Welcome To Another World(Chapter 17) (Page 1)
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Chapter 17 この命ある限り
「く・・・くそっ!!」
あたるに手を掴まれたフィリップは、あたるの手を振り解き、空中に逃れた。
「はあっ!!」
あたるがフィリップを追い詰めようと刀を大きく振ると、刀に通じていた電撃が筋状になってフィリップに襲いかかった。
「く、くあっ!!」
フィリップは間一髪のところでそれをよけた。しかし次の瞬間にはあたるは彼の後ろにいた。
「でやあーーーっ!!」
あたるはフィリップの背中を思いきり斬りつけた。そこから血が噴き出した。
「ぐわあーーーっ!!」
フィリップは墜落し、真正面から地面に叩きつけられた。
「立て!それほど効いていないはずだ。薄皮一枚しか斬ってないんだからな!!」
うずくまっていたフィリップに、あたるは容赦なく詰め寄り言い放った。
「キ・・・キサマぁ・・・!!」
起き上がりながら、怒りに震えながらフィリップはそう言った。
「フィリップ!オレは覚醒した今となっては、空も飛べるし、このとおり電撃も出せる!
もうキサマには、何のアドバンテージもない!!パワーもスピードも、オレにはかなわない!!諦めろ!!」
あたるはフィリップの顔を見つめながら、そう宣言した。
「だ・・・黙れ、黙れェ!!」
フィリップはあたるの忠告に耳を貸さず、さらに襲いかかった。
しかし、あたるにストレート、アッパー、とどめのサマーソルトキックを食らい、返り討ちにされた。
ビルの外壁に叩きつけられたフィリップを、あたるは容赦なく引き起こした。
「フィリップ!お前はどうしようもない大バカヤロウだ!!」
そう叫ぶと、顔面にストレートを浴びせた。
「はがあっ!!」
顔面にもろに食らったフィリップはそのままライナーで吹っ飛んだ。
「お前の妹が、ジャンヌがどんな思いでお前と戦ったのか!彼女の平和を願う気持ちが・・・!!
実の兄に刃を向けざるを得なかった彼女の苦しみが・・・!!お前にはわからなかったのかーーーっ!!」
外壁に叩きつけられる前に、あたるはフィリップに追いつき、アッパーで追い討ちをかけた。
「ぶわああっ!!」
フィリップは空高く飛ばされた。
「この戦争で死んだ多くの人たち、怪我をした多くの人たちの痛みや苦しみが分からないような奴に、
ユートピアなど造れるものかーーーっ!!」
あたるはフィリップの上に回り、そう叫ぶと、ラムとは比べ物にならない強烈な電撃をフィリップに放った。
「うがあーーーっ!!!」
フィリップはガードが間に合わず、あたるの特大電撃をまともに食らった。激しく地面に叩きつけられた。
「ち・・・ちくしょ・・・お・・・!!」
しばらくうずくまったままだったフィリップは、仰向けになると再び口を開いた。
「これで少しは殺されたもんの苦しみと痛みと恐怖が分かっただろう・・・
あっさり殺してしまったのでは、キサマに対する制裁にはならんからな」
あたるは仰向けに寝そべっているフィリップを見下し、そう言った。その後5分間、容赦なく攻撃を加え続けた。
「があっ、ぎゃあ!!」
あたるは悲鳴を上げ悶絶するフィリップを容赦なく攻め立てた。その姿はもはや弱い者いじめであった。
「お・・・おのれぇ・・・!!おのれぇーーーっ!!」
あたるにコテンパンにやられたあと、唇を噛み締めながらフィリップは叫んだ。
「自分の婚約者や妹を平気で犠牲にするような、男としての誇りを捨てた奴が、オレにかなうものか!!」
こう言い放つあたるの表情は、フィリップに対する憎悪というよりは、軽蔑に近いものであった。
「な・・・なめるなよ・・・このままでは済まさんぞ・・・!!必ずキサマを殺してやる・・・!!
この方法だけは使いたくなかったが・・・そうは言ってられんようだな!!」
フィリップは自分の両方の角を掴むと、何とあたるの見ている前で、自らそれをへし折って見せた。
「ぐぎゃあーーーー!!」
猛烈な激痛からか、フィリップはけたたましい声で悲鳴を上げた。
「な・・・何だと・・・!?」
突然の彼の行為に、あたるはただ驚いた。それと同時に、彼から感じられるエネルギーが高まるのを感じた。
体の筋肉は増え、発せられる電撃は凄まじく、目は前にも増して真っ赤になった。その姿はもはや獣であった。
「グルル・・・グギャアーーーー!!!」
フィリップは獣のような叫び声を浴びながら、ものすごいスピードであたるに襲いかかった。
その理性を失った様で自らに襲い掛かるフィリップの姿を見て、あたるは確信した。
「キサマ・・・人間としての誇りまで捨て去ってしまったのか!!」
そのあまりの往生際の悪さに、あたるの怒りはさらに増した。
「ぐっ!!」
フィリップはさらに鋭さを増した爪で、あたるの胸を斬った。しかしかすり傷だった。
「はああーーーっ!!」
すかさずあたるは自分の電撃を吸収した刀で、フィリップの左腕を肩から切断した。その傷口から血が噴き出した。
「がぎゃあーーーー!!」
その場に倒れしばらく悶絶したあと、フィリップは再び立ち上がった。
「グルルルル・・・!!」
そのしぶとさにあたるは驚いた。

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