友引町を奪還せよ-act6- (Page 1)
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友引町を奪還せよ-act6-





友引高校正門前
何度壊れても次の日には何事もなかったかのように治っている不気味な学校である。あたる達は電柱やゴミ置き場の陰に隠れて、動く時を待った。
「お前達はここで待機し、俺たちが人質を連れてきたら保護しておけ」
ゴミ置き場の蔭にいるメガネはその他三人に言った。
「解った」
今度は電柱の蔭にいるあたると終太郎の方を見た。目が合うと軽くうなずき、向こうもまたうなずく。
メガネは手で行くぞと言うような合図をして慎重な足取りで正門に向かった。高校はしんとしていて中は電気がついている。
もうすぐ正月になろうというのに騒ぎがないのは何か違和感を感じた。
「パーマ、カクガリ、チビ。お前達はこの周辺の見張りをしてくれ。何かあったらトランシーバーで連絡しろ、わかったな?」
「了解!」
「散れ!」
三人はあらゆる方向に散った。四人は塀に身を潜め、静かに会話した。
「後は俺たち四人だけで戦うか・・・。覚悟は良いな?」
「当然」
「いま、友引高校内には別の班ができるだけ戦闘員を排除してくれていて、学校内には敵の幹部のみいると思われる。後は友引町を元に戻し、人質を助け出すだけだ・・・」
「では行くぞ」
そのとき高校内から放送のチャイムが鳴った。
「諸星他三名の諸君。私はこの事件の首謀者のものだ。以後宜しく。我々の目的は日本政府に身の安全の保証と最低限度の生活を求めている。
もちろん認めて貰った場合はその後悪さをするつもりはない。我々がもし母星の警察に捕まれば良くて懲役20年、悪くて無期懲役だ。そこで日本政府に頼み込むわけだが、
犯罪者の安全保障や生活を認めるはずがないと思ってな。このような行動を取らせて貰った。人質は殺さないつもりだが、政府の行動によっては殺しかねない。
しかしそれではそれであなた方に不利だ。そこで我々の用意した四人の戦いのプロとあなた方をこの学校内で勝負させ、先に四人全滅した方が負け。
我々が負けた場合は、素直に母星に戻り、刑を全うし、人質も無傷で帰すことも約束する。あなた方が負けた場合はこの町から出ていって貰う。
さらに長の娘であるラム様を連れてきて貰おう。ちなみに人質を盾にするような姑息なまねはしない。思う存分戦ってくれ。以上だ。何か質問は?」
「ない!」
猛々しい声で返事をする。
「では健闘を祈る・・・」
「健闘を祈るか・・・。やってやろうじゃねえか」
コースケはやる気満々である。右手で左手のひらをぱしっと殴った。
「だが、負ければラムさんがまた取られてしまう。気は抜けんぞ」
終太郎は深刻な声だ。刀をかちっとならした。
「ラムさんを守るためだ。死んだって勝ってやる」
メガネはずれた眼鏡をくいっとあげた。
「どっちにしろ、戦わねばならんのだ。いまさらなにをいっとる」
あたるの話した方向はメガネ達だが、視線は友引高校を見ていた。学校のシンボルと言うべき時計は十一時三十分を回っていた。
「行くぞ」
あたるは早足で昇降口へ向かった。そのうしろから三人がそそくさと早歩きでついてきた。ドアの前に来ると
「開けるぞ。戦闘準備だ」
と、あたる、コースケ、終太郎、メガネは腰にぶら下げてある空気銃を取りだし、安全装置をはずして発砲の準備をした。ぎぎぎぎと古そうな音が校舎内を広がる。
「じゃあ、一階を俺とコースケ、二階をメガネと面堂をそれぞれ頼む。落ち合う場所は二年四組の教室で・・・」
メガネと終太郎は目の前の階段を上っていった。
あたるとコースケは廊下を右の方に歩いていった。友引高校は見た目以上に広く複雑な形になっている。敵と遭遇するのは困難である。
「まずは職員室をあたってみるか」
二人は銃をいつでも撃てる体勢で慎重に歩いていた。出動したのは夜で今はもう真夜中である。町からは当然光はなく、文字どおり暗黒街ではあるが
校舎内は電気がついていいるため、多少は心強いが、それでもついているのは一部だけで歩いている内に又暗闇に入った。
あたるの持っている銃口は前を、コースケの銃口は後ろを向いていた。しばらく歩いてみたが、なかなか敵とは遭遇しない。
「ここだ」
あたる達の目線は職員室とかかれた札を向いている。あたるはそっとスライド式のドアを開けて、開いたドアからコースケが銃を向ける。
何もないことを確認すると銃を下げて電気を付けた。がたっと音がした。
「誰だ!?」
懐中電灯をその音の方に向けるとそこにいたのは、元担任の温泉マークであった。
「何をしとるんだ、お前」
「ん〜、ん〜」
温泉マークは口をガムテープで塞がれていて喋ることは出来なかった。何か焦っている様子だ。
「言いたいことがあるならはっきり言え!」
そんなことを言われてもどうしようもない。そのときあたるには殺気が感じられた。明らかに自分たちを狙っている、そう本能で読みとった。
「避けろ!」
コースケを押し飛ばしてあたるはさっと避けた。その瞬間、あたる達の立っていたところに青い光が飛んできて爆発した。

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