高校野球編:第三話 最初の挑戦・最後の挑戦 (Page 3)
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しかし、それでも問題は残っている。秋季大会とラムである。あたる達が再入部してから、直ぐに秋季大会が始まるのだ。
その時エースを誰にするかが問題などいろいろ問題が出てくる。
そしてもう一つの問題のラム。ナインとは違い、未だに、あたると話そうとすることは無かった。
翌日
いつも通り、友引高校に登校してくるあたるとコースケ。しかし、ラムは居ない。
今日、登校したのは、練習だけではなく、夏の補習なのだ。そのあと野球部の練習が始まる。部活に入っている者は、
夏休みなど殆ど意味がないのである。
「・・・」
いつもはぺちゃくちゃ話しているこの2人だが、あたるは全く話さない。コースケの悩みのない顔とあたるの悩んでいる顔は、
明暗がはっきりしている。
しかし、コースケは何も解っていないと言うわけでも無かった。あたるとラムが話す姿など全く目にしないからだ。
「いつまでこんな事続ける気だ?」
コースケのこんな質問にあたるはそれほど驚くこともなかった。ただ、少しコースケの顔を見ただけで、また暗い顔をする。
するとコースケはあたるの後頭部をカバンで殴った。あたるは顔から地面にたたきつけられた。
「何しやがる!」
「見てわからんか?登校しとるんだ」
「んなこたーきいとらん。何で殴ったときいとるんだ!」
「カバンで殴ったんだよ!」
「はぁ!?」
あたるは笑ったような怒ったような顔でコースケの胸ぐらを掴む。一つ間をおいて、コースケはあたるの手をほどくと横を向いた。
「いつまでも、ラムちゃんとギスギスした関係になるのは止めておけ。こっちがストレスが溜まる」
ラムの名前が出たとたん、あたるはドキッとする。
「な、なんだよ、ギスギスした関係って・・・。俺とラムはなんでも・・・」
動揺が丸見えだ。
「ほ〜、だったらラムちゃんとの会話が全然無いのはなんでかな〜?」
コースケは少しにやついた顔であたるに迫る。
「べ、べつに話すことがないからで・・・」
「一ヶ月も?」
まるで取調室の刑事と被疑者だ。
「そ、そうだよ・・・。悪いか?」
「十分にな」
あたるは黙るほかなかった。コースケはもう一回カバンで殴った。今回はあたるも何も言わない。
教室
あたるは乱暴にカバンをおいて席に座ると、足を机の上に置いて、椅子を後ろに傾けた。
(ええい、胸くそ悪い・・・)
あたるの席は廊下に一番近い列の後ろから二番目。逆にラムは窓に一番近い列の一番前。
ついこの間、席替えがあり、席が隣だった二人は一気に遠くなった。
あたるはその遠いラムの席をみた。まだ来ていないのか、どこか寂しげにたたずんでいる。
「・・・」
あたるはラムの席から目をそらし、チッと舌打ちした。休み時間になるとあたるはカバンから弁当箱を取り出した。
するとコースケも弁当を持ってきて、あたるの隣の席から椅子をあたるの席の横に置いて、そこに座った。
「なんだ、お前も早弁か?」(あたる)
「何言ってやがる。もう昼休みじゃ」(コースケ)
あたるは「エッ」と言って時計を見た。既に午後に突入している。
「何か、考え事してたな?」
コースケの一言にドキッとするあたる。
「ラムちゃんのことだろ?」
コースケはあたるに軽くひじをつく。
「ん、んなわけあるか!」
そういうとあたるは弁当のご飯を一気に口の中になだれ込ませた。しかし、パターン通りのどに詰まらせる。
「ん〜っ!ん〜っ!」
胸をどんどんと叩いたが、そんな事で苦しみが経るわけでもなく、コースケに飲み物をねだる。
「だったら、ラムちゃんと仲直りするか?」
あくまで首を横に振る。
「じゃあ、やらん。自分でなんとかせい」
コースケはそう言って、自販機で買っていたお茶を手に取った。しかし、それをすかさずあたるが奪い取り、一気に半分ぐらいまで飲み干した。
「あっ!コノヤロォ!」
お茶の入ったペットボトルを奪い返し、一発殴る。
「ええい、騒ぐな。減るもんでもなかろうが!」
「減るわい!」
もう一発。あたるは叩かれた頭を抑えながらコースケをにらむ。
「痛いではないかっ」
「殴って痛いと思わない人間が何処にいる!?」
十分後
弁当を食べ終えた2人はラムとのことで再び抗論となった。
「だから、お前が謝れば済むことなんだよ!」
「誰が謝るか!」
「何でだよ!」
「それが俺のモットーだ!」
「ほざけ!」
コースケはあたるに放棄で殴ろうとしたが、あたるはそれを避けた。抗論からそのうち放棄チャンバラへと姿を変えた。
しかし、何故か双方放棄で一発も殴られない。もの凄い反射神経と運動能力が襲いかかる放棄から身を守っていたのだ。
周りは野次馬から、競馬場に来た親父のようになり、終いには賭まで始めた。しかし、このまま黙っている学校ではない。
教室に鬼と言われる教頭が来て職員室に呼び出されたあと、帰ってきたのは昼休み後の五時間目の途中だった。
そして、五時間目が終わる。
「ええいくそ。教頭のやろ〜」
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