Welcome To Another World(Chapter 14&15&16) (Page 1)
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Chapter 14 届かぬ想い ジャンヌ最期の日
「ぐ・・・ぐう・・・・・・」
「む・・・無念・・・じゃ・・・」
召喚術を長時間行い続けたため、全身の霊気を使い果たしたチェリーとサクラは力尽きた。怪物も消滅した。
「ははは・・・!!バカな奴らめ!!自らの術の使いすぎで自滅とは!!さあ、どうするジャンヌ?もう後がなくなったな・・・」
(も・・・もうだめ・・・)
ジャンヌが絶望し、諦めかけたそのときだった。
「ジャンヌーーーーッ!」
そう叫びながら、ラムが颯爽と現れた。
「お前たち!今度はこのウチが相手だっちゃ!!もうお前たちは泣いて謝っても許さないっちゃよ!!」
ラムは電撃をメリッサに向けて放った。しかしメリッサは突然姿を消した。
「き、消えたっちゃ!?」
ラムは周囲を見回したが、メリッサの姿は見えなかった。
「後ろよ・・・!!」
その言葉と同時に、突然消えていたメリッサが現れた。不意をつかれたラムは、背中に強烈な攻撃をまともに食らった。
「テ、テレポーテーション!?」
叩きつけられた地面から起き上がったラムは驚いた様子で言った。
「これでとどめよ!しゃあーーーーっ!!」
メリッサはラムに近寄りながら、人を一人黒焦げにできるほどの強烈な電撃をラムに放とうとした。
「きゃあーーーっ!!」
しかしジャンヌが横から強烈な電撃を発射し、その攻撃を受けたメリッサは地面に墜落した。
「お・・・おのれ・・・!!」
「どうあってもこの兄たちの邪魔立てをするつもりか・・・!!おのれ、くたばれェ!!」
フィリップは両手を構え、ジャンヌを後ろから狙った。
「危ない!ジャンヌ!!」
ラムはとっさに立ち上がりながらこう叫ぶと、フィリップに電撃を浴びせた。
「ゴアアアッ!!」
墜落には至らなかったものの、かなりのダメージを与えた。
「た、助かりました!ラムさん!!」
「これで貸し借りなしだっちゃ!いくっちゃよ、ジャンヌ!!ちゃあーーーっ!!」
そう叫ぶと、ラムとジャンヌは2人同時に電撃を撃った。フィリップとメリッサは2人ともジャンプしてかわした。
「バカにするな!!」
「こんな攻撃がかわせないとでも思ったの!?」
勝ち誇ったように叫ぶ2人の頭上に突如ラムが現れ、大型ハンマーでメリッサを打ちのめした。
「ああああーーーーっ!!」
ラムの攻撃をまともに受けたメリッサは猛烈な勢いで落下した。
「メ・・・メリーっ!!」
フィリップは叫んだ。
(チャンスだっちゃ!ここで一気にカタをつけるっちゃ!!)
ラムはその後をさらに追いかけた。しかし、メリッサに追いつくまであと3メートルと迫ったときだった。
「はあっ!!」
うつぶせの体勢だったメリッサが急に空中で振り返り、ラムに金縛りの術をかけてきた。
「うっ!し・・・しまった・・・っちゃ・・・!!」
突然のことにラムはまったく対応できなかった。ラムは必死にもがいた。だが体はまったく動かなかった。
「ラ、ラムさん!」
メリッサはラムのほうを向いて叫んだ。
「はっはっは!油断したわね、ラム!!さあ・・・覚悟はできたかしら・・・?今度こそあなたを地獄に落としてあげる!!」
勝ちを確信したかのように、彼女は笑顔でそう言いながら、フィリップを見た。
「よーし。よくやったぞ、メリー!ラム、覚悟しろ!今度こそオレがこの手で、お前の内臓をえぐりとってやるからな!!」
フィリップはこう言うと、猛然とラムのほうに向かってきた。そこにジャンヌが割り込み、ラムの前でフィリップを足止めした。
「やめてください、お兄様!これ以上・・・無益な殺しをしないでください!!」
両腕を横に広げたまま、ジャンヌは必死に訴えた。
「何い!?裏切り者の分際で、よくもまあそんな一丁前の口が利けたもんだな・・・
そこをどけ、ジャンヌ!!そうすればお前もオレたちと同じ一族、ましてオレの妹だ・・・
それに免じ、お前の命を助けてやらんでもないぞ。ん?」
こういって話を持ちかける兄に、ジャンヌは決して与しなかった。
「目を覚ましてください、お兄様!確かにラムさんはスーペリオル族です。でもそれが何だというのですか?
このお方を殺して一体何になると言うのですか!?死んだひいおじい様がお喜びになるとでもお思いなんですか!?
私たちのひいおじい様が戦って負け、裁判で処刑されたクーデターは、もう90年も前の昔のことではありませんか!
その時ラムさんはまだ生まれていません。このお方を殺して敵討ちだなんて筋違いです!」
こんなにも必死の妹の訴えに、フィリップは聞く耳を持たなかった。
「黙れェ!!オレはなあ、オレたちをこんな惨めな境遇に置くきっかけを作ったスーペリオル族すべてが憎いんだ!!
オレたちにインフェリオルなどと言う烙印を押したスーペリオル族すべてがなあ!!
だからオレは誓ったんだ!いつの日か、スーペリオル族をこの宇宙から根絶やしにしてやろうと!!
誰のためでもない、自分のためになあ!!そこをどけえ!!さもなくばお前から殺す!!」
こう言われても、ジャンヌはひるまなかった。その一方でメリッサは苦しそうな顔をしていた。

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