Welcome To Another World(Chapter 3) (Page 5)
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その頃地球は大パニックになっていた。人々は安全な場所を探し、無駄な努力を続けた。
国レベルでも。アメリカはイラクと戦争の休戦協定を結び、北朝鮮、イランに対する敵視政策も中断した。
それだけではない。すべての国々が敵対国との一時的緊張緩和を行い、
この地球始まって以来の強敵を迎え撃つ準備を進めた。
戦争はないも解決しない、そう言って平和を訴えてきた左翼の人間たちからすれば、
宇宙からの侵略者に対し共同戦線を張ることで、結果的に地球が1つになったことは、
まことに皮肉な結果と言わざるをえない。
安保理では、地球総動員体制が完成するまでの時間稼ぎのため、
フィリップ側に待つよう求めることですべての国が同意した。
そのことを連絡してきたフィリップに伝えると、
「何ィ?待てだとお!?ふざけるな!!たかがスーペリオル族と地球の引渡しに、
一体何時間かかってるんだ!!」
とフィリップは常任理事国のアメリカ大統領を怒鳴りつけた。
「し、しかし、われわれは君らの言うスーペリオル族なる者たちがどこにいるかわからんのだ!
それに、地球には60億の人々がいるんだぞ!?
君らに地球支配の権限を委譲するにしても、その人々すべてを説得するのには時間が・・・」
大統領はそう言って話をはぐらかそうとしたが、フィリップは、
「もういい!どうやらわれわれの警告の仕方が弱すぎたようだな・・・
いいだろう。これ以上話をいたずらに引き伸ばすとどうなるか、たっぷりと見せてやる!!」
と言い残し、通信が途絶えた。
フィリップはUFOに戻ると、ティモシーのほうを向き、
「ティム!あれを使え!愚かな下等生命体どもに目にもの見せてやれ!!」
と怒鳴りつけた。
「フッ・・・フィル、お前も相変わらずせっかちだな」
ティモシーは涼しい顔でそう言うと、赤いボタンを軽く押した。
一方面堂邸でも、1時間経ったころには、世界情勢がどうなったのかが気になり、
みんなテレビにかじりついていた。
「・・・先ほど侵略者側から連絡が入ったそうです。
詳しいことはまだ分かっておりませんが、どうやら・・・」
その瞬間であった。凄まじい爆音が鳴り響いた。
明かりが点滅し、邸内は揺れに揺れ、作戦室はパニックになった。
「な、何じゃ、何じゃあ!!?」
あたるがそう叫ぶと、周りは皆連鎖反応的に、
「ワァーーーーッ!!!」
「キャアーーーーーッ!!!」
このような悲鳴を上げた。そんな中、面堂が刀の鞘を握り、
「落ち着くんだ!みんな!!大した揺れじゃない!!」
と叫び、周囲の人々を落ち着かせようとした。さらに、部屋に備え付けの電話で、
「おいっ、終太郎だ!外で一体何が起こったんだっ!?」
とコントロールルームにいる私設軍隊隊員に問いかけると、
「空にあった何かが爆破されたようです!!トラジマ模様の・・・」
という答えが返ってきた。
「何イーーーッ!?トラジマ模様の物体が爆発しただとお!?」
面堂が電話に向かって大きな声でそう叫んだのを聞いて、ラムは、
「ねぇっ!それ、まさかウチの父ちゃんの・・・!!」
と面堂の手から受話器を取り上げ、大慌てで尋ねると、
「さあ・・・詳しいことは只今調査中です・・・」
という答えが返ってきた。それだけ聞くと、ラムは外へ飛び出した。
「おいっ、待たんか!ラム!!」
あたるはそう叫ぶと、彼女の後を追いかけ、ほかの何人かも一緒に彼女のあとを追った。
「あ、あたしも!」
遅れてしのぶも行こうとすると、竜之介が、
「おいっ、テレビでさっきのことやってるぜ!」
と言うと、しのぶはその場にとどまり、テレビを見た。
「・・・大変ショッキングなニュースを皆様にお伝えしなければなりません。
先ほど新たな情報が入り、国連安保理と侵略者との交渉が決裂、
侵略者側は地球の主要都市を一斉爆撃しました。
アメリカのニューヨーク、イギリスのロンドン、日本の東京・・・」
キャスターがそう言った瞬間、大爆発するラムの父のマザーシップが映し出された。
「こ・・・これは・・・何てことだ・・・」
メガネはそれ以上言葉が出なかった。
「ひ・・・ひどい・・・うう・・・」
しのぶはその場にうずくまり、両手で顔を押さえながらすすり泣いた。
「な、なんて野郎どもだ!あいつら、人の命をなんとも思っちゃいねぇ!!」
拳を握り、怒りに震えながら竜之介は言った。
「皆の者、こやつらは悪魔じゃ」
チェリーがそう言うと、サクラも、
「そのとおり!オジ上の言うとおり、こやつらは悪魔じゃ。
そしてわれわれは、この悪魔どもと戦わねばならんのじゃ」
とみんなに向かって言った。その後はしばらく誰も何も言わなかった。
(父ちゃん!どうか無事で・・・!!)
そう祈りながら、ラムはマザーシップがあったところの近くまで急いだ。
「弁天様!もっと速く!!これじゃラムに追いつけん!」
「無茶言うな!4ケツじゃこれが目いっぱいだよ!!」
あたるは面堂、お雪とともに、直ったばかりの弁天のエアバイクに乗り、
ランとテンはレイの背中に乗ってラムを追いかけた。
たどり着いてみると、あたりは一面焼け野原だった。

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