パラレルうる星小説PART1「高校野球編:第2話叶う夢・叶わぬ夢(前)」 (Page 7)
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面堂も構える。あたるは振りかぶり、左足を踏み込むと右手を円を描くようになげた。あたるにはそれがスローにさえ感じた。
(なんだ、この感覚は・・・)
あたるは訳がわからなかった。
まわりの音が聞こえなくなり、まるで空き地で面堂と2人だけの勝負をしているのかと思うぐらい、静かだった。
すると急に意識が現実に戻り、手からボールが放れた。ボールは一直線にキャッチャーミットに飛んでいく。面堂はそれを思い切り振った。
ホームランねらいだ。
スパーン!!
面堂は振った感触はなかった。
「なっ・・・」(面堂)
「へっ・・・?」(あたる)
ボールはキャッチャーミットの中に収まっている。投げた本人も空振りをしたバッターも驚きを隠せない。

再び球場
「お前が空振りを?」(温泉)
「ええ、初めての体験でした。僕はどんなに速い球でもあてる自信はあったんです。たとえ、飛麿相手でも、打てていたんです」
「だが、目が慣れてなかったからじゃないのか?その投手はやる気のないボールを投げていたんだから」
「それも理由の一つなんですが、それでもあいつに飛麿以上のモノを感じました・・・」
会話中に歓声が上がり、驚きで面堂の目は丸くなった。あたるが三振をとり、チェンジになったのである。

「ええで、その調子や、あたる。次の回は、四番の三鷹と、五番の五代が待っとるからな。次が正念場や。気ぃ入れて行けや!」(親父)
「オウ!!」
『二回の表、友引高校の攻撃は四番・キャッチャー白井くん』
コースケの名を呼ぶ場内アナウンスと同時に味方スタンドから歓声が上がる。
「なんだよ!コースケだけ特別ってか?」
あたるがヤキモチにも似た気分で歓声を受けたコースケの背中を見ている。
「へっ、どうせ、ファーストごろ・・・」
カキーン・・・。あたるの言葉は真芯にあたったバッドの音によってかき消された。ナイン達はコースケの打ったボールに釘付けだった。
そして、そのボールはフェンスぎりぎりのところにすっぽりと入っていった。
『・・・ホ、ホームラン・・・。ホームランです!!友高四番!東東京の大砲!!白井コースケ!!初球ホームランです!!
 しかも相手はあの五代です!!ヒットはおろか、ボールに当てることさえ困難なあの五代のボールがスタンドへと消えていきました!!』
「ええい!騒ぐな!コースケホームランなんていつものことだろうが!」
あたるはベンチにおいてあるラジオと喜びに満ちあふれる友高ナインに向かって渇を入れる。
「騒ぐなと言う方が無理だろーが!」(パーマ)
「そうだっちゃ!もっと素直に喜ぶっちゃ!」(ラム)
「ホームランだぜ!ホームラン!あの五代からホームランだぜ!」(竜之介)
あたるの表情が一変した。
「五代?あれ、五代って去年卒業したじゃなかったの?」
「何言ってるっちゃ。あいつは今三年だっちゃよ。卒業したのは四谷だけだっちゃ!」
この言葉にあたるはほかのナインを吹き飛ばして、ベンチを駆けだした。
そして球場を一周してきたコースケに飛びかかった。
「コースケェ!」
飛んできたあたるをコースケはさっと避け、あたる地面にぶつかった。
「ええい、騒ぐな!俺のホームランなんていつものことだろうが!」(コースケ)
「馬鹿者!五代からのホームランなら話は別だ!」(あたる)

二回の裏
『三振!』
『三振!二者連続三球三振です!!しかも相手は三鷹、五代の怪物バッター!!それを三球三振!!これは凄い!!友高のエース、諸星!!
 大会NO1ピッチャーは健在です!!もはや、友高は昨年のそれとは格段の差です!諸星、白井の率いる友高は甲子園初出場、初優勝の栄光も夢ではありません!」
あたるがガッツポーズをして見せた。それに会わせて友高応援団もヒートアップしていく。
「おらぁ!」
調子にあたるは一刻商の六番に声を入れて投げた。
『三球三振!!三者連続三球三振!!これぞ大会NO1投手!!』
そのまま試合は六回の表まで、友高のペースで進んでいった。
三回の表、五番のレイがツーベースヒットを放ち、六番、カクガリは内野フライ。七番メガネが五代の投球ミスから振る逃げ、その際にレイは三塁に移った。
その後、八番パーマがキャッチャーフライでアウトを取られると、九番チビの内野安打で一点を追加した。その後、竜之介が出塁したが、牽制球により、アウト。
三回の裏もあたるの球は好調で、全員内野ゴロでチェンジ。四回の表は内野ゴロ、三振、外野フライで無得点。
その後、五回の裏、再び回ってきた三鷹にスリーベースヒットを打たれ、五代の犠牲フライで一失点した。しかし、五回の表、レイがヒットを放つと、
カクガリのボールを見ない、めちゃくちゃなバッティングが偶然真芯にあたり、場外ホームランとなり、4対1。完全に友高ペースとなった東東京決勝戦、
だが、甲子園が見えてきた六回の裏、事態は急変する。
〜続〜




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