Welcome To Another World(Chapter 3) (Page 2)
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「ラムーー!こっちやーーーっ!!」
ラムの父が大きな声でみんなを呼ぶので、ラムとその場にいたみんなはマザーシップの中に入った。
「父ちゃん・・・父ちゃんが地球に来たってことは・・・もう敵はやっつけたっちゃね?
あー、よかったっちゃー」
ラムは胸をなでおろし明るい顔でそう言ったが、父は深刻な表情だった。そして、
「ラム・・・落ち着いて聞きや。ワシらの星な・・・完全に攻め落とされたんや。
ほとんどの人が死んだんや。生き残ったんは、この船に乗っとる連中だけや・・・」
と答えた。この事を聞かされた瞬間皆、特にラム、ラン、テンの3人は大きなショックを受けた。
「父ちゃん!じゃあ、母ちゃんはどうしたっちゃ!?どうして姿を見せないっちゃ!?」
ラムが父にそう尋ねると、父はまた深刻な表情で、
「ラム、母ちゃんはな・・・母ちゃんはな・・・インベーダーの攻撃を受けて・・・
死におった・・・」
と声を震わせながら娘に伝えた。それを聞いてラムは、
「う・・・うそ・・・うそだっちゃ・・・そ・・・そんな・・・」
とショックのあまり震えながら首を横に振りそのことを否定したが、父が、
「ラム・・・」
と厳しい表情で言うと、急にそれが現実であることを受け入れられるようになった。
それと同時に抑えようのない悲しみがラムの胸に込み上げてきた。
「う・・うう・・・ダ、ダーリン・・・ダーリン・・・・!!う・・・うわああああああああー!!!」
ラムは右にいたあたるに抱きつき、張り裂けそうな大声で泣きじゃくった。
そんな様子を見て不安になったのか、テンも、
「お、おっちゃん!!ワ、ワイのお母はんはどないしたんや!?どこにおるんや!?」
と叫んだが、父は、
「テン・・・お前のお母ちゃんはな・・・消火活動中に崩れてきた建物の瓦礫の下敷きになって・・・
殉職しおった・・・」
と沈痛な面持ちで答えた。それを聞かされたテンは、
「そ・・・そんなアホな・・・う、嘘や!嘘やァ!!ワ、ワイは認めへん!認めへんどーー!!」
首を横に振りながらそう言うとその場を飛び出してしまった。
「ちょっと、テンちゃん!」
そう言って止めるしのぶのことなど気にも留めずに、テンはいるはずのない母探しに行ってしまった。
「・・・おっさん。それで敵は何人だ?どこの星のモンだ?首謀者の名前は?」
畳み掛けるように弁天が聞くと、父は口を開いた。
「ワシらの星を攻め落としたときは、ざっと見て100人ぐらいやった。
そいつらの正体はな、ワシらの星から1万光年離れとるインフェリオル星に住むインフェリオル星人、
もといインフェリオル族や。
実はな、こいつらワシらと同じ、鬼族やねん」
それを聞いて一同は驚いた。ラムたち以外にも鬼族と呼べる宇宙人がいたことも、
仲間であるはずの星を攻めてきたことも。
あたるはしくしくと泣き続けるラムを抱きかかえたまま、
「お父さん。どういうことです?どうして同じ種族であるそいつらがラムの星を攻めてきたんですか!?」
とラムの父に尋ねると、彼は、
「そのことはワシのおじいはんにしゃべってもらいますさかい・・・おじいはん!」
と言って、彼の祖父、つまりラムの曽祖父を呼んできた。
そもそも1ヶ月前の鬼ごっこの元の原因は、彼が交わしたいい加減な約束であった。
「おい、ワシを呼んだかね?」
曽祖父が高齢のため震えた声でそう言うと、父は、
「何でこんなことになったか聞きたいゆうてますさかい、話してやってください」
と言った。すると彼は口を開き、
「オー、そーかそーか。では早速話そうかの・・・えーっと・・・あらら・・・?あれれ・・・?ありゃりゃ・・・?」
と、こんなことをしばらく続けていると、
ぐーっ、ぐーっ。
曽祖父は寝てしまった。それを見たあたるは、
「寝るなァ!!」
スッパァーーーン!!
と叫びながら曽祖父の頭をハリセンでどついた。その後曽祖父は、
「あああー、さ、三途の川がぁー・・・・・・」
と言って、両手を前に上げ、川を渡るようなジェスチャーをした。
「コラコラーっ!渡ったらあかん!!ボケとんのか、あんた!!」
父はそう言って止めた。再び話が始まった。
「さて、そもそもインフェリオルというのは、『劣格民族』という意味でのう、
ワシらから見た奴らの呼称なんじゃ。
ちなみにワシらのことは、正確にはスーペリオル族というんじゃ。
『優等民族』という意味じゃな。
じゃが元々そのような区別をしていたわけじゃないのじゃよ・・・
今を去ること90年前・・・ある事件がおきて・・・」
ここまで聞いてお雪が、
「ある事件とは、一体何なのですか?」
と尋ねると、彼は再び話し始めた。
「クーデターじゃよ。それが起こるまでは、ワシらと奴らは同じ星に住んでおったのじゃ・・・
まあ、そもそも区別すらされとらんかったのじゃから、当然じゃな。
当時ワシらの星を支配しとったのは、ハト派で知られとったウィリアムという男じゃった。
ワシも彼の支持者じゃった。
ところがある日、タカ派で知られとったジョージ2世という男が、

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