友引町を奪還せよ-act6- (Page 7)
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二つ目は浮気をしないこと、そして三つ目は仕事から妻の元へ無事帰ってくること。
これはテンがラムとあたるが結婚する前日、あたるに約束したものでもあった。一つ目はそうするつもりと答え、二つ目は努力はしようと答え、
三つ目は当然と答えた。テンはそのときの約束を信じ、あたるの無事を願った。
ラムの付けていたテレビは正月番組が放送されていた。

再び友引町上空
あたると終太郎は奥平を挟み撃ちにしながら、あたるは木槌で、終太郎は刀で攻撃していた。
それでも奥平はもろともせず、全て受け止めていた。
(この野郎!全部受け止めやがって!ならば・・・)
「どけ!面堂!!」
あたるは木槌による攻撃を止め、すこし後退してから銃を発射した。終太郎はあわててその場から離脱した。
「無駄ですよ・・・」
そう言ってさっ、と避けた。
「今だ!面堂!!」
奥平は終太郎の事を一瞬忘れていた。振り向いたときにはもう終太郎は刀を振り上げていた。
「くっ!」
それも紙一重でかわしたが、バランスは崩れた。それに追い打ちを掛けるようにあたるはまたしても発砲した。
それもかわそうとしたが、三発目を避けたところで四発目が肩をかすめ、五発目以降、全弾、体に直撃した。
「うっ・・・」
奥平は腹を抱えながら、少しずつ降下していった。ゆっくりと落ち、そして友引高校の屋根に着陸した。
二人もそっと降りていき、奥平に注意しながら歩み寄った。奥平はゆっくりと目を開き二人を見ると苦しい表情をしながらかすり声で喋った。
「若、そして若様、私の負けです」
二人は何故かあたるのことを若様と呼ぶ奥平に疑問を抱いた。
「なぜ、俺が『若様』なんだ?」
「私は・・・、軍人と言いましたが・・・、それは嘘なんです。今は犯罪者ですが、・・・六年前まで、ラム様の家で雇われていたんです」
この発言にあたるは終太郎よりも驚きいたが、ショックは受けなかった。高いところにいるからなのか強い風が吹き、あたるの髪をゆらしていた。
「私は庭師だったんですが・・・、ラム様は良く手伝いに来られて、そのうちその魅力に引かれていきました・・・」
あたるは今までのラムに惚れた男とは違うと確信した。どちらかというと自分自身に似ているそう思った。
「それが、五年前、ラム様が地球侵略の勝負のためあなた様に負け、そのまま惚れていった。私は正直貴方を恨みました。
嫉妬に近いものでした。浮気癖で何度もラム様を泣かすような事ばかりして・・・」
あたるは高校時代の自分を少し反省した。
「でもラム様は貴方を諦めなかった。その思いを受け止め、私はラム様を諦めた。そんなある日、一緒に登校しているにもかかわらず、
さらわれたことがあった。(完結編より)私はこう思いました。本当にこの人に任せて良いのかと・・・。そこでこの計画を立てました。
任せても大丈夫な強さなら、このまま帰り、駄目であれば強引でも連れて帰ると・・・。どっちにしろ我々は追いつめられており
捕まるのは目に見えていました。どうせならラム様のためにする事をして捕まろうと思い、大金をはたいてこの作戦を実行しました。
私の部下達は犯罪者ではある物のいい人ばかりで、この作戦に笑って受け入れてくれました」
先ほどの風は強さ一つ変えず、あたるの髪を揺らし続けていた。
「一つ聞かせてくれないか?」
ずっと口を閉じたままだった終太郎が久しぶりに口を開いた。
「この友引町を浮かせるためのエネルギー体がどこかにあるはずだが、それはどこだ?」
「この学校の二年四組の教室です。もう次元操作はしてませんからそのまま行けます」
終太郎は何も言わず、屋上を降りていった。終太郎が降りていくのを確認した後、あたるも口を開いた。階段を下りる音があたるの耳にも聞こえた。
「俺からも一つ。どうして途中ラムを解放した?」
「当初は監禁し続ける予定でした。一応丁重におもてなししましたが、彼女の寂しげな顔は消えませんでした。
そこでここでの記憶を消し、下へ解放したというわけです。私が先ほどの勝負で勝ったら、どのような顔をしても
我慢し、連れて行くつもりでした」
「・・・」
あたるはもし負けていたらどうなっていたかおよそ考えもつかなかった。だだ、ラムとの約束を守るために、そう考えて戦っていた。
「でも貴方は変わる必要はありません」
ラムのために浮気や頑固な性格を止めようとしていたのを解っていたように感じられた。
「ラム様はあなたに変わって欲しいと願っている。でも心の、本人でも解らないところでは今のままでいて欲しいと思っているはずです」
「そ、そうか・・・」
あたるは少し照れ隠しが入っていた。
「そうですよ・・・。さて私の仕事は終わりました。すいませんが右ポケットの通信機をとってください」
あたるは奥平の体に負担を掛けないように慎重に取り出した。取り出した通信機を右手に置き、握らせると口元まで持っていった。

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