Welcome To Another World(Chapter 18&19) (Page 6)
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「任せといてー!」
声援を送る因幡に腕まくりしてしのぶは答えた。
「レイさーん!ランちゃんたら絶対に取っちゃうからねー!次は絶対私たちの番にしましょー!」
「ブモ?」
この時のレイにはランの言っている意味がよく分かっていなかった。
「サクラー、よせよー!みっともないから!だいたいこんなの、何の根拠もないじゃないか!」
「何を言うか!よいか、つばめ、諸星とラムが友引町からいなくなることで、私たちの運気は上がるのじゃ。
われわれが結ばれる最大のチャンスなのじゃ!この千載一遇のチャンスを逃す手はない!!」
サクラが一番気合が入っていた。3人は競って前のほうに来た。
「まるでなんかの試合やな・・・」
その凄まじさに、テンは閉口した。
「みんなー!準備はいいっちゃー?」
「いいわよ!」
「OK!」
「いつでも来い!」
ラムに聞かれると、3人は大きな声で返事した。
「それじゃーいくっちゃよー。それーーーっ!」
ラムは空高くブーケを放った。3人はまるでバスケットのルーズボール争いのように競り合った。
しかしブーケはそんな3人をあざ笑うかのように、あさってのほうに飛んで行った。
「あっ・・・・・・」
なんとそのブーケは弁天のところに飛んで行った。彼女は反射的にキャッチした。
「えっ・・・?何?何だってんだ?」
弁天は自分の置かれている状況が理解できず、ブーケを手にしたままきょろきょろあたりを見回した。
「べぇーんてぇーーん・・・!!」
しのぶとランとサクラはものすごい剣幕で弁天に迫った。
「ななな・・・何だよ!?何だよその目は!?ア、アタイが何したってんだよ!?」
訳も分からぬまま、ひたすら弁明に終始した。
「何てことしてくれたのよーっ!!」
「おんどりゃあーー、ワシに何の恨みがあるっちゅうんじゃーーー!!」
「おのれ弁天・・・!!あっ!!こら、待て!!待たぬかーーーっ!!」
弁天は訳も分からぬまま脱兎のごとくその場を逃げ出した。その後をしのぶとランとサクラが追いかけた。
「まあ・・・!次は弁天がお嫁に行けるのね・・・」
逃げ回る弁天を見ながら、お雪はそう言った。
「そーかー。次は弁天様かー。でもラム、弁天様って、彼氏いるのか?」
「さあ?そういう話は聞いたことがないっちゃ!」
そんなこんなでてんやわんやだった披露宴兼送別式もついに終わり、いよいよ本当に別れの時が来た。
一足先にあたるとラムの両親がラムの父のマザーシップに乗り込んだ。
「あたる君・・・元気でね・・・お幸せに・・・もうガールハントなんかやっちゃダメよ・・・」
「あたるさん、いつかあなたたちが戻ってくると信じて、あなたとラムさんのいる友引町の未来、造り続けますからね」
「うわあたるう!ラムさん幸せにしなかったら、ラム親衛隊最高会議はキサマを処刑するぞー!!」
「諸星・・・オレはこんな時どんな言葉をかけたらいいのかよくわかんねえけどよ、とにかく、元気でな」
「諸星様・・・必ず戻って来てくださいね・・・そのときは面堂家一同で暖かくお出迎えいたしますわ」
「諸星・・・体に気をつけるのじゃぞ。くれぐれも無茶をするでないぞ。もうオヌシの体はオヌシだけの物ではないのじゃからな」
「諸星・・・立派な夫になれよ。ラム君を泣かすようなことはするなよ」
今日で地球を去るあたるに、もう会えないかもしれない地球人たちは名残惜しそうに様々な送辞を述べた。
「ありがとう・・・みんな。そして・・・さようなら」
あたるはみんなに手を振りながら、マザーシップの中に入った。その直後、マザーシップは上昇して一旦止まった。
「バイバイ・・・・・・わがふるさと、友引町」
あたるは窓の外を眺めながらそう呟いた。その直後、マザーシップはワープし、空から姿を消した。
こうしてラムたち宇宙人と諸星一家は、友引町から姿を消した・・・
Chapter 19 Epilogue−Welcome To Tomobiki Town−
あたる君、それにラム、お元気ですか?あなたたちが友引町を去って今年でもう8年ですね。
私ももう26になってしまいました。道行く子供たちから「おばさん」なんて言われるようになってしまいました。
それに対して、初めは「お姉さんと言いなさい!」と叱りつけていたのですが、最近ではそれもできなくなってしまいました。
そうなったのは、自分の子供が生まれたせいかな・・・女の子です。名前はひかると言います。
もちろん父親は因幡さんです。因幡さんは育児にも熱心で、おかげで思ったより早く職場復帰できました。
我ながら理想のデュークスなんじゃないかって思っています。あたる君たちにも子供はできましたか?
それはそうと、あなたたちが地球から去ってからは、友引町はめっきり静かな町になってしまいました。
変な事件が毎日のように起こっていたのが嘘のようです。
今はむしろ、そっちのほうが大変なことになっているかもしれませんね。
友引高校も、あなたたちや面堂さんがいなくなってからは、すっかり静かな高校になりました。
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