Welcome To Another World(Chapter 8&9&10&11) (Page 1)
Page: 01 02 03 04 05

Chapter 8 地球大攻防戦
「お雪ちゃん!ランちゃん!今戻ったっちゃ!!ダーリンは!?」
ラムは病室の窓から入るなり、お雪たちにそう尋ねた。
「こらあ、はよせんかい、ラム!!もうダーリンは虫の息や!!はよせんと手遅れになるで!!」
ランはラムをせきたてた。
「わかってるっちゃ!!お雪ちゃん!これがミラクルセージだっちゃ!!これを急いですりつぶして!!」
そう言うとラムはお雪にセージの束を差し出した。
「分かったわ!これをエキスにすればいいのね!?」
こう言うとお雪は部屋を飛び出した。お雪はすぐに戻ってきた。
「さあ、早くこれをご主人様に・・・!!」
お雪はラムにエキスの入ったビンを渡した。
「さあ、ダーリン。これが薬だっちゃ・・・飲んで・・・」
ラムはさじにエキスを入れ、飲ませようとした。しかし、何度口の中に入れても、
エキスがあたるの口から出てくるだけだった。
「ダーリン・・・どうして飲まないっちゃ・・・!?」
ラムは泣きそうな声でそう言った。
「まさか・・・もう薬を自分で飲み込めないほど体が弱っているのかしら・・・!?」
お雪がこう言ったあとも、ラムは何とか薬を飲ませようとした。しかし、何度やっても口から出てくるばかりだった。
「お願いだっちゃ・・・!!ダーリン、飲んで・・・!!お願い・・・!!」
ラムはそう言うと、エキスを口に含み、あたるの口に近づけた。口移しを試みたのだ。
そのラムの執念の前に、お雪もランもただその様子を黙って見ているしかなかった。
そんな時だった。
「ラムちゃん!お雪ちゃん!あれ・・・!!」
突然、ランが心電図を指差しながら叫んだ。
ピッ・・・ピッ・・・ピーーーーー・・・・・・
病室内に長い調子の音がただ響いた。その音を聞いたラムはただ一言、
「そ・・・そんな・・・」
としか言えなかった。周囲をただ静寂だけが覆った。しかし、その直後だった。
ピッ、ピッ・・・・・・
あたるの心臓が再び動き出した。ラムの執念によりミラクルセージのエキスがあたるの体の中に届いたに違いない。
「ダーリン・・・?ダーリン生き返ったっちゃ・・・!?」
突然のことにラムは一瞬わが目を疑った。
「ラム・・・奇跡よ・・・奇跡が起きたのよ・・・!ご主人様の心拍数がどんどん上がっていっているわ・・・
体内の毒もどんどん消え始めてる・・・!!もう大丈夫よ、ラム。ご主人様の回復は時間の問題だわ!」
お雪は戸惑っているラムにそう伝えた。
「やったァ!ラムちゃん、やったわねえ!!ダーリンこれで助かったわよ!!」
ランもあたるの回復を心から喜んだ。病室は一転して、歓喜の渦に包まれた。
「さあ、ラム。ご主人様のことは後は私たちに任せて、あなたは弁天たちを助けに行っておやりなさい!」
お雪にこう促され、ラムは、
「わかったっちゃ!ダーリンが目を覚ます頃までには、カタをつけてやるっちゃ!!」
と言って、再び戦場に飛び立った。
その頃各地では、地球人側とフィリップ軍団側との熾烈な戦いが続いていた。
「お兄様!それにメリッサ様も、もうおやめください!こんなことをして一体何になると言うのです!?」
「黙れ!この裏切り者め!!お前も全地球上の下等生命体どもと一緒に血祭りにあげてくれるわ!!」
ジャンヌは兄とその婚約者と戦いながら、何度も戦いをやめることを訴えたが、フィリップもメリッサも聞き入れなかった。
「きゃあっ!!」
メリッサの電撃をくらい、ジャンヌは地面に叩きつけられた。
「さあ、今度こそこれで最後よ!あなたのお姉さんになる私の手であなたに引導を渡してあげる!」
メリッサは手刀の手の形をし、ジャンヌの胸を貫こうとした。
「うわあーーーっ!!」
しかしその瞬間、またしても邪魔が入った。サクラとチェリーが協力して召喚した怪物の攻撃をメリッサは食らった。
「おぬしら!!決してこの地球は渡さぬぞ!!」
そう叫んだサクラであったが、強気の言葉とは裏腹に自らの体はいっぱいいっぱいだった。
召喚獣を呼び寄せるには、大量の霊気を放出し続けなければならない。もうサクラもチェリーも限界だった。
「お・・・おのれぇ・・・!!さっきから邪魔ばかりしおって・・・!!」
このように苛立ったフィリップもメリッサも、だいぶ疲れていた。そしてジャンヌもだった。
「この前の借りは返させてもらうぜ!なんせアタイには今回は頼もしい相棒がいるんだからな!!」
「2対2でオレたちに勝てると思ってんのかよ!?てめえら!!」
弁天と竜之介の言葉どおり、2人はステファニー、ジェニファー相手に有利に戦いを進めていた。
「ぐはぁっ!!」
竜之介のストレートを食らい、妹のジェニファーはビルの壁に叩きつけられた。
「今だ!弁天!!」
「わかってらい!くたばれーーーっ!!」
竜之介が叫ぶと同時に、弁天はマックスパワーでバズーカをジェニファーめがけて発射した。
「ああああーーーーっ!!」
大きな悲鳴とともに、ジェニファーの体は閃光の中に消えた。影も形も残らなかった。
「ジェ・・・ジェニーーーーっ!!」
ステファニーがそう叫んでみても、返事があるはずもなかった。

Page 2
戻る
Page: 01 02 03 04 05