Welcome To Another World(Chapter 17) (Page 5)
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しのぶは尋ねた。
「ああ。オレは確かに心臓をライフルで撃たれたってのによお。どうなってんだあ?一体・・・」
誰もその答えを出せなかった。
「な・・・何やここは・・・えろう暗いとこやなあ・・・」
遺体安置室にいたラムの父は起き上がると開口一番こう言った。
「あれ・・・ワイは確か、あの大男にやられて・・・」
その横にいたテンも起き上がった。
「ブモ?」
レイもまた起き上がった。
「あんさん!」
「おーい!生きとるかー?」
そこにラムの母と曽祖父が現れた。
「ど・・・どないなっとるんや・・・誰か説明せえや・・・」
ここにいる連中もまた、自分が生き返ったことに気づかなかった。他の場所でも大体同じようなことが起きた。
しかし、これにより、今までの戦争の結果はすべてリセットされた。インフェリオル族を除いて・・・
生き返った連中は、皆操られるかのようにあたるたちのもとに向かった。程なくして全員あたるたちのところに集まった。
まず初めに、大きな竜がそこにいたことに驚いた。その次に、あたるの姿に驚いた。
「婿殿・・・説明しておくんなはれ・・・今まで何があったのか・・・」
ラムの父に促され、あたるは今までのことをすべて話した。
「知らなかった・・・あたる君が鬼族だったなんて・・・」
「オレが思うに、おそらくオレの先祖の誰かが鬼族だったんだろうな。たまたま地球にやってきて、そこで子をもうけたんだろう。
それからオレの代になって、初めて鬼族の血が出たんだと思う」
「じゃあ、フィリップ達は、自分たちの星を救うために戦っていたというのですか?お雪さん」
「ええ。そのためにご主人様とラムの体の中にあったクリスタルを欲したのです」
「そいつらもアホやなー。せやったら最初から素直に協力をワイらに求めたらよかったのに・・・」
「そうすることのできないむずかしい事情があいつらにもいろいろあったっちゃよ、テンちゃん」
あたるの話が終わった後、様々な話で周囲は盛り上がった。
「まあ、何はともあれ、とにかくめでたいでんなー。どうですやろ婿殿?これを機会にワシらの星に来てくれまへんか?」
ラムの父は、あたるが鬼族であったことを知ると、このような勧誘をしてきた。
「えっ・・・?」
突然の申し出に、あたるは一瞬当惑した。
「荒廃したワシらの星の建て直しと、同盟国インフェリオル星の開発促進に力を貸してもらいたいんですわ」
あたるに来てもらいたい理由をラムの父はそう説明した。
「で・・・でも・・・」
あたるは迷った。自分の住みなれた町を離れることには、やはり抵抗があった。
「でもさあ、その前にラムちゃんとダーリンの結婚式を挙げることが先なんじゃなーい!?おじさん」
ランのこの言葉は、そんな迷いも一掃するような発言だった。これを聞いた周りの者たちは当惑した。
「ど、どーゆーことやねん?」
ラムの父が問いただすと、ランはそっと耳打ちした。
「なんと!そーゆーことやったんかー!せやったら婿殿、何も迷うことあらへんがなー。
いやー、とうとう決心しはりましたんやなー。いやーめでたい、めでたい!」
喜びの絶頂にいる父を尻目に、あたるはパニックになっていた。
「な・・・何言いだすんだよ、ランちゃん!オレはそんなつもりは・・・」
あたるはランに抗議した。
「だって、ダーリン、もうラムちゃんに愛の告白しちゃったじゃない!責任を取るべきじゃないの!?
もし結婚しないなんていうなら・・・このミニディスクに入っているダーリンの生トーク、
この場にいる全員に公開しちゃうわよーーー!」
ランにこう耳うちされると、あたるはさらにパニックを起こした。
「そんなあ・・・そんなのってありィーーー!?」
あたるはランにこう詰め寄ったが、ツーンとした態度を取られた。
「ラ・・・ラムゥ・・・」
あたるはラムのほうを向いた。
「結婚式は教会で挙げたいっちゃね、ダーリン!」
ラムもすっかりその気になっていた。もはや後戻りはできそうにもなかった。あたるは苦笑するしかなかった。
「いやー、めでたいのう、実にめでたい。なあ、諸星」
サクラは2人の結婚に好意的だった。
「へへへ・・・全くだぜ。この、幸せものが!」
弁天もまた2人を、というよりも表面上はあたるだけを祝福しているようにも見えた。
きっと2人の頭の中には、こんな思惑があるのだろう。あたるも身を固めれば、
少しは夫としての自覚を持つようになり、ガールハントに耽ることも少なくなるだろう、
つまり自分たちの身の安全が確保されるかもしれないという淡い願望である。
「やだっ!オレはひとりの女なんかに縛られたくなぁーい!世界中の女は皆オレのもんじゃーい!!」
あたるはそう叫ぶと、しのぶや竜之介のいる方向にダッシュした。しかし、
「ダーリン・・・バラされたいの・・・?」
突然ランがあたるのそばに現れ、ミニディスクを見せつけると、おとなしくなった。
あたるは恥をかくくらいなら結婚しようと決めたようだ。

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