うる星やつら devil planet (Page 1)
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     うる星やつら
    devil planet
 あたるは食い入る様に雑誌をみている。その雑誌は求人雑誌だった。あたるはアルバイトを探していたのだ。
 「なかなかいい所がないなぁ」あたるは、そう言うと更に隅々まで注意深く見てみた。すると突然
 「ダーリン、そんなに真剣に何の本よんでるっちゃ?」と声が聞こえ、声の方を見るとそこにはラムが窓枠に座りながら、あたるの方を見つめていた。あたるは
 「うるさい、俺は忙しいんだ」と言うとラムに背を向けた。ラムは
 「なんだか怪しいっちゃ。ダーリン、みせるっちゃ!」そう言うと、あたるの前に回り込もうとしたが、あたるは器用にかわし、ラムはなかなか見られない。業を煮やしたラムは
 「ダーリン!いい加減にしないと電撃だっちゃよ!」と言った。あたるは、諦めると面倒臭そうに
 「しつこい奴だなぁ。そんなに見たけりゃ見せてやるよ!ほら」と言うと、ラムに求人雑誌を放り投げた。ラムは雑誌を受けとり
 「求人雑誌?ダーリン、アルバイトするっちゃ?」と言った。するとあたるは
 「あぁ」と言うと出掛ける支度を始めた。ラムが
 「どこかいい所があったっちゃ?」と言うと
 「まぁな」とあたるは答え、それを聞いたラムは
 「え?どんなアルバイトするっちゃ?」と言いながら、あたるの顔を覗き込んだ。しかし、あたるはラムの質問には答えず
 「と、言うことで俺は出掛けてくるのでよろしく」と言って部屋から出て階段を駆け下りた。もちろんラムは黙って行かせる訳も無く、あたるの後を追い
 「どうせ、またろくでもないアルバイトだっちゃ」と言った。あたるは
 (ラムのやつ、あんな事言ってるが俺に付いて来る気に決まっとる)と思い、勢いよく玄関を出ると猛ダッシュで走りだした。するとラムは
 「あ!ダーリン!逃げるって事はウチにバレたらまずいバイトだっちゃね!」と言いながら、慌ててあたるの後を追った。しかし、あたるの逃げ足は天下一品で、一瞬でラムの視界から消えてしまった。ラムは結局あたるを見失ってしまった。
 「もう、ダーリンったら。逃げ足だけは速いっちゃねぇ。いったい、どこ行ったっちゃ」ラムは独り言を言いながら、上空からあたるを探したが、一向に見つかる気配がない。一方あたるは、公園の植え込みに身を隠し、ラムが離れるのを待っていた。
 「未熟者め、この俺がそう易々と捕まる訳なかろう」あたるはそう言いながら、植え込みから出て、雑誌の切れ端を見ながらアルバイト先を見つけ始めた。あたるはラムに雑誌を渡す前に、素早くページを破っていたのだ。求人案内には親切にも地図が載っていて、あたるは難なくバイト先を見つける事ができた。そこは、まるでホラー映画に出てきそうな古ぼけた洋館だった。それを見たあたるは、スタスタと玄関ドアの前まで来ると、何のためらいもなくすぐ脇に有る呼び鈴を鳴らした。すると
 ギィィィィィ
と、重い不気味な音を立ててドアが開き、中からガスマスクの様な物を被った、これまた不気味な人物が
 「なに?」と言いながら、あたるの顔をマジマジとみつめた。
 あたるは、そんな出で立ちの人物を気にもせずに
 「求人を見て来たのだが……」と言った。するとガスマスクは
 「あ、助手をしてくれる人?」と言った。あたるは、そんなガスマスクの言葉に
 「助手?いったい何のバイトなのだ?」と言った。そんなあたるの質問にガスマスクは呆れる様に
 「ちゃんと求人読んだんかいな……まぁええわ。ざっくり言うと、実験の助手をやって貰うんや」と言いながら、中途半端に開いていた玄関ドアを全開に開き、あたるを中に入れた。あたるは、家の中を見渡しながら
 「実験とは、どんな実験をするんだ?」と言った。ガスマスクは館の奥に進みながら
 「なぁに、簡単な実験や。人の精神の反応を見る実験さかい」と言うと、地下に向かう階段を降り始めた。あたるはガスマスクの後をついて行きながら
 「なぁ」と、ガスマスクに声をかけた。するとガスマスクは
 「ん?なんや?」と足を止めずに答えた。そんなガスマスクにあたるは
 「俺の他にもバイトは居るのか?」と聞くと、ガスマスクは
 「あぁ、希望者はぎょうさん居るで。そやから、もう少しあんたの事を知りたいんや。それから採用するか決めよう思うてな」と言うと立ち止まり、振り返りガスマスクの奥でニヤリと笑った…………様に思えた。そんなガスマスクを見て、あたるは
 (なんか胡散臭いなぁ)と思ったが、バイトの金額が高額だった為気にしなかった。
 しばらく階段を降りると、重そうな鉄製のドアが現れた。ガスマスクはドアを開けると、あたるを促し中へと進んだ。

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