時は夢のように・・・。「第九話」 (Page 7)
Page: 01
02
03
04
05
06
07
08
09
10
11
俺たちは招待状を係員に渡すと、席に案内された。
ラム「綺麗なところだっちゃ〜。」
ラムが辺りを見渡しながら言った。
ここは披露宴会場として実際に使われる部屋で、床や天井は、お洒落というよりか・・・豪華だ。
天井に吊り下がったシャンデリアや、壁に掛かった電灯の光が、クリーム色の壁に色鮮やかに反射して虹色に輝いてたりする。
でも、今は、部屋のコトにこだわっている場合ではない。バイキングの料理が待ってるじゃないかぁ。
あたる「さぁ〜って、腹ごしらえ腹ごしらえっと♪」
ラム「あっ、ウチもいくっちゃ。」
俺たちは料理があるエリアまで移動すると、料理を一通り見渡して、狙いを定め、皿を取った。
その時だった。俺たちの背後から声がした。
「いたいたぁ。おいあたる、やっぱりここにいたかぁ。」
俺とラムはそろって振り返った。
ニヤニヤ笑いながら、パーマと面堂が立っていた。
面堂「捜しましたよ、ラムさん。」
パーマ「メシ食いに行くなら、一声かけてくれりぁいいのによぉ。」
ラム「ごめんちゃ。ウチらもパーマさんたちを見つけられなくて・・。」
ペコッと頭を下げた。
パーマは、料理を見渡すと、
パーマ「すげぇー料理だなぁ。さっそく頂くとすっかぁ。」
面堂「ふーむ、僕がいつも食べてるのと同じですね。」
唸るパーマを横目に、面堂が冷やかに言った。
そして、各々、好きな料理を皿いっぱいによそって、席に着いた。
ラムは、相変わらずスパイシーな食べ物ばかりをチョイスしている。面堂はあまり食欲がないのか、皿の上の料理は少ない。俺とパーマ
は皿一枚では足りなくて、二枚の皿に、まさにてんこ盛りってな具合だ。
俺たちはそれらをペロリとたいらげて、何度も料理のコーナーとテーブルを行ったり来たりした。
お腹が満腹になった俺たちは、二階に上がった。
二階ではブーケとかドレスといった、新婦用の試着コーナーが設けられていた。
ここではラムが瞳を輝かせて、俺たちはラムに引っ張られるように、後についていった。
廊下を進むと、さっきの披露宴会場みたいな扉があって、その扉の横に、ウェルカムボードが飾ってあり、
ラム「『ウェディングドレス試着コーナー』だっちゃ〜♪」
うきうきした表情で、ラム。
扉をひらくと、披露宴会場くらいの大きさの部屋で、真ん中に赤絨毯が敷かれていて、赤絨毯の両サイドには、数え切れない程のドレス
が飾られていた。赤絨毯の突き当たりには、一段高くなったステージがあって、壁一面に大きな鏡が設置されていた。
ステージでは、既に何人かの女の子がドレスを着て、鏡の前でくるくる回ったりしてる。
ラム「素敵だっちゃね〜♪」
ラムの瞳が一段と輝きを増した。
そんな時だった。
「お客様、よろしければ試着してみませんか?」
係員のおばさんが、ラムに声をかけたのだ。
ラム「えっ?! ウチ、着てもいいっちゃ?!」
おばさん「ええ、もちろん。こちらで好きなドレスを選んで、試着室まで持ってきていただければ。」
ラム「ここから好きなだけ着られるの? ひゃっほ〜♪」
ピョンと小さくジャンプして、きびす返すと、すぐさまドレスコーナーに消えていった。
俺たちは、ステージの前に置かれていた椅子に腰かけた。
ラムはあれやこれや、いろいろなドレスを俺のところに持ってきては、
ラム「ダーリン、このドレス可愛いっちゃね〜♪ こっちのも綺麗で素敵だっちゃよね?」
どうして女の子って、服とかにうるさいんだろ?
しばらく待った。
ステージの、向かって左側の小部屋から、ドレスを着た女の子が現れると、ステージ前の男たちから歓声が上がった。
「すげぇ・・。」
「可愛すぎだ・・・。」
「モデルじゃないのか?」
「可憐だ・・・。」
などなど。
俺たちは、その言葉に大いなる期待を込めて、女の子に目を向けた。
「ダーリン、お待たせー。」
そこにはラムが、純白のドレスをまとって立っていた。
ドレスは、レースとピンクの刺繍で細かく細工が施されていて、スカート部分は腰の辺りからボリュームアップされて、ラムのくびれた
腰に絶妙なほど似合っていた。時期が時期だけに、七部袖タイプのドレスで、手にはレースで作られた手袋。ユリの花で作られたブーケを
持っている。
頭にはシルバーのティアラと、小さな顔を薄く覆ったベール。ツノの部分には、小さな花が可愛らしく飾られていた。
その姿を、俺はしばらく見とれてしまった。
・・・綺麗だ。
ラム「どうだっちゃダーリン? ウチのドレス姿、可愛いっちゃ?」
あたる「う・・うん・・。」
あまりのラムの可愛さにドギモを抜かれた俺は、問いかけにも満足に答えられないほど動揺していた。
ステージの上で、鏡を前にくるっと回って、ポーズを決める。
そのたびに、男たちからタメ息がもれる。
面堂「とってもお綺麗ですよ、ラムさん。」
パーマ「ひゅーひゅーっ!! 最高ですよラムさーんっ!!」
ラム「ありがとだっちゃ〜♪」
Page 6 Page 8
戻る
Page: 01
02
03
04
05
06
07
08
09
10
11