時は夢のように・・・。「第四話」 (Page 8)
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ラム「でも、告白して、気分がスッキリしたっちゃ。心の中のモヤモヤが、消えた気がするっちゃよ。」
あたる「・・・・・。」
ラムの気持ちとは逆に、俺の心のプレッシャーは大きくなった。今度は俺が答えなきゃいけない番だから?
ラム「でもね、ウチはダーリン・・じゃなくて、諸星クンのウチへの気持ちは、まだ知りたくないっちゃ。」
あたる「えっ? なんでだよ? あれだけ聞きたがってたじゃないか。」
するとラムは、ちょっと寂しそうに、
ラム「どうしてかな・・、なんだか答えを聞くのが怖いっちゃ。答えは二つで、必ずしもウチが期待している答えが出てくるとは限らない
もんね・・。」
そのラムの言葉は衝撃だった。決意の表れに思えたからだ。
俺の答え一つで、二人の全てが決まってしまうような気がした。今度ばかりは、誤魔化せない。
あたる「ラム・・。」
ラム「だから、答えは、また今度聞きますっちゃ。」
ぺこりと頭を下げて、再び顔を上げると、ラムにはいつもの笑顔が戻っていた。
そして、俺の腕を取ると、
ラム「さあ、ダーリン。みんなが待ってるっちゃよ。カラオケ!」
あたる「う・・うん・・。」
ラムに腕を引っ張られ、俺はみんなの待つカラオケボックスに向かった。
そんなあたるとラムの様子を、遠くで見守る二人の姿があった。
沙織「うまくいったじゃない。きっとあの二人は大丈夫よ。」
唯「そうだね・・。告白で、あたるさんの心に少しでも変化が起きれば、成功・・よね。」
沙織は、唯のバイクの後部座席にまたがって、ヘルメットをかぶった。
沙織「さっ、カラオケに行きましょ。」
唯「よしっ、行こっ。」
唯もヘルメットをかぶると、バイクのエンジンをかけ、勢いよく走り出した。
俺たちは、カラオケで3時間、喉がカラカラになるほど歌いまくった。
そして、日付が変わるころ、「明日は水曜だから、あまり遅くならないうちにお開きにしよう」ってことで、俺たちは帰路についた。
あたるの部屋。
俺は自宅に帰ると、すぐ布団にひっくり返った。
ラムは部屋には帰って来ない。UFOで寝るんだって。唯ちゃんは先にバイクで帰ったから、もう寝ちゃってるかも。
布団にもぐってはみたものの、ラムの告白で頭がいっぱいになっちゃって、目が冴えてしまう。
ラムに告白してもらって・・俺は、嬉しい・・んだよな、きっと。
いろんな事が頭を巡って、その夜は、一睡もできなかった。
明け方になって、俺はうとうとしていたらしい。目覚まし時計で起きた時には、唯はもう出かけてしまっていた。
昨夜は気付かなかったけど、机の上に、小さな包みが置いてあった。カードを添えて。
『パーティーで渡せなかったプレゼントですっちゃ。
ハッピーバースデー、ダーリン。
ラム』
他には何も書かれてなかった。
プレゼントは、メタリックを基調にした、かっこいい腕時計だった。
これは・・・俺が前にラムと一緒にデパートに行った時、見つけて、いいなって言ってたやつだ。ラム、覚えててくれたのか・・・。
あたる「行ってきまぁっす!」
俺は慌しく支度すると、朝食もそこそこに、学校へ向けて駆け出した。
今すぐラムに会いたい、そんな気がしたからだ。
だから俺は走った。ラムにもらった腕時計をつけて。
エンディングテーマ:モノトーンの夏
第四話『はっぴいバースデーあたるさん。』・・・完
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