うる星やつら チェンジ・ザ・ライフ 最終章 幻 (Page 1)
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     うる星やつら
    チェンジ・ザ・ライフ
    最終章  幻

 泉は自分の作戦の説明を始めた。
 「まず、諸星君はこの手錠で拘束させてもらうよ」泉は、手錠を出すと、あたるに手錠をかけた。
 突然手錠をかけられたあたるは当然、泉に疑問を投げかけた。
 「おい!これはどう言う事だ!」あたるにかけられた手錠を見てラムも泉に言い寄る。
 「お、お前!やっぱり!!」ラムは全身から放電を始めた。そんな二人に泉は慌てて
 「ちょっ、ちょっと待って!これは作戦なんだ!」と言った。それを聞いてあたるは
 「作戦?」と言い、続けてラムも
 「どんな作戦だっちゃ」と聞いた。泉は、まだ敵意を露にしているラムをなだめる様に説明を始めた。
 「ラムさんはブレスレットを着けて今まで通りに施設に戻って自分の部屋に行き、そこで待機。諸星君は、僕に捕らわれた事にして一緒に施設内へ。施設に入ったら僕は諸星君を隔離部屋に連れて行く事になるからそのまま隔離部屋へ。部屋には外から鍵を掛けるけど、僕がうまく脱出させるから諸星君はそれまで待ってて欲しい」泉の説明を聞いたあたるは
 「お前が助けにくるまで待ってるなんてゴメンだな。俺は俺で動かせてもらう」と言った。しかし泉は
 「そんな事言ったって、隔離部屋からは出られないよ?」と半分呆れた様に言うと、あたるは不敵な笑みを浮かべて言った。
 「ふふ、俺にはとっておきの作戦が有るのさ」それを聞いたラムも
 「ダーリンだったら、絶対大丈夫だっちゃ」と言ってニコリと笑った。泉は、あたるの自信を信じて作戦を決行する事にした。まずはラムが施設に入って行く。案の定、何の問題も無く施設内に入る事が出来た。つぎはいよいよあたる達が行く番だ。泉はあたるに一言だけ言った。
 「もしバレたら、全速力で建物内部に突っ込んで。逃げるよりは生き残れる可能性が高い」泉の言葉を聞いたあたるは
 「もとより逃げるつもりなんて無いさ」と言い、それを聞いた泉は
 「その覚悟、気に入った!」と言って、手錠をかけたあたるの手を引き歩き出した。
 建物に近づくにつれて、緊張感が高まってくる。あたるは、ただの療養施設とは思えない凄まじい殺気を感じた。どうやら泉の言った事は本当だったらしい。泉とあたるは平静を装いながら施設の入口まで辿り着くと、突然中から厳つい、いかにも腕力が有りそうな男が出て来て
 「おい、そいつは何だ?」と泉に聞いた。泉は至って冷静に
 「こいつは研究施設に忍び込んで来たので捕まえて調べてみたら、何かの能力を持ってるみたいなんだ。しかも、かなり強力な」と言った。すると厳つい男が、まるで吟味する様にあたるをあたまの先から足の先まで舐める様に見て
 「どんな能力なんだ?」と泉に聞いた。すると泉は
 「の、能力は、まだ詳しくは調べていないんだ。研究施設の機械が調子悪くてね」と言った。それを聞いた厳つい男は納得した様子で
 「じゃあ、隔離部屋に連れて行ってくれ」と言った。泉はかるく頭を提げると、あたるの手を引きなから歩き方だした。その時、あたるが泉に小声で聞いた。
 〈おい、その隔離部屋とやらに入るときは、身体検査するか?〉それを聞いた泉も小声で答えた。
 〈おそらくな……〉するとあたるは小さな道具を泉に手渡すと
 〈これを身体検査が終わった後に俺に渡してくれ〉と言った。泉は、道具をポケットに入れると
 〈分かった〉と言った。
 泉はあたるを連れて施設内を進み、やがて隔離部屋らしき場所にたどり着いた。その部屋は、窓には鉄格子、ドアは鉄製でドアの窓にも鉄格子が付いている。それは隔離部屋と言う名前の牢獄だった。そして部屋の前には武装をした見張りが1人。
 泉がその見張りに何やら話をすると、見張りはあたるの前に来て
 「お前が何か能力を持っている様には見えないがな」と言いながらあたるの体をあちこち触り、所持品を調べ始めた。あたるが何も持っていない事が分かると泉の方を見て
 「よし、じゃあ中に入れてくれ」と言った。泉は頷くとあたるの手を引き部屋の中に入れ、見張りに聞いた。
 「手錠は外していいんだよな?これしか持ってないから無いと困るんだよな」すると見張りは
 「あぁ、構わない。どうせ逃げられないしな」と言った。泉はあたるの手錠を外しながら、あたるから預かった道具を手渡した。あたるが泉の体を壁にして道具をしまうと泉はあたるに背を向け部屋を出た。見張りは泉が出るとすぐにドア閉め、外から鍵をかけた。泉はあたるをチラッと見ると
 「じゃあ、後は頼んだ」と言った。すると見張りは
 「まぁ、任せておけ」と言った。泉はその場を後にすると、ラムの個室に向かった。
 その頃ラムは自分の部屋で落ち着き無く行ったり来たりしながら
 「うちは、一体いつまでここで待ってればいいっちゃ?」と言った。その時
  コンコンッ
 部屋のドアがノックされた。それを聞いたラムは緊張しながら
 「誰だっちゃ?」と声をかけるとドアの向こうから小さな声で

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