時は夢のように・・・。「第九話」 (Page 7)
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 俺たちは招待状を係員に渡すと、席に案内された。
ラム「綺麗なところだっちゃ〜。」
 ラムが辺りを見渡しながら言った。
 ここは披露宴会場として実際に使われる部屋で、床や天井は、お洒落というよりか・・・豪華だ。
 天井に吊り下がったシャンデリアや、壁に掛かった電灯の光が、クリーム色の壁に色鮮やかに反射して虹色に輝いてたりする。
 でも、今は、部屋のコトにこだわっている場合ではない。バイキングの料理が待ってるじゃないかぁ。
あたる「さぁ〜って、腹ごしらえ腹ごしらえっと♪」
ラム「あっ、ウチもいくっちゃ。」
 俺たちは料理があるエリアまで移動すると、料理を一通り見渡して、狙いを定め、皿を取った。
 その時だった。俺たちの背後から声がした。
「いたいたぁ。おいあたる、やっぱりここにいたかぁ。」
 俺とラムはそろって振り返った。
 ニヤニヤ笑いながら、パーマと面堂が立っていた。
面堂「捜しましたよ、ラムさん。」
パーマ「メシ食いに行くなら、一声かけてくれりぁいいのによぉ。」
ラム「ごめんちゃ。ウチらもパーマさんたちを見つけられなくて・・。」
 ペコッと頭を下げた。
 パーマは、料理を見渡すと、
パーマ「すげぇー料理だなぁ。さっそく頂くとすっかぁ。」
面堂「ふーむ、僕がいつも食べてるのと同じですね。」
 唸るパーマを横目に、面堂が冷やかに言った。
 そして、各々、好きな料理を皿いっぱいによそって、席に着いた。
 ラムは、相変わらずスパイシーな食べ物ばかりをチョイスしている。面堂はあまり食欲がないのか、皿の上の料理は少ない。俺とパーマ
は皿一枚では足りなくて、二枚の皿に、まさにてんこ盛りってな具合だ。
 俺たちはそれらをペロリとたいらげて、何度も料理のコーナーとテーブルを行ったり来たりした。

 お腹が満腹になった俺たちは、二階に上がった。
 二階ではブーケとかドレスといった、新婦用の試着コーナーが設けられていた。
 ここではラムが瞳を輝かせて、俺たちはラムに引っ張られるように、後についていった。
 廊下を進むと、さっきの披露宴会場みたいな扉があって、その扉の横に、ウェルカムボードが飾ってあり、
ラム「『ウェディングドレス試着コーナー』だっちゃ〜♪」
 うきうきした表情で、ラム。
 扉をひらくと、披露宴会場くらいの大きさの部屋で、真ん中に赤絨毯が敷かれていて、赤絨毯の両サイドには、数え切れない程のドレス
が飾られていた。赤絨毯の突き当たりには、一段高くなったステージがあって、壁一面に大きな鏡が設置されていた。
 ステージでは、既に何人かの女の子がドレスを着て、鏡の前でくるくる回ったりしてる。
ラム「素敵だっちゃね〜♪」
 ラムの瞳が一段と輝きを増した。
 そんな時だった。
「お客様、よろしければ試着してみませんか?」
 係員のおばさんが、ラムに声をかけたのだ。
ラム「えっ?! ウチ、着てもいいっちゃ?!」
おばさん「ええ、もちろん。こちらで好きなドレスを選んで、試着室まで持ってきていただければ。」
ラム「ここから好きなだけ着られるの? ひゃっほ〜♪」
 ピョンと小さくジャンプして、きびす返すと、すぐさまドレスコーナーに消えていった。
 俺たちは、ステージの前に置かれていた椅子に腰かけた。
 ラムはあれやこれや、いろいろなドレスを俺のところに持ってきては、
ラム「ダーリン、このドレス可愛いっちゃね〜♪ こっちのも綺麗で素敵だっちゃよね?」
 どうして女の子って、服とかにうるさいんだろ?
 しばらく待った。
 ステージの、向かって左側の小部屋から、ドレスを着た女の子が現れると、ステージ前の男たちから歓声が上がった。
「すげぇ・・。」
「可愛すぎだ・・・。」
「モデルじゃないのか?」
「可憐だ・・・。」
 などなど。
 俺たちは、その言葉に大いなる期待を込めて、女の子に目を向けた。
「ダーリン、お待たせー。」
 そこにはラムが、純白のドレスをまとって立っていた。
 ドレスは、レースとピンクの刺繍で細かく細工が施されていて、スカート部分は腰の辺りからボリュームアップされて、ラムのくびれた
腰に絶妙なほど似合っていた。時期が時期だけに、七部袖タイプのドレスで、手にはレースで作られた手袋。ユリの花で作られたブーケを
持っている。
 頭にはシルバーのティアラと、小さな顔を薄く覆ったベール。ツノの部分には、小さな花が可愛らしく飾られていた。
 その姿を、俺はしばらく見とれてしまった。
 ・・・綺麗だ。
ラム「どうだっちゃダーリン? ウチのドレス姿、可愛いっちゃ?」
あたる「う・・うん・・。」
 あまりのラムの可愛さにドギモを抜かれた俺は、問いかけにも満足に答えられないほど動揺していた。
 ステージの上で、鏡を前にくるっと回って、ポーズを決める。
 そのたびに、男たちからタメ息がもれる。
面堂「とってもお綺麗ですよ、ラムさん。」
パーマ「ひゅーひゅーっ!! 最高ですよラムさーんっ!!」
ラム「ありがとだっちゃ〜♪」

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