Welcome To Another World(Chapter 17) (Page 3)
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2度目の鬼ごっこの後、約束しただろうが・・・!!一生かけてでも好きだって言わせてやるって言ったお前に、
オレが『今わの際に』言ってやるって!
妻の務めは、夫のことを死ぬまで面倒見ることではないのか!これでは約束が果たせないではないか!!
ラム・・・後生だ・・・頼む・・・その目を開けてくれ・・・そしてこのオレにチャンスをくれ・・・
お前のことが好きだと・・・お前を愛していると・・・その気持ちを伝えるチャンスをくれ・・・!!
好きだって言わせてくれ!愛してるって言わせてくれ!!オレはお前を・・・心から愛している・・・」
これだけ言うと、あたるはラムの体にすがって泣き崩れた。しかし、その時だった。
「ダーリン・・・それ・・・本当だっちゃ・・・?」
あたるは一瞬わが耳を疑った。
(げ・・・幻聴か・・・?)
涙を拭いながらその時はそう思った。
「ダーリン。今ダーリンが言った事、信じていいっちゃ・・・?」
幻聴ではなかった。紛れもなくラムの声だった。
(ラムの声だ・・・間違いない!そうか・・・あいつ・・・死んでも死に切れず、オレに会いに来たのか・・・)
ラムの声をこのように解釈したあたるは、あの世に旅立つ餞別にと、本音を話す決心をした。
「ああ、本当だとも。信じていいぞ。オレはお前が好きだ。心から愛している」
ラムの問いかけにこう答えた。
「じゃあダーリン、もう浮気しないっちゃ?」
「もちろんだ」
「ウチと正式に結婚してくれるっちゃ?」
「ああ。式は盛大に挙げようぜ」
「ウチと一緒に子作りしてくれるっちゃ?」
「ああ。お前が望むなら、5人でも、10人でも・・・ん!?」
あたるはここまで言った後、なんか変だなという気持ちになった。
「ラム!?」
驚いたあたるは、あわててラムの顔を見た。
「バァ!」
「うわァ!」
突然ラムが声を出したのであたるは仰天してその場に倒れた。
「ウ・・・フフフ・・・ウフフフフ・・・!」
「ぷっ・・・ククク・・・うわははははは!」
その直後、お雪とランの2人は今までこらえていた笑いが一気に噴き出したかのように笑った。
あまりに唐突な出来事であったため、あたるはしばらく状況が飲み込めなかった。
「ど・・・どーゆーこと?」
きょとんとした表情で、あたるはお雪とランに尋ねた。
「私は反対したんですのよ。冗談にしてもシャレにならないって。でもラムがどうしてもあなたの本音が知りたいと・・・」
お雪は、自分は主犯ではないとくすくす笑いながら言い続けた。
「あたしもイヤだって言ったんだけどぉ、ラムちゃんがどうしてもって言うからあ、協力しちゃった。
でもさっきのラムちゃんが死んだ振りしているのを見たときのダーリンの乱れっぷり、傑作だったわねえー。
子供を10人作ってやるですって!タフねー。でもダーリンったら、騙されてるのにも気づかず、
あまりにも歯が浮くようなことばかり言うんだもん。思わず笑っちゃったわよお。悪いとは思ったけど」
ランにこう言われて、ようやくあたるは正気に戻った。そして今までラムに言った「告白」についての弁明を始めた。
「い、いやな、ラム。だ、だから・・・さっき言ったことはだなー、その、その場の雰囲気に呑まれたっていうのかなー。
つ、つまり、その・・・勢いで言ったことであって・・・だからな、本心からというのではなく・・・」
「こぉーら!ダーリンたら、往生際が悪いわよ!ほらっ!」
しどろもどろの弁明を続けるあたるに、ランはMDプレイヤーを見せた。そしておもむろにそれを再生した。
すると、スピーカーからあたるのラムに対する想いを赤裸々に語った様子が生々しく周囲に流れた。
「わっ!わっ!わーっ!!」
あたるはパニックを起こした。顔が真っ赤になっていた。
「ご主人様。これだけはっきりおっしゃられてしまったからには、もう責任を取ってラムと結婚するしかございませんわね?」
MDが流れ終わった後、お雪はにんまりと笑いながらあたるにこう宣告した。
「子供が10人も生まれたら、食べさせるのも大変ねー。まあ、せいぜいがんばってね、パパ」
ランもつられてあたるを茶化した。
「ア・・・アハハ・・・あー・・・」
あたるはもはや笑うしかなかった。その後はただ首をうなだれるままだった。しばらく4人は黙っていた。
「ダーリン・・・ウチ、うれしいっちゃ・・・こうして思いがけなくダーリンの本音が聞けて・・・
これだけ多くの人たちが死んだ戦争が終わった直後に、不謹慎かもしれないけど・・・ほっとしたっちゃ」
しばらくして、ラムが口を開いた。
「本当に不謹慎な奴だよ・・・お前は・・・死んだ振りなんかしやがって・・・」
あたるはこう返事した。
「でも・・・どうせならみんな生きていればよかったのにね・・・」
「ああ・・・」
「結婚式をやるのも、どうせならもっともっと、多くの人に出席して欲しかったっちゃね・・・
ウチの花嫁姿・・・父ちゃんや母ちゃんにも見せてやりたかったっちゃ・・・」
「そうだな・・・」

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