うる星やつら regain one's memory エピソード10 (Page 7)
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 あたるは部屋を一回り見たが、今まで有った通路は全て無くなり、有るのは1つの扉だけだ。しかも、その扉の色は白に変わっていた。あたるは
あたる 「ラム・・・あんなに嬉しそうに」と言った。その時「あんさん、見かけによらず、やるもんやなぁ」と言う声がした。声の主は、もちろん夢邪気である。あたるは
あたる 「そうだ!夢邪気、今何時間経った?」と聞いた。すると夢邪気は
夢邪気 「今、12時間ちょとやな」と言った。それを聞いてあたるは
あたる 「て事は、残り8時間位か」と言った。夢邪気は
夢邪気 「扉の色も見事に白になったし、先に進みまひょうか」と言った。あたるは
あたる 「お前、ただ単にラッパが欲しいだけだろ」と言った。すると夢邪気は
夢邪気 「な、何言うてまんのや!わしは、あんさんに早うラムさんを目覚めさせて欲しいだけやがな」と言った。それを聞いたあたるは
あたる 「ほんまかいな?」と言うと扉の前に立ち、扉に両手をかけ、ゆっくりと扉を開いた。あたるは扉の中を見渡した。そこは、一面綿帽子の様な花の咲く丘だった。それは、あたるにとっては幻想的な景色にみえた。その丘の上に人影が見える。あたるは
あたる 「あれは・・・ラム?」と言うと、あたるはその人影の方に歩いて行った。近付くにつれて、その人影がラムだと言う事がはっきり分かった。ラムは、綿帽子の様な花を優しそうな顔で見てる。あたるが
あたる 「ラム・・・」と言うと、ラムはあたるを見て
ラム 「誰だっちゃ?」と言うと、再び綿帽子の様な花を見た。あたるは
あたる 「何言ってるんだ、ラム!俺だ!」と言った。ラムは、あたるを見ずに
ラム 「ウチ、知らないっちゃ」と言った。それを聞いたあたるは
あたる 「ラム・・俺が、分からないのか?」と言った。ラムは、何も言わずに綿帽子の様な花を見つめている。あたるは
あたる 「ラム・・・どうしちまったんだ・・」と言うと、後ろから「長い事、心に鍵がかかった状態やったから、その影響やろな」と言う声がした。声の主は、夢邪気だった。それを聞いてあたるは
あたる 「どう言う事だ」と夢邪気に聞いた。すると夢邪気は
夢邪気 「人の心っちゅうもんは、とても脆くて壊れやすいもんなんや。そやから、極度のストレスや外的要因でダメージを受けると自らを守る為に、大切な情報を保護しようとするんや」と言った。するとあたるは
あたる 「それが、この状態と言う事か?」と言った。夢邪気は
夢邪気 「今、ラムさんの心はかなり深い所にあるで」と言った。それを聞いてあたるは
あたる 「深い所?じゃ、このラムは?」と言った。すると夢邪気は
夢邪気 「そのラムさんは、いわば鍵やな」と言った。あたるは
あたる 「鍵?このラムが?」と言うと、夢邪気は
夢邪気 「さいでんがな、深い所にいるラムさんの心を呼び戻す為の鍵や」と言った。あたるは
あたる 「呼び戻すったって、どうすれば・・・」と言った。すると夢邪気は
夢邪気 「それは、わてにも分かりまへんな」と言うと、更に
夢邪気 「わては、ここに居ても何も役に立てへんし、反って邪魔になりそうやから外に出てますわ」と言うと、入って来た扉に向かった。するとあたるは
あたる 「おい!俺は何をすればいいんだ!」と言った。夢邪気はあたるに背を向けたまま
夢邪気 「心に語りかけられるのは結局の所、やっぱり心だけや。ラムさんの心を呼び戻すのは、あんさんの心だけやで」と言うと扉の向こうに姿を消した。あたるは
あたる 「心に語りかけられるのは、心だけ・・・」と言うと、頭を抱え
あたる 「あぁぁぁぁ、さっぱり解らん!」と言った。あたるは、再びラムを見た。ラムは相変わらず、綿帽子の花を見ている、まるで感情が無い様だ。あたるは、とにかくラムに語りかける事にした。あたるは、ラムの肩に手を置くと
あたる 「ラム!俺だ、思い出してくれ!」と言った。ラムは、あたるをじっと見ている。あたるは更に
あたる 「俺達、一緒に暮らしてるんだぞ」と言った。ラムは反応する事無く、あたるを見つめている。あたるは
あたる (くそ!どうすればいいんだ)と思った。ラムは、まるで人形の様に何の反応も示さない。あたるはとにかく、ひたすら語りかけるしか無いと思い
あたる 「俺と、お前の鬼ごっこ覚えてるだろう?」と言った。ラムは何の反応も示さない。あたるは
あたる 「なんでだ!俺と、お前の出会いだぞ!」と言って、ラムの目を見つめた。しかしラムの目はうつろで、あたるの声が届いているとは思えなかった。あたるは
あたる (これで、本当にラムの心に俺の言葉は届くのか?)と思った。

 その頃、現実世界では弁天達が、ランがあたるに持たせた小型マイクを通じてあたるの様子を伺っていたが、あまりに時間が長いので殆ど寝ていて、起きてるのは、しのぶ、お雪、錯乱坊の3人だった。ふと、しのぶが言葉を発した
しのぶ 「あたる君が眠ってから、そろそろ15時間くらい経つわね」と言った。するとお雪が

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