Welcome To Another World(Chapter 12&13) (Page 1)
Page: 01 02 03 04 05 06

Chapter 12 Like a Phoenix
「う・・・うう・・・体が・・・熱い・・・み・・・水を・・・くれ・・・」
「はい。お水・・・」
少女から差し出された水を、あたるは一気に飲み干した。
「だ・・・誰なんだ、君は・・・今日こそは・・・今日こそはその顔を・・・」
あたるは懸命に顔を上げた。少女の顔を見た彼は驚いた。
「ラ・・・ラム・・・」
このときあたるは確信した。少女の姿ではあるものの、ラムに間違いなかった。
少女のラムはあたるの顔を見つめたあと、ニッコリ微笑んで、そのまま立ち去ってしまった。
「ま・・・待って・・・!!」
あたるがラムを呼び止めた直後だった。突然ラムの体が炎に包まれてしまった。
「ああああーーーーっ!!熱い・・・!!熱い・・・!!」
炎に包まれたラムは激しく泣き叫んだ。
「ラム・・・!!ラムーーーーっ!!」
あたるは叫んだ。しかしラムは完全に炎に包まれ見えなくなった。
「ぬあっ!!ハア・・・ハア・・・ゆ、夢か・・・それにしてもなんて夢だ・・・」
気がつくと、あたるはベッドの上にいた。夢だった。ひどく寝汗をかいていた。
「あら、気がついたの?ダーリン」
そこにランがドアを開けて入ってきた。
「ランちゃん・・・!あ・・・ぐっ!」
ランの姿を見て起き上がろうとしたあたるの体に激痛が走った。
「あ、だめよ、ダーリン!まだ寝てなきゃ・・・」
ランはあたるの体を抱え、ベッドに寝かせた。そこに今度はお雪がドアを開けて入ってきた。
「あ、お雪ちゃん!ちょうどよかったわ。今ダーリンが意識を取り戻したところなのよ」
お雪の姿に気づいたランはお雪にこう伝えた。
「まあ・・・それはよかったわ。ご主人様、お体の具合はいかがですか?」
お雪はあたるに尋ねかけた。
「あ、お雪さーん。もう大丈夫さ!このとおり・・・あ、いててっ!」
あたるはベッドから起き上がって回復をアピールしようとしたが、左脇腹の痛みに思わず叫んだ。
「もう!寝てなきゃだめだって言ってるのに!」
そう言ってランは再びあたるをベッドに寝かしつけた。
「ランちゃん・・・お雪さん・・・もしかして2人ともずっとオレのことを・・・?」
あたるに問いかけられた2人は、小さくうなづいた。
「・・・そうか、2人とも大変な迷惑をかけたね・・・ありがとう」
「お礼ならラムたちに言ってあげてくださいな、ご主人様」
「そうよ、ダーリン。ラムちゃんはもちろん、弁天も、面堂さんも、竜之介君も、
みんな薬の材料を手に入れるために相当苦労したのよ」
2人への感謝の気持ちを述べたあたるに、2人はこう返事した。
「そうだったのか・・・ラムの奴が・・・それに弁天様、竜ちゃん、面堂まで・・・あとでお礼を言わなきゃな」
めずらしく素直に感謝の気持ちを述べるあたるの体を、お雪は調べた。
「確かに体の中の毒はもう完全に消え去っていますわ。でも脇腹の傷はまだ完全ではないみたいですわね。
ミラクルセージの力も、体内の猛毒を消し去るのに精一杯で、傷の回復までは追いつかないみたい・・・」
調べ終わったあと、お雪はこう述べた。
「そう。で、お雪さん。オレはあとどのくらいで完全に治るのかなあ?」
「回復のスピードが思ったより早いですから、この調子なら、あともう2、3日でよくなると思いますわ。
2、3日後には傷口を縫い合わせている糸の抜糸をすることができるでしょう」
あたるの質問にお雪はこう答えた。
「だからおとなしく寝てなきゃだめよ、ダーリン!」
ランはむいていたリンゴを一切れ、あたるの口に突っ込みながら言った。
「はーい。ところでランちゃん、お雪さん。ラムや他のみんなはどうしてるの?フィリップ達は?
そういえば外が騒がしいなあ・・・」
リンゴをかじりながら、あたるは2人に尋ねた。
「えっ・・・?あっ・・・その・・・」
ランは返事に詰まった。しかしお雪はあたるを心配させるまいと、
「大丈夫ですわ、ご主人様。もうフィリップ達の軍隊は壊滅寸前のところまで来ています。
ラムも、他の皆も全員無事にここまで戻ってきますわよ。
はっきり言って、もうご主人様の出る幕はありませんわ」
と答えた。まるで実際に現場を見たかのような口ぶりだった。しかし、実際は地球軍のほうが危なかった。
しかしあたるはお雪のこの言葉を鵜呑みにし、
「手厳しいなぁ、お雪さん。でも、それじゃあオレ、ゆっくり休んでいいんだね?」
と言った。そして横になったまま、目を閉じようとしたその時だった。
ドカァァーーーーーン
遠くのほうで何かが爆発する音が聞こえた。ランとお雪はあわてて窓のほうに向かった。
煙がもくもくと上がっているのが見えた。
「な・・・何が起こったの!?」
「いえ、分からないわ!」
ランもお雪も相当動揺した口調で叫んだ。その直後だった。
「弁天が・・・死んだ・・・ラムの目の前で・・・」
突然あたるがポツリと呟いた。
「な・・・何をおっしゃるんですか、ご主人様!」
「そ、そーよ!何バカなこと・・・」
驚いた2人はやにわにあたるの方を振り返りつつそう言った。

Page 2
戻る
Page: 01 02 03 04 05 06