Welcome To Another World(Chapter 17) (Page 2)
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(こいつ・・・もはや恐怖も痛みも感じないのか・・・このままでは埒が開かんな・・・)
そう思ったあたるは、今度は心臓を一突きした。
グサァッ
「ギャアーーー!!」
またもけたたましい悲鳴を上げた。しかしそれでも倒れなかった。
「グウウ・・・ガアア・・・」
(ま・・・まだだめか・・・!!それなら!!)
ザンッ
あたるは止めにフィリップの首をはねた。すると獣のようになった彼の体はたちまち元の姿に戻った。
「ハア・・・ハア・・・」
あたるはようやく気を抜くことができた。面堂の形見の刀も納めた。
(角を折るとあのような醜い化け物になり、今までは想像もできないような力で大暴れするってワケか・・・
そしてその変身は死ぬまで解けない・・・バカな奴だ・・・王になる奴が理性を失ってどうするというんだ・・・)
あたるは地球をメチャクチャにした張本人を心から憎むとともに、心から哀れんだ。
「でも、そんなことはもういい・・・オレたちが勝ったんだから・・・」
あたるはラムたちのもとに急いだ。その途中、あたるはお雪とランの2人にぶつかった。
「ご・・・ご主人様!」
「ダーリン!よかったあ・・・無事だったのね・・・」
無事に戻ってきたあたるを確認すると、お雪とランはびっくりした様子であたるに話しかけた。
「どうしてここに?」
「心配で心配で・・・様子を見に来たんですの」
「ダーリン!あいつは?フィリップはどうなったの!?」
「死んだよ・・・案外あっけなかった。それよりラムは・・・?ラムはどうした!?」
あたるの問いかけに、2人は気まずそうな顔をすると、そのまま口をつぐんでしまった。
「どうしたんだ・・・2人とも・・・黙っていたのでは分からんではないか!」
あたるはさらに2人を詰問した。
「ダーリン・・・!ラムちゃんが・・・ラムちゃんが・・・!!」
ランはそれだけ言うと、両手で顔を押さえてしくしくと泣き出した。
「ランちゃん!ラムが一体どうしたっていうんだ!泣いてちゃ分からないよ!!」
あたるがどんなにランを問い詰めても、ランはそれ以上何も話さなかった。
「ま・・・まさか・・・!!」
とてつもない不安に襲われたあたるは、大急ぎでお雪たちの来た方角に向かった。
「ラ・・・ラム・・・!!ラムッ!!」
しばらくすると、仰向けになって倒れているラムの姿を見つけた。
「ラム!おい!!しっかりしろっ!おいっ!!」
体を揺すり、何度もあたるは呼びかけたが、返事はなかった。そこにお雪たちも到着した。
「ご主人様・・・申し訳ありません・・・八方手は尽くしたのですが・・・」
お雪はそう伝えると、あたるから顔を背けてしまった。
「そ・・・そんな・・・」
あたるはこう呟いたあと、しばらくそのままラムの側で座り込んでいた。しばらくすると、口を開いた。
「は・・・ははは・・・これでせいせいしたわい。これでオレはラムから解放されて、晴れて自由の身になるんだからな!!
思えば、初めてラムと出会ってから今日まで、惨めな毎日だった。しのぶには振られ、
ちょっと他の女の子にちょっかいを出しただけで、怒鳴るわ!わめくわ!泣き叫ぶわ!!
挙句の果てにゃあ電撃リンチでボロボロ・・・!逃げても逃げても金魚のフンみたいに付きまといやがって・・・
でも、それも今日で終わりだ。フリーになった今、オレには新しい人生が待っている。
すべての女の子とお友達になって、ハーレム作って、そして結婚じゃあ!!
おい、ラム!安心して成仏せいよ!この次はお前と違ってすぐ怒ったりしない優しい女の子を嫁にもらうからな!!ハハハ!!」
あたるは自暴自棄になっていた。
「ダーリン!!なんてこと・・・!!」
あたるの暴言を、ランは戒めようとしたが、お雪に止められた。
「ラン・・・おやめなさい。あの方が本心からあんなことを言っていると思って?」
あたるが虚勢を張っているのは、お雪にはお見通しだった。案の定、乾いた笑いの後に、あたるは本音を話し出した。
「でもな・・・ラム・・・オレのことを本気で好きになってくれたのは・・・お前だけだった・・・
オレのことを命懸けで愛してくれたのは・・・お前だけだった・・・
そしてこれからも・・・お前以上にオレのことを愛してくれる女は現れないだろう・・・
ラム・・・その気持ちはオレも同じだ・・・信じてもらえないかもしれないけどな・・・
オレをこんな気持ちにさせてくれる女には、これからも出会うことはないだろう・・・決して・・・
オレはほかの女に、例えばサクラさんやしのぶやランちゃん、弁天様にお雪さんに竜ちゃん、
クラマちゃんや了子ちゃんや飛鳥ちゃんにちょっかいを出しているときも、お前のことを忘れたことはなかった。
本気だったのは・・・お前だけだったんだぜ。なのに、なぜだ・・・どうして死んでしまったんだ!ラム!!」
あたるはラムの名を叫んだあと、再び話し出した。目から涙がこぼれ落ちた。
「バカタレが・・・お前はオレの妻だろうが・・・!!夫より先に死ぬ奴があるか!!

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