時は夢のように・・・。「第四話」 (Page 5)
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面堂「直接には知り合うことがなかったはずの僕たちが、諸星を軸にして集まったわけだ。誕生日の祝いにふさわしい。」
 と、面堂は笑う。
パーマ「乾杯しようぜ、乾杯!」
 さっそく、パーマがビールのボトルを手に取った。しのぶは呆れ顔で、台所に走り、冷蔵庫からコーラのペットボトルをだす。
しのぶ「もうっ! しんじらんないぃ、いきなりビールだなんて。最初はジュースにしなさいよ、一応、未成年なんだから!」
 13個のコップに、コーラがシュウシュウと音を立てながら注がれる。
メガネ「今夜は我々の悪友、諸星あたるくんの誕生日に、お集まりいただき感謝するっ! せっかくの場ですので、あたるの誕生日だけでな
    く、こうして唯さんや沙織さんそれにミキちゃんといった、人と人との出会い、大いなる運命のめぐり合わせに、感謝の気持ちを
    込めて・・・乾杯したいと思うっ!」
 気がつけば、メガネがちゃっかり司会進行をやっていた。
メガネ「では、乾杯っ!!」
 グラスが、ガチャガチャと賑やかな音を立ててぶつかった。
しのぶ「お誕生日おめでとう、あたるクン。」
ラム「ハッピーバースデーっ! ダーリン♪」
唯「おめでとう! あたるさん。」
 次には、みんながそれぞれ持ち寄った食べ物を披露した。
 フライドチキン、ポテトフライ、サンドイッチ、カナッペ、サラダ、グラタン、タコス。それと数種のフルーツが、いっぺんに大皿に載
っている。
カクガリ「すっげーなぁ。」
 カクガリが皿を眺めて一言。沙織ちゃんは盛り付けを整える。
沙織「私が作ったのはフライドチキンとポテト。グラタンとサラダは唯とラムちゃんで、サンドイッチとタコスがしのぶちゃん、カナッペ
   がミキちゃんだよ。」
 ちなみにフルーツは面堂が黒メガネに運ばせたやつだ。なんでも一流のコックに作らせたんだって。果物なんて誰が切っても同じだろー
っての。ポテトチップスとかスナック菓子がメガネ達だ。
パーマ「あたる、このゲームお前のか?」
 テレビが置かれている台の中にあったテレビゲームを見つけて、パーマが声を上げた。
あたる「それはジャリテンのゲームだよ。」
チビ「へぇ〜、面白そうじゃん。」
パーマ「やろうぜ!」
メガネ「お前ら、今日はゲーム大会しに来たんじゃねーんだぞぉ。」
 メガネの冷静なつっこみで、俺たちは我にかえる。
沙織「男の子ってさ、すぐそういうの夢中になるよね。可愛いじゃない。」
 何気なく沙織ちゃんの言った言葉に、ギクッとした。唯にも子供っぽいって思われただろうか。彼女が俺を年下扱いしてくるのは、正直
、コンプレックスの原因でもある。
 唯ちゃんに聞こえたかな?
 俺はまわりを見渡して、唯の姿を探した。どこにいるのかと思えば、どうやら台所にいるみたいだ。
 台所の方から女の子達の賑やかな笑い声が聞こえたのだ。
「わぁーーっ、ステキぃーーっ!」
 台所で誰かが歓声を上げた。
 すると、ミキちゃんがパタパタと走ってきて、茶の間の戸をサッと開ける。
ミキ「テーブルに場所をあけてくれませんかぁ。」
 ミキがニコニコしながら声をかけた。俺達はテーブルの上を片付けた。
 唯とラムが、二人でゆっくりと大事そうに捧げ持って来たのは、イチゴがぎっしりと並べられデコレーションされたバースデーケーキ!
沙織「すごいでしょ。なんてったって手作りだよ! 夕べ、唯とラムちゃんがうちに来てスポンジだけ焼いてったの。ここで焼いてると、あ
   たるクンにバレちゃうからだって。」
 まさか手作りでバースデーケーキを焼いてくれるなんて思ってなかった!
 バースデーケーキの真ん中に、チョコレートのプレートにホワイトチョコレートで『HAPPY BIRTHDAY ATARU』って
書いてある。18本の蝋燭を立てて火を灯して、部屋の明かりを消した。
 蝋燭の暖かみのあるオレンジ色の炎で、みんながほのかに照らし出された。
ラム「ダーリン、蝋燭を消すっちゃ。」
 俺は大きく息を吸って、ぷーーっと一気に炎を吹き消した。
 ケーキを切ってみんなに取り分けたあとは、賑やかな宴会になった。
 みんなで持ち寄った料理が次々とたいらげられていく。
 宴会は進むにつれて、だんだんとテンションが上がってきた。
 そんな時、パーマが手を叩いた。
パーマ「ちょっといいかぁー、みんなぁ。そろそろプレゼント交換しようぜ。」
 すると、みんなはそれぞれに、プレゼントの包みを持ち出して、テーブルに載せた。
パーマ「よし、じゃあみんな立って、並んで円になってくれ。プレゼントは見えないように後ろで持って。」
 みんなはぐるりとテーブルを囲んで立って、パーマの合図で、くるくるとプレゼントを隣の人に渡し始めた。
あたる「おいおい、交換会ってどーゆーことだよ? 俺の誕生パーティーじゃないのかよ。」
 俺はパーマに詰め寄った。
 抗議もそっちのけに、目の前ではプレゼントの包みが行き交ってる。

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