Welcome To Another World(Chapter 18&19) (Page 8)
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ランもついに念願だったレイとの結婚にこぎつけることができた。子供も生まれた。
女の子で名前はリンである。母親譲りのパッチリした目をしているが、角があるため空を飛ぶことができる。
ちなみにレイは怪力を生かし飯場で働いている。1人で5人分の働きをしている。
「なぜトンカツかと言うとー、このお料理は私が今のだんな様を射止めるきっかけになった思い出の料理だからという・・・」
この料理を実習のテーマにした理由を語る彼女のもとに、1人の男子生徒が近づいてきた。
「どうしたのかなー、片岡君。勝手に班を動いちゃだめよ・・・」
「先生、オレと、キャベツの千切りで競争しませんか?」
片岡のこの言葉を聞いたランは、一瞬戸惑った。
「・・・どうしたの?急に・・・」
「先生の家庭科の教師としての腕前がどの程度のものか、見てみたいんですよ」
この言葉にランはカチンと来た。
(このガキャアー、ええ度胸しとるやんけ。・・・まあええわ、ワシの腕前とくとさらして、驚かしたろ)
頭ではこう思っていたが、ランはその感情を押し殺し、あくまで笑顔で応じた。
「いいわよ。もし先生を負かしたら、あなたの成績は5をあげる!でも、先生が勝ったら、どうするの?」
「オレん家、中華料理屋なんだ。先生の家族みんなタダで招待してやるよ。食い放題・・・勝てたらね」
片岡は不敵な笑みを浮かべながら、そう言った。
「じゃあ、行くわよ・・・よーい、スタート!!」
ランのこの合図と同時に、2人の包丁がものすごいスピードでまな板を叩く音が部屋中に響いた。
一方ここは柔道場。ここで柔道の授業をする1人の教師がいた。
「よーし。今から乱取り稽古を始める!もしアタイから一本取れたら、そいつには体育の成績は5をやろう!」
そこには黒帯の柔道着を着た弁天の姿があった。弁天は瞬く間に多数の男子生徒を投げ飛ばし、最後の1人になった。
「黒岩・・・やっぱりお前がしんがりか・・・」
そう言った弁天の前には、身長190センチはあろうかという大男がいた。彼は柔道部主将で、もちろん黒帯である。
「先生・・・約束は守ってくださいね」
「柔よく剛を制す!柔道は体の大きさだけじゃできねえってことを、お前に教えてやる!!」
弁天はそう言うと、彼に向かって猛突進した。
「う・・・うわあーーーっ!!」
しかし、さすがは警察や軍隊から声がかかるほどの猛者である。彼は弁天を得意の大外刈りで一蹴した。
あまりに一瞬の出来事に、弁天は受身を取ることすらできなかった。
「まったく・・・いくつになってもしょうのない人ね。いくらあなたでも、相手は柔道部のキャプテンよ。敵いっこないわ。
あなたももう26なんだから、そんな無茶ばっかりしてたら、再起不能になるわよ」
ここは保健室である。1人の養護教諭がそう話すと、弁天の背中に湿布を張った。
「いてぇっ!!お、お雪ー!!も、もっと丁寧に貼れよなあ・・・!!」
養護教諭は、寿退職したサクラに変わって、お雪がなっていた。彼女も校内での男子生徒の人気は高い。
特に夏になると、涼を求めて生徒のみならず、教師たちまでも彼女のもとにわんさかとやってくる。
「黒岩君も、いくら体育教師といっても、相手は女性なんだから。少しは手加減してあげなさいな」
「す・・・すんません。成績が5になるって言われて、つい・・・」
お雪にこう注意されると、黒帯の大男は面目なさそうに顔を下げた。
「痛いよぉ・・・片岡君、痛いよぉ・・・」
「先生・・・オレが悪かったよ・・・本当に、ごめんなさい・・・だからもう泣かないで・・・」
保健室の外から、声がしてきた。保健室のドアが開いた。
「今度は何なの?・・・あら、ラン先生。どうなさったの?」
「先生・・・包丁で左の人差し指、切っちゃったんです」
痛みに耐え切れず泣き続けるランに変わって、片岡が説明した。
「まあ・・・それは大変だわ。急いで手当てしないと」
お雪は棚から薬を取り出し、傷口を消毒し、ガーゼを当てて包帯を巻いた。
「これでいいわよ。でも、河童の川流れとはまさにこの事ね。家庭科の先生が包丁で指を切っちゃうなんて・・・」
「お雪先生、実は・・・」
片岡はランと行った賭けについて話した。
「あきれた・・・まったく困った先生たちねえ・・・こんな先生たちに教わっているんじゃ、あなたたちも大変ね・・・」
お雪が片岡と黒岩にこう言うと、弁天とランは気恥ずかしそうに顔を背けた。
一方ここは購買部である。
「まいどありー」
竜之介は卒業後は本格的にここで働くようになっていた。渚も一緒である。
「ねえ、竜之介さまー。これ見て」
渚は竜之介を呼ぶと、旅行のパンフレットを見せた。
「なんでえ、こりゃあ・・・」
「オランダ旅行のパンフよ」
渚の言うとおり、それはオランダ旅行のパンフレットだった。
「そんなの見りゃ分かる。どうするんだ?」
「決まってるじゃない!行くのよ、オランダに!」
竜之介は渚の言っている意味が分からなかった。
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