友引町を奪還せよ-act6- (Page 6)
Page: 01 02 03 04 05 06 07 08

地球の最新鋭の情報網と科学力を使わせて貰いました。そのおかげで無事友引町を占拠できました。感謝します」
「貴様!何故二人を不意打ちにした!?」
あたるは二人の会話の間に入り込んだ。
「不意打ちとは聞き捨てなりませんね。あれはあの二人が私と遭遇した際、向こうから襲ってきたのですよ。私は待った方がいいと
言ったのですが、聞いてはくれませんでしたから、仕方なく」
「なにが仕方なくだ!この野郎!!」
あたるは銃口を奥平に向けた。しかし奥平は臆せず、一つの提案をした。
「ここは最終決戦の場にしては小さすぎる。そこでこれを履いてください」
そう言って一つの靴を二足、あたる達の前に放り投げた。
「これは何だ!?」
あたるは声を低くして聞いた。
「これは空中に浮くことの出来る靴です。我々が独自に開発しました。まだ名前は決まっていませんが・・・」
「どういう事だ?」
「空で戦おうと言ってるんです。空なら障害物も邪魔するものは何もない」
「・・・良かろう」

友引町上空
あたると終太郎は器用に浮いていた。
「すこしルールを変更したいと思います。既に人質は解放していますので、私が負けた際は、この友引町を元の形に修復し、その後、刑を全うしましょう。
私が勝った場合は変わりません。では、行きますよ!」
奥平はドーンと言う音と共に文字通り目にもとまらぬ速さで突進した。あたる達は紙一重で避けたが、衝撃波が二人を襲った。
「うわ!!」
わずかながらあたるの目には青白く光る棒のようなものが見えた。
(電磁警棒!!)
慌てたあたるはとっさに終太郎の刀を抜き、電磁敬慕に備えた。
「何をする!?返せ!!」
終太郎はあたるの手首を掴み、取り返そうとしていた。
「状況を話している場合ではない!とにかく貸せ!」
「何を言うか!貴様に刀など使えるか!」
「やかましい!」
荒そう二人を見た奥平は早速勝利を確信したが、口元は笑っていなかった。そればかりか少し心配そうな顔である。
その表情とは裏腹にスピードを上げ、あたる達の目の前で止まり、警棒を振り上げた。
あたるはかまうもんか!といわんばかりに終太郎の手ごと刀を切り上げ、同時に奥平も振り下ろした。
バチバチと音を立てて、二つの武器は拮抗した。
「ぐぬぬぬぬ・・・」
拮抗する武器を見た終太郎は取り返そうとする手をゆるめ、銃口を奥平に向けた。
ドン!と言う音はしたが、銃口の先には奥平はいなかった。その方向の先でバンと看板が凹んだ。
「どこ行きやがった!?」
辺りを見回すがいない。終太郎はもやの中から太陽が出るのが解った。正月である。
そのときその太陽の中から人影が見えた。
「諸星!奴は太陽の中だ!」
「そうか、逆光を利用してたのか!」
あたるは太陽に向かって、見えない敵に発砲した。光から出てきた奥平を今度は終太郎が撃った。
しかしそれもかわした奥平はまたしても高速移動してきた。今度はジグザグに動いて銃のねらいを定まらせないようにし、
だんだんとあたる達に近づいてくる。
「こしゃくな!」
終太郎は刀に手を伸ばそうとしたが、本来あるはずの刀は無い。
「こら、諸星!僕の愛刀をかえせ!」
「ほら!」
少しいらだった声で刀を放り投げた。しかし刀はブーメランのように回転し、とても柄を握れるものではなかった。
「ば、ばか!!」
刀は終太郎の髪をわずかながら切り裂き、そのまま奥平の方へ飛んでいった。
「ねらい通り!」
「嘘を付くな!」
しかし奥平は回転する刀の柄をいとも簡単に取って見せた。
「はい、若・・・」
そう言って刀をやり投げのように投げたが、その速さはとても取れるものではない。
終太郎は万事休すを思い、目を閉じた。しかし刀は見事にさやに収まり、二人は驚きのあまり、反撃する気力を失った。
(こいつ、大口を叩くだけのことはある・・・)
あたるは二対一なら楽勝で勝てると言う考えを捨てなければならなかった。

○△病院 816号室
「大変やああ!!」
そう言って壁に激突したのはテンであった。
「どうしたっちゃ、テンちゃん」
テンは壁から頭を抜くとすさまじい顔で
「あ、あたるのアホが友引町に行ってねん!いまテレビでやっとったんをみたんや!」
「そう・・・」
ラムの反応は意外にも落ち着いたものだった。ラムは友引町を見ると子どもを慰めるかのように言った。
「大丈夫だっちゃ、ダーリンは必ずかえってくるっちゃよ・・・」
「で、でも・・・」
「ダーリンは帰ってきてからウチのおせち料理食べるっちゃ」
そういうとラムは手に持っていた料理の本に目を移した。普通のおせち料理が、美味しそうに並んでいた。
しかしラムは手をふるわせながら、本を逆さに読んでいた。
(ラムちゃん・・・。あたる、帰ってこんと許さへんで・・・。夫としての義務を全うするんや・・・)
テンは子どもながらも夫としての義務というものを理解してるつもりだった。一つはちゃんと働いて家計を支えること、

Page 5 Page 7
戻る
Page: 01 02 03 04 05 06 07 08