パラレルうる星小説PART1「高校野球編:第2話叶う夢・叶わぬ夢(前)」 (Page 5)
Page: 01 02 03 04 05 06 07

コースケも突き返す。そのうち2人は観客が未だ多く残る球場で乱闘を始めた。しかし、審判に見つかる前に、メガネ、パーマがそれを止めた。
「ええい、どけ、メガネ!」
「何やってんのか、わからんのか!?こんなとこで乱闘するな!出場禁止になったらどうするつもりだ!」(メガネ)
「そうだ!いい成績残したからって舞い上がるなよ!」(パーマ)
2人は出場禁止の言葉で大人しくなった。
「ったく、こんなこんなことしか俺たちの出番はだせんのか、作者は!」(メガネ)
メガネはがに股で去っていく。
「全く、全く」(パーマ)

コースケ宅
「ただいま〜」
コースケがドアを開けて返ってきた。すると玄関前の電話で母親が反応した。
「あ、ちょっと待って、今代わるから。コースケ、電話!」
「誰から?」
「留羽くんから」
「留羽君?ああ、黒川さんね。はいはい・・・」
脱いだ靴靴を放り投げると母から受話器を受け取った。
「もしもし・・・」
『どうだ?あたるに何か変わった様子は合ったか?試合を見てると何も変わった様子は無いみたいだが・・・』
「ああ、別に練習もその様子もいつも通りですけど・・・。ただ・・・」
『ただ?』
「家ではやはり元気はないようです。いつもは試合後に俺とラムちゃんと面堂とであたるの家に集まって試合の反省会をするんですけど、
 今日はあたる、それを断って面堂ん家でやってくれって・・・」
『そうか・・・。やっぱり悪いことしたな・・・試合中のあいつの球はどうだ?』
「上々です。あいつのストレートはあなたより速いですよ。コントロールは凄まじいですけど・・・」
『そう言えば、今日何でストレートばっかり投げさせたんだ?』
「ああ、あいつ黒川さんの事でイライラしてそうでしたから、力一杯投げさせたんです」
『そうか・・・。じゃ、俺は今から検査があるんでな。話はここまでだ』
「うぃーす」
そういって電話をおいた。少しその電話を見つめた後、面堂の家に向かうべく、自分の部屋に着替えに行った。
 
面堂家 正門
コースケとラムは門の大きさに呆然としていた。
「相変わらず、でかい家だな〜」
「だっちゃね〜」
すると門が開いて上の小さなスピーカーみたいなのもが面堂の声を出した。
「初めて来たわけではあるまい。さっさと入れ」
門がガチャと音を立てたかと思うと、門がぎ〜っと音を出して開いた。玄関に入ると家のメイドらしき女性に誘われるままに面堂の自室に案内された。
部屋を空けると中には誰もいない。
「あれ?面堂?」
「ここだ!」
部屋から見える庭にバッドを持った面堂がいた。タオルを首にかけて、結構汗をかいている。
「よ〜、相変わらず、張り切っとるの〜。そ〜いや、昨日の試合で二打席連続ホームランだってな」
「たわけ。お前も今日の試合で場外ホームラン打ったろ?パワーだけなら、俺以上だな」
「パワーだけってどーゆー意味じゃ?」
「そういう意味だよ。そう言えば何であいつ来ないんだ?」
「あいつ?」
「諸星だよ」
「ああ、ちょっとな・・・。今は触れん方がいい。下手に触れたら木槌で殴り殺されるかねん・・・」
「冗談に聞こえんぞ」
面堂はタオルで汗を拭きながら部屋に入った。

「で、今日の試合、ストレートばっかり投げたのはなんでだ?」(面堂)
面堂は冷蔵庫からラムとコースケ、そして自分の分のジュース缶を取り出した。
「ストレス解消だよ。ちょっといろいろな事があってな」(コースケ)
「無謀な事するな〜。仮にも相手はあの大垣だろーが」
「自信だよ・・・」
ふたを開けた缶を一口飲むと、缶を両手で握りしめながらコースケは呟いた。
「は?」
「あいつならストレートだけでも勝てそうな気がしたんだよ。たとえ、どんな凄いバッターでも討ち取れそうな気がする。むろんお前もな・・・」
「おまえ、俺の昨日の試合、見てないのか?」
「見たよ。お前んとこの相手だったピッチャーがどんなに凄いかも知ってる。それを踏まえた上でいっとるんだ」
「大した自信だな」
面堂あきれ顔で言う。しかしコースケは真面目だ。
「もしかしたら、今年は甲子園に・・・、いや、全国制覇だってあり得るかもしれない・・・」
コースケの台詞にラムはぴくりと反応した。
「まあ、夢は大きい方がいいからな」(面堂)
「なんだ、その意味ありげな台詞は?」(コースケ)
「今年も来年も準優勝ってことだよ。決勝で俺たちに負けてな・・・」
「その台詞、お前にそっくりそのまま返すぜ」
「遠慮しておこう」
「まあ、そう言わずに受け取れ」
そのうち2人は乱闘を始めた。ラムはそれをあきれ顔でしばらく眺めると面堂邸を後にし、家へ帰った。
「ただいま〜、だっちゃ」
居間に行くと父が新聞を読みながらテレビを見ている。ラムは少し奇妙な光景に思えた。
「おお、ラム、帰ってきたか」
一言ラムに言うと父は再び新聞に目を向けた。
「とうちゃん・・・」
「ん?」
「今年、もしかしたら・・・」
「なんや?」
ラムの父は新聞を折り曲げて、体ごと方向ラムに向けた。

Page 4 Page 6
戻る
Page: 01 02 03 04 05 06 07