Welcome To Another World(Chapter 1&2) (Page 1)
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Chapter 1 Prologue  
「フッフッフ・・・ついに・・・ついにこの日が来た」
薄暗い空間で、1人の男がそう呟いていた。その男の目の前には、青い地球が見えていた。
そう、彼は宇宙人なのである。彼の乗るUFOからは地球がよく見える。彼とその仲間は今まさに地球へ向かわんとしていた。
「あの忌々しいスーペリオル族どもをこの宇宙からせん滅する日が、ついにやってきたのだ!!ふはははははは・・・!!」
彼は再び口を開き、そう言って高らかに笑った。
みなさん、こんにちは。三宅しのぶです。友引高校に通う「普通の」女の子です。
あの日から、あたる君とラムによって行われた、地球の未来と2人の愛をかけた10日間にわたる「鬼ごっこ」から、1ヶ月が経ちました。
私たちは3年生になりました。クラス替えも行われましたが、私たち2年4組はそのまま3年4組になりました。
3年生になって何か変わったのかというと、変わったのは教室の場所だけで、ほかは何も変わってはいません。びっくりするほどに。
特にあたる君は、あの鬼ごっこの後、少しはラムに対する接し方が変わるのではないかと思っていたのですが・・・
「しのぶー。今度の日曜日映画に行かなーい?」
「ダーリン!!よくもウチの目の前でそんなことぬけぬけと言えるっちゃね!?天誅だっちゃ!!」
バリバリバリ・・・・・・
「ドワーーーーッ!!!・・・・え・・えへへ・・し・・・しのぶ、助けて・・・」
「えーーい、うっとおしいっ!!」
バキイイッ
・・・とまあ、こんな調子です。こんなことが毎日続いていました。正直言って退屈で死にそうでした。
しかし、ある日を境に、私は、いいえ、世界中の誰もが「退屈」などとは言わなくなりました。そう、その日が来るまでは・・・
Chapter 2 地球人って何なんだ
ここはどこかの森の中。あたるは大木に寄りかかっていた。
「う・・・うう・・・体が・・・熱い・・・み・・・水を・・・くれ・・・」
あたるは搾り出すような声で激しい喉の渇きを訴えた。全身に大火傷を負っていた。
するとあたるの目の前にいた少女が、分かったと言って水を持ってきた。
「はい。お水・・・」
と、少女から差し出された水をあたるは瞬く間に飲み干した。その時その水がひどくうまく感じた。
体はボロボロだったが、何とかお礼を言おうと、あたるは懸命に頭を起こそうとした。少女の顔がチラッと見えかけた。
その瞬間、目が覚めた。周りを見てみると、自分の部屋だ。あたるたちの運命を変えた「あの日」が来る1日前の朝だった。
「なんだ、またこの夢か・・・」
ここ1週間、あたるはこの夢を見続けている。今ではあたるの目覚まし代わりだ。
時計の針は7時を指していた。彼がこの時間に一人で起きるなど、奇跡である。
眠そうに両目をこすっていると、押入れからラムとテンが出てきた。
「おっはよーだっちゃ!あれ?ダーリン今日も早いっちゃねー」
「これでもう7日目や。ホンマ奇跡やで。あたる。お前なんか悪いモンでも食ったんとちゃうか?」
2人とも起きぬけというのにテンションが高い。
「うるっせえなー・・・オレが何時に起きようと勝手だろ」
あたるは左手で頭をかきながら2人のほうを向き、機嫌悪そうな声で返事した。
3人は1階の居間に向かった。いつもなら慌しそうにしている母の声が聞こえるはずなのに、今日はしない。
「あれっ、おかしいなー。母さん!いないのー?」
あたるは母を呼びながら居間に入ってみると、そこには朝食の準備がなされていた。
が、やはり両親の姿はなかった。代わりに置き手紙がおかれていた。
<今日から3日間、父さんと母さんは旅行に行ってきます。場所は由布院です。連絡先はここに書いてあるとおりです。
朝食は用意しておきました。味噌汁もあるので、暖めて飲みなさい。
戸締りと火の扱いには十分気をつけなさいよ。それと、ラムちゃんと2人きりになったからといって間違いがないようにね>
「ちっ!またかよ・・・・・・ったく!何が間違いじゃ!」
手紙を読み終わった瞬間、あたるはそうぼやいた。その横ではラムが小躍りして、
「わーい!やった、やったァ!これで今夜はダーリンと2人っきりだっちゃ!」
と歓喜していた。それを聞いてあたるはあわてた様子で、
「な、何をバカなことを言っておるんじゃ!ジャ、ジャリテンも一緒ではないか!」
とラムに向かって言った。するとラムが、
「ブーッ!今日はテンちゃんはおば様のところだっちゃ!今日は久しぶりの休みだから一緒に過ごそうって。ねぇ、テンちゃん!」
とニッコリ笑いながらテンのほうを向いて言った。
「う、うん・・・でもなぁ、ラムちゃんとあたるのアホを2人っきりにするなんて・・・心配やなぁ・・・
やっぱりワイ、お母はんのところ行くの、やめよかなぁ・・・」
テンが心配そうにそう言うと、
「だめだっちゃ!せっかくおば様がお仕事が忙しい中時間を割いてくれたんだから会ってあげなきゃ。
それに、ウチもダーリンももう子供じゃないんだから、心配しなくても大丈夫だっちゃ!」

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