時は夢のように・・・。「第三話(其の壱)」 (Page 7)
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カクガリ「俺たちはな、ラムさんが幸せに笑っていてくれればいいのだ! これ以上ラムさんから微笑みを絶やさないでくれ!!」
あたる「お前ら俺の話を聞かんか!」
メガネ「貴様に発言権は無ぁぁい!!」
 またしてもメガネに俺の発言は一蹴された。
 全く俺に耳を傾けようとしない連中に、少々馬鹿馬鹿しささえ感じてきた所だが・・。
メガネ「本題に移ろうか、あの娘・・そうミキちゃんと言ったな・・。お前の新しい彼女だ。」
あたる「へ?」
 なに? 今メガネが言ったのって・・。
 ワケが分からなくなってきた。メガネが言った『ミキちゃん』はパーマの彼女の事だろ?
あたる「ちょっと待てよ! それってパーマのか・・。」
パーマ「わあぁぁーーーーわあわあーーーうわあああわああーーーーーっっっ!!!」
 パーマの彼女だと言いたかったのだが、後ろからパーマが発狂した様に大声を出して、俺の声を掻き消した。
 そして、小さな声で俺を呼ぶのだ。
 パーマの隣に座って、ひそひそと声をひそめて話す。
あたる「どーいう事なんだ?」
パーマ「実はよ、昨日あれから二人で公園に行ったんだよ。そしたらメガネとはちあわせになっちまって、まさか俺の彼女だなんて言えな
    くて、つい『あたるの新しい彼女だ!』って言っちゃったんだよ。あたるに『掃除当番が終わるまで彼女の話し相手になってくれ
    と頼まれた。』ってさ。」
 ドゴンッ!
 俺は間髪入れず木槌をパーマの頭に振り下ろした。
 パーマはぐでっと気絶してしまったようだ、身体がピクピク動いている。
あたる「これで昨日のラーメン一杯はチャラだな。ラーメンじゃ安すぎるくらいだぜ!」
メガネ「パーマはお前をかばったんだぞ。浮気を知りながら我等に報告しなかった。パーマの気持ちも分からないでは無いのだが・・。
    罪を犯した者をかばうというのは、ラム親衛隊あるまじき行為だ。許されん! それも貴様なんかをかばうとは・・・なおもっ
        て許しがたい!」
 メガネが興奮している理由が、今ハッキリと理解できた。俺はてっきり唯の事でだと思っていた。でもそうじゃなかった、パーマの彼女
を俺の彼女だと思い込んでいるのだ。
 パーマの野郎、俺を替え玉のダシに使って犠牲にしやがったのか、チクるんなら正直にチクってくれよな、その方がなんぼかマシだ。
メガネ「俺たちの質問はこうだ、あたるにとって真に大切なのは、そのミキちゃんなのか、それともラムさんなのか・・だ。言っておく
    が、二人とも大切だなんて答えは通用しないからな。」
あたる「ぐ・・。」
 これはこれでヘビーな質問だ。俺にはミキという娘は全く関係ない、しかし、『ミキちゃんだ。』と答えたとしたら、メガネからラムに
話が伝わるだろう。そうなったら考えてだけでも恐ろしい大惨事になる事は必至だ。逆に『ラムだ。』と答えたら・・・、いや、それはそ
れで俺には抵抗がある。絶対言えない。
 沈黙は続いた。
 考え込む俺を静かに見つめていたメガネがニヤリと笑った。
メガネ「辛いか? 一人では答えを出せないだろう? では、素直に答えられるようにしてやろう。」
 メガネは振り向くと、チビとカクガリに向かって頷いた。
チビ・カクガリ「おうっ!」
 二人が俺めがけて突進してきたのだ。
 カクガリが背後に回って羽交い絞めすると、チビは足にロープをくくり、あっという間に身動き出来なくなった。
あたる「何すんだ! 放せよ!」
 ジタバタしてみるが全く動けない。
メガネ「同志よ! 後は頼んだ。」
サドヤマ「オスっ! ふっふっふっふ・・。」
 山の様な大男が不適な笑みを浮かべて近づいて来たが、恐怖は感じなかった。こいつ、サドヤマは拷問研究会代表だが、身体に見合わず
気が小さいのだ。サドヤマの拷問は馬鹿の一つ覚え、『くすぐり』だからだ。
あたる「なんだよ、またコレかよ。進歩しないのはお互い様じゃな。」
メガネ「おだまりっっ!! じゃ、私は教室に戻る。放課後までに答えを聞き出すのだ!」
 くそっ、メガネのヤツ、もしかして俺が答えられないの知っててこんな事やってるんじゃあるまいな・・?
 メガネがきびす返すとドアの方に歩いて行った。そして、ドアノブに手を伸ばした時だ。
 ドガアーーンッッ!!
 轟音と共にドアが吹き飛んだ。メガネも一緒にぶっ飛ばされたみたいだ。
 眩しいくらい光が入ってきて、クラクラしてしまう。
ラム「ダーリン見つけたっ!」
あたる「ラム!?」
チビ・カクガリ「ラムちゃんっ♪」
メガネ「ら・・ラム・・さん?」

 俺の今の姿を見たラムがちょっとばかりキレたのは言うまでもない。
 しかし、それほど大事にならずに済んだ。電撃で時計台が半壊したくらいだ。
 メガネ達は瓦礫に埋もれてしまった。

ラム「ダーリン大丈夫だった?」
あたる「助かったぞラム。よくここに居るってことが分かったな?」
 ラムはちょっとうつむいて恥ずかしそうに言った。
ラム「ダーリンの事は何だって分かるんだっちゃよ・・。」

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