うる星やつら regain one's memory エピソード3 (Page 1)
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 §前回までのあらすじ§
 あたるはサクラに相談した後、帰宅途中でラウに何かを撃たれ、意識を失うが翌朝には、意識がもどり安心したのも束の間、ラムはラムの父より衝撃の事実をつげられる。

      エピソード3

ラム父 「ラム、気ぃしっかり持って聞くんやで」とラムの父は一言告げた後、話はじめた。
ラム父 「あの注射器の中に入っていた物は、ナノマシーンやった」父の言葉にラムが反応した。
ラム 「ナノマシーン?」と聞き返すと、父は
ラム父 「そや、ナノマシーンや。しかも厄介な代物や」と顔をしかめた。それに対してラムは
ラム 「どう言う事だっちゃ?」と、不安を隠せずにモニター越しに父に迫った。父は、
ラム父 「婿どのがお前を庇った言うとったな?」とラムに確認するとラムは
ラム 「うん」と短く答えた。それを聞いて父は
ラム父 「やはり、狙われたのはラム、お前やったんや」そう言うと続けて
ラム父 「あのナノマシーンはなぁ、わしら鬼族の能力を奪う物だったんや」とラムの顔を真っ直ぐ見て言った。ラムは、それを聞き
ラム 「と言う事は、もしダーリンが庇ってくれなかったら今頃ウチは・・・」と言うと、ハッと何かに気づいた様に
ラム 「じゃぁ、ダーリンは?ダーリンには影響ないっちゃ?」と父にすがる様に聞いた。父はそんなラムに
ラム父 「そこなんや、問題なのは・・」と表情を曇らせた。そして
ラム父 「そもそも、わしら鬼族と地球人とでは身体能力に大きな差があるさかいラムに対して作られたナノマシーンを地球人が受ければ、ただではすまんのや」と言った。それを聞いたラムは
ラム 「ただではすまないって、どうなるっちゃ?」と聞いた。それに対し父は
ラム父 「あのナノマシーンはやなぁ、人の神経回路に介入して、その人の脳内の電気信号を制御してまうんや。だから、もしラムの体内に注入されとったら電撃もつかえんし空も飛べん様になるっちゅう訳や」と父がそこまで言ったとき、ラムが
ラム 「でも、ダーリンは電撃も無いし空も飛べないっちゃ」と言った。それを聞いた父は
ラム父 「うむ、せやからそこが問題なんや、つまり婿どのにとってはわしらが倍の量のナノマシーンを打たれたのと同じ事なんや」と言った。ラムは、
ラム 「じゃぁ、ダーリンは、ダーリンはどうなるっちゃ!」と両目に涙をいっぱい浮かべ父に聞いた。父は
ラム父 「脳内のネットワークが段々遮断されていき、徐々に記憶を失って行くやろう。そして最後は・・・」とそこまで言って言葉を止めた。
 ラムは、あまりのショックに言葉が出なかった。しばしの沈黙の後
ラム 「じゃぁ、ダーリンはウチの事も忘れてしまうっちゃ?」と独り言の様につぶやいた。そして
ラム 「何か、何か方法は無いっちゃ?ナノマシーンを取り出す方法は!」と父に、問いかけた。父は
ラム父 「今、ナノマシーンに対するワクチンを生成しとるんやけど、ちょっと時間がかかりそうでのぅ」と申し訳なさそうに言った。それを聞いてラムは、
ラム 「そう・・・」と言って肩を落とした。それを見た父は
ラム父 「せやけどなぁラム、他の人間ならまだしも、あの婿どのや!そう簡単にお前の事忘れるとは思えへん。今は、信じて側にいてやるのがええんとちゃうか?」と言った。父の言葉を聞きラムは
ラム (そうだっちゃ、ダーリンがウチの事忘れるはずないっちゃ)と思い
ラム 「父ちゃん、ありがとだっちゃ。ウチ頑張ってみるっちゃ」と言ってUFOを飛び出し、あたるのもとへ向かった。
 あたるは相変わらずマンガを読んでバカ笑いをしている。それを見ていたテンが
テン 《このアホ、あんだけラムちゃん心配させといて呑気にマンガなんか読みくさって》と、小さな声でつぶやいた。あたるは、本を読む手を止め
あたる 「何か言ったか?」とテンに問いかけた。
テン 「別に何も言っとらんでぇ」と答え、心の中で
テン (ラムちゃんの為やから、我慢せな)と、ラムとの会話を思い出した。
ラム 『テンちゃん、ダーリンには昨日の事黙ってて欲しいっちゃ』
テン 『なんでや、ラムちゃん?あたるのアホ、あんなにラムちゃん心配させたんやどー』
ラム 『いいんだっちゃ、無事に目も覚めたし・・余計な心配かけたくないっちゃ』
テン 『せやけど・・・』
ラム 『とにかく、黙ってて欲しいっちゃ』
 テンは、ラムとの会話を思い出して
テン  (ラムちゃん、黙ってて言うたけど、ちゃんと言うた方がこいつの為やで)
 テンは、喉まで出かかった言葉を飲み込んだ。それに対してあたるは
あたる 「おい!ジャリテン!」と言うと立ち上がりつかつかとテンに近づき
あたる 「お前、何か隠してるだろ」とテンの頭を鷲掴みにした。
テン 「な、何を根拠にそんな事言うねん」と平静を保とうとしたが、それとは裏腹に明らかな動揺を見せた。それを見てあたるは
あたる 「根拠?そんなものお前の態度を見れば一目瞭然じゃ」と言い、さらに

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