Welcome To Another World(Chapter 3) (Page 4)
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「・・・たった今、アメリカのホワイトハウスを爆撃した犯人から連絡が入り、
彼らからの声明を発表するとのことです」
爆撃・・・!?ニュースが流れた瞬間、会議室内に戦慄が走った。
「なお、このとき大統領は外出中で無事・・・あっ、今繋がった模様です。
それでは皆さん、お聞きください」
ニュースキャスターがそう言うと、映像が切り替わった。1人の男が映っていた。
いや、少年といったほうがいいかもしれない。
どこかの部屋に立ち、マイクを握っているその姿は確かにあたると同じくらいの背格好だった。
その男はやはり2本の角が頭の左右にあり、まさに鬼の姿であったが、
髪の毛は青く目は真っ赤で、爪も長く肌もスーペリオル族に比べると黒かった。
おそらく地獄のような星の環境に順応するため、そのように進化したのだろう。
そして彼はゆっくりと口を開いた。
「わが名はフィリップ。この星から遥か彼方の惑星インフェリオルからやってきた。
私はこの惑星の代表者である」
(こいつがフィリップ・・・思ったより普通だな)
こんなことを考えながらあたるは画面を見続けた。さらに話は続く。
「先ほどの爆撃はわれわれの力がどの程度かを示す、言うなればデモンストレーションだな。
なんでもかなり人が死んだそうで・・・ククク・・・」
フィリップが薄笑いをしながら話すのを聞いて面堂は、
「くそっ!何がデモンストレーションだ!人の命を何だと思ってるんだ!!」
とテーブルを叩きながら怒鳴った。地球に来た目的はと聞かれたところで、フィリップは、
「要求は2つ。1つは今地球にいるすべてのスーペリオル族をわれわれに引き渡すこと。
もう1つはこの星の支配権をわれわれに委譲すること。以上だ。
今から1時間以内に回答せよ!!さもなくば・・・分かっているよな?」
と答え、不気味なほのめかしを残し、突然画面は砂嵐になった。
ほかのチャンネルに変えたが、同じだった。
「とんでもないことになっちゃったわね・・・」
しのぶがそう言うと、その横にいたサクラも、
「うむ、地球始まって以来のピンチじゃな・・・」
と同調した。
「地球側はどんな対応をするのかしら・・・?」
ランがそう呟くと、
「あなたじゃあるまいし、そんなに簡単に彼らの要求に応じることはないわよ」
とお雪はランの日和見な性格を思い切り皮肉って言った。
「どーゆー意味やっ!!」
ランは皮肉られていることが分からなかった。
「ほなワシ、一旦船に戻るさかい・・・」
ラムの父はそう言って、船に戻った。
しかしこの選択が、この語の彼の運命を決定づけてしまった。
そのころインフェリオル族の乗るUFOでは、フィリップが会見の成果を仲間に伝えていた。
「お前たちも見ていたと思うが、1時間だけ待ってやることにした。
もっとも地球人どもは、従うしかないと思うがな。フフフ・・・」
すると青のストレートのロングヘアーで、ホワイトタイガー柄のビキニを着たグラマラスな女、メリッサが、
「ねーえ、フィル、こんなまどろっこしいことしなくても、
さっさと地球人と一緒にまとめてスーペリオル族をぶっ殺してしまえばいいんじゃない?」
とずいぶん物騒な口ぶりで言った。するとフィリップは、
「まあ待て、メリー。奴らの態度次第では、奴隷として使うという道もある。
何せオレたちのユートピア造りには、いかんせん人手がいるからな・・・」
と答えた。この2人は婚約者同士ということもあって、すこぶる仲がよい。
「ステフ!ジェニー!オレがいない間、ジャンヌはおとなしくしていたか?」
フィリップがステファニーとジェニファーのほうを向いて尋ねると、
これまたメリッサに負けず劣らずグラマラスで、
髪の色はメリッサと同じで青いが、巻き髪である女2人が、
「ええ、特に変わった様子はなかったわ」
と2人で異口同音に答えた。この2人は双子の姉妹で、ステファニーが姉である。
「なあ、ティムよう、地球人はどの程度の強さと科学力を持っているんだろうな?」
2メートルは軽く越え、筋肉質であるスキンヘッドの男マシューが、
痩せ型で長髪でやはり青い髪の男ティモシーに尋ねると、ティモシーは、
「さあな。だがオレたちの地球への侵入をやすやすと許し、あの程度の爆撃でくたばるぐらいだから、
少なくとも、オレたちよりかは大したことはないんじゃないか?マット」
と愛用の剣を磨きながら答えた。そんな2人の会話を聞いてフィリップは、
「フッ、ティム、マット、今回はお前たちの実力を発揮できる場は、なさそうだな」
と2人に向かって言った。
この2人はかつてフィリップに勝負を挑んで惜敗し、それ以降フィリップと行動をともにしている。
しかし、決して2人とも彼に屈したわけではない。
今でも勝負したいという気持ちを持ち続けている。チャンスを窺っているのだ。
そうこうしているうちに、1時間が経った。
「・・・そろそろ1時間だ。まあ結果は分かっているが、一応確認しておくか・・・」
フィリップはそう言うと、国連の安保理事会に連絡した。

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