パラレルうる星小説PART1「高校野球編:第2話叶う夢・叶わぬ夢(前)」 (Page 6)
Page: 01 02 03 04 05 06 07

「いや・・・、何でもないっちゃ!」
重苦しい空気を振り払いように明るい笑顔を見せてラムは自室に向かった。父は少し変な気分になったが、あまり気にもとめず、再び新聞に目を向けた。

ラムの部屋
(もしかしたら・・・、今年も甲子園に行けないなんてとうちゃんにいえないっちゃ)
ベッドの上でたいそう座りをしながら、額を膝にくっつけていた。

PART5「東東京決勝戦前編」
『さあ、いよいよやってきました!東東京地区決勝戦!!先ほどすでに西東京代表に豪太刀学園二年ぶりに甲子園出場を決めました!
 次に決まる東東京代表は大半が二年生の友引高校か!?それとも春の選抜優勝校の一刻商か!?その運命のプレーボールがかかりました!』
ウゥゥゥゥ・・・
サイレンと共に両校の応援団が楽器やらメガホンやらで騒いでいた。友高は先攻である。
一番は竜之介で、バッターボックスに立つと一刻商のエース、五代の登場に驚いた。
(あのやろ〜、三年だったのか)
早い話が、ルパと同い年だと思っていたわけだ。
竜之介がそう考えているウチに五代のストレートが飛んできた。とっさにバッドを振ってしまい、ボールはファーストに転がって、アウト。
ベンチに戻ると早速文句が飛んでくる。
「なにやってんだ?ボール球に手ぇだしやがって」(あたる)
「あんなの、ふつう振らねえよ」(コースケ)
「うるせい!!」
ベンチに竜之介の声が響き渡る。
『二番、ショート、因幡君』
『二番、因幡。友高唯一の一年生!その足には監督からも定評がありますが、当てなければ意味がありません。三振!』
『三番、ピッチャー諸星君』
『打率ならスーパーバッター白井に並ぶピッチャーの諸星!しかし三振!』
あたるはベンチに帰りながら、出迎える白井に言った。
「お前いつからスーパーバッターって言われるようになったんだよ?」
「準々決勝か準決勝ぐらいかな?あのときホームラン打ちまくったからな」
そう、記述しては居ないが、コースケは大会中七本のホームランを打っているのだ。しかも三本が場外に消え、二本は満塁ホームラン、
打率も6割をこえているのだ。あたるは大会NO1ピッチャーとしてすでに名は広まり、バッターとしても注目されてはいるが、コースケの人気と
長打力の無さに打者としてはあまり有名ではない。
『一回の裏、一刻商業の攻撃は一番、ショート、大見くん』
「いくで、大会ナンバーワン守備力を誇るウチ俺らの見せ所や。気合い入れて行けや!」
親父が守備につこうとするナイン達に叫んだ。ナイン達は一人づつ、あたるの尻をグラブで軽く叩いてから守備位置に向かった。
「遠慮せずにバーンと行け!」(竜之介)
「打たれたら死んでも取ってやるからよ」(パーマ)
「あの・・・、がんばってください・・・」(因幡)
「ホームラン打たれたら殺す!」(メガネ)
ピッチャーのあたるに声をかけるナインだが、カクガリはコースケに声をかけた。
「あいつの女房役はやっぱりお前しかいないからな。しっかりリードしてやれ!」
コースケはおうと軽く返事をした。

外野席
そこに面堂が座っている。むろん、試合の観戦である。しかし応援ではない。甲子園に行ったときのための対抗策を練るため、いわば偵察である。
右横には豪太刀のエース・水之小路飛麿が同じく観戦をしているが、面堂と違って興味はないため、ホットドッグをむさぼり食っている。
「せっかくの日曜日に何で偵察に来るわけ?どうせ、甲子園の初戦ではあたらないんだから、初戦の時に偵察すればいいのに・・・。大体・・・」
飛麿は空を見上げながら文句を並び立てる。面堂はそれをひじうちで沈めた。飛麿はそのまま倒れ込んだ。
「ええい、騒ぐな!」
「しかし、お前が注意するピッチャーか?甲子園にはあの程度のピッチャーはいるぞ」
左隣に温泉マークが座っていた。少し面堂は驚いたが、すぐに落ち着きを取り戻した。
「ええ、あいつの全力投球ははかりしれません」
「どういう事だ?」
温泉がゆっくりと面堂に視線を移す。
「中学の時、あいつにバッティング投手をやらせたことがあるんです・・・」

二年前 六輝中学校グラウンド
キーン・・・
学校中に響き渡る小気味よい音に、何人かの生徒が耳を傾けていた。
「ええい!もっと速いボールを投げられんのか!」
面堂がバッティング投手をやらせているあたるにバッドを向ける。しかし、あたるもグラブを向けて叫ぶ。
「何故、俺にバッティング投手やらすんじゃ!」
「お前しか居ないだろうが!!」
たしかに六輝中は飛麿とあたる以外まともな投手はおらず、これが毎年問題となる。
「やかましい!俺は帰るぞ!」
あたるはグラブを地面にたたきつけ、その場を去ろうとした。
「ええい、お前のような無能モノにはもう頼まん!一年生の方が未だマシだ!」
これにはあたるもかちんと来た。素早く後戻りをするとグラブをはめる。
「いいか!これでもしおれを討ち取れなかったら俺は帰るぞ!最後の一球だ!」
「安心しろ、お前を帰すつもりはない」

Page 5 Page 7
戻る
Page: 01 02 03 04 05 06 07