Welcome To Another World(Chapter 18&19) (Page 4)
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「う・・・うるせー!」
あたるはこう言い返すのがやっとだった。
「こらこら、あんたたち!式は明後日でしょうが!今からそんなことじゃ先が思いやられるわね!」
口論から喧嘩になりそうだったあたるとラムを、おばさんがうまくまとめた。
怒られた2人は面目なさそうな顔をしていた。
「ヤッホー!ラムちゃん、お・ま・た!」
そこに、先ほど買ってきたばかりのドレスを着たランたち3人が現れた。
「うわぁー!ラムちゃん、きれいーー!」
「ホント、お世辞じゃなく素敵よ、ラム」
ラムのウェディングドレス姿を見て、ランとお雪は思わず声を上げた。
「ありがとだっちゃ、ランちゃん、お雪ちゃん!ランちゃんのピンクのドレスも、
お雪ちゃんのブルーのドレスも、とってもよく似合ってるっちゃよ。あれ?そういえば弁天は?」
ラムはきょろきょろ見回した。
「いててててっ!おい、ラン!やっぱこの靴は痛くてたまんねーぜ!それに歩きにくいしよー・・・」
弁天は床に座り込んでつま先をもんでいた。
「弁天!ちょっと立ってみるっちゃ」
「こ、こうか?」
ラムに促され、弁天は痛いのをこらえて立ち上がった。
「わぁー。弁天、その真っ赤なスーツ、よく似合ってるっちゃねー」
「そ、そうか?まあ、何せ店を何軒も回って吟味して選んだからなあ」
ラムに褒められると、弁天は照れくさそうに頭を掻きながら返事した。
「でも、惜しいなあー。オレはてっきり、弁天様のスカート姿が初めて見られると思っていたのに・・・」
「じょ、冗談言うな!あ、あんなチャラチャラしたもん穿けるかよ!」
あたるにこう言われると、弁天はまた恥ずかしそうに答えた。その場にいた一同は笑った。
「ソレデハ皆サン、全員ソロッタヨウデスノデ、りはーさるヲ始メマショウ」
そこに金髪の神父が現れ、片言の日本語でラムたちにそう告げた。
「でもよ、リハーサルなんだから、わざわざ本番の格好しなくてもよかったんじゃねえのかな?」
弁天はリハーサル会場に入るときそう呟いた。
そして、翌々日、ついにラムとあたるの結婚式が挙行された。
「ぐすっ・・・ラムうーーー、きれいやでーーー」
黒いスーツに白のネクタイをしたラムの父はさっきからこの調子であった。
「もう、父ちゃんたら・・・今からそんな調子じゃ、披露宴でどうなることやら・・・」
ラムはあきれた様子でこう言った。
「あたる・・・あんたも立派になったわねえー」
着物を着たあたるの母も、息子のりりしい姿を見て、思わず涙した。
「母さん・・・」
あたるもそう言った。
「・・・ソナタタチハ、貧シイトキモ病メルトキモ・・・」
神父が長い決まり文句を言った後、誓いの言葉の場面になった。
「・・・らむ、汝ハコノ男ヲ生涯夫トスルコトヲ誓イマスカ?」
「・・・誓うっちゃ!」
「諸星アタル・・・汝ハコノ女ヲ生涯妻トスルコトヲ誓イマスカ・・・?」
「・・・・・・はい」
長い沈黙の後、あたるは答えた。
「デハ、指輪ノ交換ヲ・・・」
神父にそう言われると、2人はいそいそと指輪を交換した。
「デハ、誓イノ口付ケヲ・・・」
あたるはラムの顔を覆っているヴェールを捲り上げ、ラムの頭を抱えて自分のほうに引き寄せ、キスをした。
10秒・・・30秒・・・1分・・・2人はキスを止めようとしなかった。
「モウ・・・イイデスヨ」
神父にこう言われるまで、あたるはキスを止めなかった。ラムもそんなあたるを受け入れ続けた。
「ううう・・・ラムゥーーー・・・」
「あたるぅーーー・・・」
ラムの父とあたるの母はその光景を見てともに涙した。
「あんさん・・・」
「母さん・・・」
そんな2人を、ラムの母とあたるの父がそれぞれなだめた。
その頃教会の外の会場は、まだ披露宴開始前だというのに、たいそう盛り上がっていた。
「おい、おやじ!宴会じゃねーんだぞ!!そんなにがっつくんじゃねえよ!!みっともねえ・・・」
「何を言うか竜之介!こんなチャンスはめったにないのだぞ?お前もたらふく食っておけ!
あ、ボーイさーん。ワイン、おかわり!それと包みもねー。余った料理持って帰るから・・・」
「ハァ・・・ダメだこりゃ・・・」
竜之介の忠告など耳も貸さずに、竜之介の父は食いまくり、飲みまくった。
「うはーっ!こりゃホントうめえなー」
弁天も同じく食いまくっていた。
「弁天。まだ披露宴は始まってないんだから、ほどほどにね」
お雪は弁天に忠告した。
「いいじゃなぁーい、お雪ちゃん!そんなカタイ事言わないでさぁー。それよりお雪ちゃんも一杯どお?」
ほろ酔い加減のランは、気分よさそうにお雪にワインを勧めた。
「ラン、私たちは一応未成年なのよ。いくらめでたい場であったとしても、節度は守らなきゃ」
「ちぇー、つまんないの!」
ランはボトルをお雪から退けようとした。が、お雪はそれを止めた。
「ラン・・・私、飲まないなんて言ってないわよ」
お雪はそう言うと、ランの目の前にワイングラスを差し出した。
「ラムさぁーーーーん・・・・・・う、う、う・・・」
「かぁーーーっ、くそーーーーっ!」
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