高校野球編:第三話 最初の挑戦・最後の挑戦 (Page 6)
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『三振!友高、藤波の完封で二回戦進出!!』
二回戦 友引高校対大安工業。敵の守備の良さに打撃陣は苦労するが、コースケとレイの活躍で二点先取。一方、あたるは
フォアボールの連続でたびたびピンチを招くが、敵に点を取らせることもなく、九回の表。
『打ち上げたァ!友高の諸星、ノーヒットノーラン達成!』
三回戦 初回、竜之介がボークを取られ、それが相手打線に火を付ける。五回までに四失点。コースケを中心とする打線も焦りの
せいで、なかなか点を取れずにいた。しかし八回、七番・メガネの安打を筆頭に九番チビが珍しく二塁打を打ちワンアウト、二塁三塁。
その後、一番・竜之介が二塁打を打ち、二点を返す。その後、九回、因幡とあたるは相手のフォアボールで一、二塁。
そして『四番、キャッチャー、白井君』のコールの後、フルカウント。そして・・・。
『打ったァ!これは伸びる!これは伸びる!レフト見送って・・・、入ったァー!白井、逆転サヨナラホームラン!!』
新聞のとりわけ、スポーツ新聞では逆転サヨナラホームランのコースケとノーヒットノーランのあたるが一面を支配していた。これにより、エースはあたる、四番はコースケとなった。
竜之介の反応は自分の実力不足と言って、エースをあたるに快く譲り、強打者としてのプライドがないレイは表情一つ変えなかった。しかし、竜之介もレイも後々、活躍することになる。
準々決勝 大垣学園対友引高校
エースはあたるだが、この日は夏風邪のため、竜之介が登板。しか、二番手とは思えない投球で、六回までを無失点。しかし、友高も無失点と互角の試合内容。
スコアボードを動かしたのは、カクガリだった。たまたま、相手投手のミスでど真ん中に飛んできたボールを見事に空振りして、相手投手は油断。その後、豪快なホームランで一点先制。
しかし、これは今大会二安打目だった。八回、相手の犠牲フライで失点かと思われたが、竜之介が見事に刺し、無失点。九回には因幡が出塁後、レイがとどめのタイムリーヒットを放った。
『友高、準決勝進出です!以前までのベスト8の壁もうち破りました!』
準決勝 友引高校対第二青柳高校
この大会はあたる、コースケが地区のスターとして、広く名を知られることとなる。
あたるのパーフェクト達成、及びコースケの二打席連続ホームラン。準決勝に入って友引高校は夏の甲子園へのスタートを切り始めていた。
初回、一、二、三番がそれぞれシングルヒットでノーアウト満塁。そしてコースケのホームランで、初回一挙四点。
その裏、あたるも負けじと三者連続三球三振とわずか九球で初回を終えた。そしてついにやってくる決勝戦。
相手はあの一刻商である。三鷹、五代がプロ野球入団内定の速報がついこの間あった。だが、この2人がいないと言え、優勝候補の一刻商である。
もはや、友引高校の最大のライバル。この学校を倒さねば、甲子園は永遠にあり得ない。

PART5「新たな強敵」
「決勝まであと四日かぁ〜」
あたるは練習の休憩時間、冷水器の水を飲みながら、呟いた。
「今年は三年だから、負けるわけにはいかんなぁ〜」
あたるの後ろであたるが冷水器の水を飲み終わるのを待っている。タオルで汗を拭くと風が気持ちよく感じられた。
「今更何を・・・」
あたるは飲み終わるとコースケと共にグラウンドに向かう。スパイクがコンクリートの道にあたってカラカラと音とたてている。
「ちょっとそこのふたり・・・」
あたるとコースケは後ろから見知らぬ少し色黒の人に呼び止めれた。
「俺たちのこと?」
2人は揃って自分を指さした。
「他に誰がいるというんだ、ボケ」
初対面にしてボケと言われたら、誰でもムカッと来るであろう。2人は胸ぐらを二人して掴んで、いつでも殴れる体勢に入った。
「こらこら、初対面の相手に殴ることはないだろ!」
「なにをぬかすか!」(あたる、コースケ)
「まあ、落ち着け!今更出場停止になりたいか!」
2人は少し脅された気分になりながら手を離した。その色黒男は捕まれてしわくちゃになった胸ぐらを少しはたいた。
「して、おぬしは何者じゃ?」(あたる)
「おれ?」
「そう!」
あたるは強めの声で答えた。コースケは後ろで目を細めながら色黒男をにらむが、その男は鈍いのか、それとも神経が図太いのか、
何食わぬ顔で、へらへらしている。
「おれは、黒川 彰。一刻商のエースで四番」
「な・・・」
あたるとコースケは動揺しているのを見て、にやっとした。そして2人は呟いた。
「黒澤明・・・」
「黒川彰!映画監督じゃねえ!」
彰はあたるの耳を、思いっきり外側に引っ張り穴を拡げ、鼓膜が破れるぐらい大声でツッコミを入れた。
するとあたるも仕返しといわんばかりに彰の手を払いのけ、同じようにして
「やかましい!!」
と、叫び返した。

「で、なにか用か?黒澤明」(コースケ)
「黒川彰!」
2人はロードワークに行くと理由を付けて公園に彰を連れてきた。

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