや、しかし・・・」
「いいから帰れよ!こんなに大勢いたんじゃ騒がしくてたまんねえよ。
・・・大丈夫だよ。心配しなくてもアタイがちゃんと見張っといてやっから・・・」
メガネたちと面堂はラムのことが心配だと、今夜はあたるの家に泊まると言い張ったが、弁天にこのように説得され、断念した。
5人はそれぞれの家に帰った。
「サクラ、今宵は月もきれいなことじゃし、帰ったら食い直しながら焼酎でも飲まんか?」
「それはよいですな。では諸星、いくら両親がいないからといってあまり羽目を外し過ぎるでないぞ」
サクラとチェリーも、こう言い残して家に帰った。
竜之介も、
「あーっ、今日は久々にご馳走が食えたぜー。それじゃ、また明日なー」
と、さぞ満足した様子で家(といっても友引高校内にあるのだが)に帰った。
レイはランの家に泊まることになった。
竜之介が帰ったあとしばらくして、しのぶと一緒にあたるの家を出ようとしたその瞬間、辺りが真っ暗になった。
「あら、停電かしら?やーね。こんな時に」
しのぶは声を上げた。
「きゃん。ランちゃん、こわーい!」
ランも小さく叫んだ。
「ねーえ、ラムちゃん、おねがーい!今晩あたしとレイさんも泊めてぇ!」
ランは手を合わせてラムに頼んだ。するとあたるが、
「どーぞ、どーぞ。この暗い道の中歩いて帰るのは物騒だからねえ」
と言って要求を快諾した。
(レイはちょっと余計だが・・・まあ、仕方ないか。メガネたちや面堂よりはなんぼかマシじゃ)
頭の中ではこう考えていた。さらに、
「しのぶ。どうだ?お前も今日は泊まっていかんか?どうせ今日は家に帰っても1人なんだろ?」
と、あたるはしのぶにもこう言った。
「えっ?でも・・・」
しのぶがためらうと、ラムも、
「しのぶ、いいからそうするっちゃ!1人より大勢のほうが楽しいっちゃよ!」
としのぶに泊まるように勧めた。
「そうねえ・・・じゃあ・・・そうしようかしら」
・・・こうして私もこの夜、あたる君の家に泊まることになりました。
みんなで夜遅くまでテレビを見たり、トランプをして遊んだり、とても楽しい夜が過ごせました。
でも、このときの私たちには知る由もありませんでした。
この停電がこの日から見て明日、つまり「あの日」に起こったあの忌まわしい出来事の前触れであったことを。
この日を最後に、退屈ながらも楽しかった日々が失われてしまうことを・・・
To Be Continued......
Toshio

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