オリジナル小説短編版 (Page 2)
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「さて、皆さん、役員決定の方法を変えたいと思います」
いきなりの訳のわからない言葉に一同はとまどった。校長は椅子からコタツに入ると
「毎回、投票方式でやると可愛い子か格好いい人が選ばれるんです。それでは正式な当選とは言えません・・・」
校長はポットから急須にお湯を入れながら悲しそうに言った。そして少し揺らした後、茶碗に注いだ。
「わたしが考える生徒会長は逞しく、生徒全員を従える力を持っていなければ成りません。そこで・・・」
言いかけて校長はお茶を口に運び、ずずず・・・と小さく鳴らした。飲み終えるとバンと机に茶碗をたたきつけた。一同は少しひるんだが、校長はかまわず続けた。
「武道大会を行います!」
「ど、どのようなやり方で?」
ルールがイマイチわからない立候補者及び推薦者代表は少し遠慮して聞いた。
「簡単なことです。トーナメント方式でルール無用の戦いをして貰います。場所はグラウンドにでもしときましょう。審判は現・生徒会長の一一(にのまえ はじめ)君に
お願いします」
そのときドアがコンコンとなり、
「失礼します」
と、ドアから入ってきたのは、一一であった。
「センパイ、変な名前っすね」
あたるが手を頭の後ろで組みながら怠そうに言った。
「仕方ないよ。作者が考えるのが面倒くさいって、適当に付けたんだ」
「ったく、いい加減な作者だ・・・」
「名前変えちゃえば?」
「作者が何をするかわからんぞ、やめとけ」
「そうだな・・・」

で、翌日
「ではこれより、生徒会長戦準決勝を行います」
ここで当たるのはあたると面堂である。決勝戦で当たると思われたが、くじ引きの結果、こののような結果になったのである。
「第一戦、三組○×VS一組□△!準備してください」
対面堂戦は第二試合である。あたるはリング右側、面堂はリング左側でそれぞれ試合前の調整を行っていた。
リングと言っても二十メートル四方にラインを引いたものにすぎないが・・・。
「ダーリン、大丈夫け?」
ラムがいつの間にか右上を浮遊していた。右手にはタオルがある。タオルを見たあたるはふと自分の体を見た。気が付くと汗でびっしょりである。
「そんなに汗かいて・・・。体の具合でも・・・」
「気にするな」
ラムが言い終わる前にあたるは返事した。あたる自身、最後の決着と思うと緊張して仕方がないのである。
正面にいる面堂をにらみつけた。向こうは何人かの面堂ファンの女子に花束をあげたり、サインを書いていたりしている。
向こうも気付いたようである。サインする手を止め、あたるをにらみ返した。
(この戦いで全てが決まる。諸星め、明日からお前は僕の古文だ・・・)
(ふ、馬鹿か?子分の字を間違えているのにも気づかんのか?)
あたるは挑発した顔をする。
(いつもテストで欠点ばっかりとっている奴の言えることか?)
今度は面堂が挑発顔である。
(貴様!おれのテストの点数みたな!?)
(見なくてもわかるさ。お前のような虫けらの点数など欠点以外の何ものでもないからな)
(貴様のようなタコに虫けら扱いされたくないな)
「なんだとぉ!!この面堂終太郎を愚弄する気か!!」
「俺の点数を見た報いだ!」
「見てないといっとるだろうが!」
メガネ達の目は喧嘩を始めた二人を見ていた。
「あいつら結構気が合うんじゃないか?」
「ああ、以心伝心とはこの事だな」

「二年四組諸星あたるVS面堂終太郎!準備してください」
あたるは座っていたパイプ椅子から立ち上がると所定の位置に立った。面堂も真正面に立っている。
「はじめ!」
審判の右手がまっすぐに上へ伸びた。それと同時にあたるは木槌を、面堂は刀を毎度の事ながらどこからともなく取り出した。
「出た!二人の隠し芸!」
観客席から声があがった。どうやらあたるの木槌出しと、面堂の刀出しは隠し芸として見られているようだ。
「諸星!今度は学級委員のときのようにはいかんぞ!」
「返り討ちにしてやる!」
面堂は走り出した。そのまま刀を抜き、振り上げずにそのままあたるに斬りつけた。しかし面堂の目にはあたるの姿はない。   
すかさず上を向いたが、避けるのには不可能に近い距離までにあたるは降りてきていた。
「避けられないとすれば・・・、切るしかない!」
面堂は刀に渾身の力を込めて刀の刃を木槌にあてた。しかし切れ目は入るものの、刀で切るには無理があった。刀は食い込んだまま、木槌から離れない。
あたるも面堂もお互いの武器を外さず、歯を食いしばっていた。
「諸星っ、こ、降参しろっ・・・」
「なにを・・・言うかっ」
言葉がとぎれとぎれつまった。そのまま三十秒ほど二人は動くに動けなかった。
(どうする?ここで木槌を引き上げれば面堂の刀も食い込んだまま、奴の手から放れるだろう。だが、もし刀がはずれたら俺のボディーはがら空きだ。
下手な賭をするよりあいつの出方を待つしかない)
(くそ、このままではらちがあかん。しかし下手に動けば隙が出来てしまう)

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