時は夢のように・・・。「最終話」 (Page 11)
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しばらくの間、俺は唯の影を追うように、その空間を見つめていた。
・・・ごめん、唯ちゃん。そして・・・ありがとう。
誰もいなくなった闇に頭を下げた。
俺は門を入って、玄関まで続く階段を見上げた。
さすがUFOをそのまま家にしてるだけあるな・・・。でかい・・・。
階段を上りながら、俺はそんなことを考えていた。
玄関までやってくると、俺はインターホンを押した。
こんなでかいUFO持ってるってことは、案外、金持ちなんじゃないのかな・・? ま、考えてみりゃラムだってUFO持ってるし、おユキさん
なんて女王様ってくらいだから・・・それは関係ないか・・?
やがて、家の中から反応があった。
『はぁ〜〜い♪ こんな時間にどなたぁ?』
正面のスピーカーが、不審そうな女の子の声を伝えてきた。俺は顔を近づけると、
あたる「俺だよ、俺! 諸星あたる! 夜分になんだけど・・・ちょっと開けてくれないかな?」
『だ・・ダーリン?! ちょ、やょっと待ってて!』
驚きの声の少し後、玄関周りの照明が、パパッと連続して灯った。
すぐに戸が開いて、逆光の中から現れた女の子は、俺を見て驚きの表情を作った。
ランちゃんである。今はピンクのパジャマで、髪もいつものふんわりボリュームアップではなく、スッキリと下ろしてた。
彼女は、俺を上から下まで見た後、どこか惚けたように、
ラン「ホントにダーリン・・・! でも、たしか京都にいるはずじゃ・・・?」
あたる「いやぁ、どうせ明日になったら帰ってたワケだし、フライングしても、どうという事も無いから。なにより・・・ラムがね。」
俺は頭を掻きながら苦笑い。マジに見られると、少し恥ずかしい。
ランちゃんは、口をOの形にすると、
ラン「や・・・やるやんけ! おまぁ見直したでぇっ。ポイント高いでホンマ! 信じらんなぁ〜い♪」
あたる「そ、そお? ウハハハ!」
照れ隠しに俺は必要以上に笑って見せた。
廊下から、細い人影が浮かび上がった、その時である。
影はいくらも歩かないところで様子を伺っていたようだが、すぐに俺だと気付いたんだろう、小走りで近寄ってきた。明かりのもとで露
になった虎縞ビキニを見るまでもなく、俺には、影が誰のものかわかった。
ラムである。
泣き腫らして真っ赤になった目で、彼女は驚愕の表情を作ると、
ラム「だっ・・・ダーリン!!」
あたる「よっ、迎えにきてやったぞ。」
俺は片手を上げて、ニヤッと笑った。
ラムは、明らかに戸惑っていた。
ラム「迎えにって・・・修学旅行は?」
あたる「バックレた。」
ラム「ど、どうしてっ?」
あたる「そりゃ、誰かさんが心配だったから。」
ラム「う・・・ウチが?!」
あたる「うーん、そうだな。そういう言い方は卑怯だから、困ってるラムを放っておく自分がイヤだったから、俺は帰ってきた、ってコト
にしよう。ま、俺のためだな。」
俺は胸を張って答えた。開き直ったのだ。
するとどう答えていいのかわからなそうなラムの隣で、ランちゃんが苦笑し、
ラン「フフフ・・・、なにそれ、そんな理屈聞いたコトな・・・。」
ラム「ランちゃんは黙っててほしいっちゃ!」
ラン「は〜い!」
親友を睨つけると、ラムは俺に目を戻した。
ラム「じゃ・・・ホントにそれだけのために?」
あたる「ま、他の理由は見当たらんな。」
俺は肩をすくめた。
ラム「もうっ、ダーリンたら子供みたいなことを・・・! せっかく楽しみにしてた修学旅行なのに・・・。」
あたる「ラムのいない修学旅行なんて、つまらんからなぁ。ラムだって内心じゃ、嬉しくて仕様がないだろ?」
俺は下からラムの顔を覗き込み、ニヤリと笑ってみせた。
ラムの顔が、急にクシャッと歪んだ。
胸に飛び込んできたラムを、俺は思い切り抱きしめた。
ラム「ダーリン・・・大好きだっちゃ!」
*
ランちゃんにお礼を言うと、俺たちは帰路に着いた。
家に向かう途中で、ラムは一つ一つ語り始めた。
ラム「ダーリン・・。ウチ・・・星に帰るかもしれないっちゃ・・。」
あたる「・・・それは・・・さっき聞いた。・・・唯ちゃんから。」
分かってたとはいえ、俺はタメ息をついた。
ラム「唯から? 絶対言わないでって、言ったのに・・。」
あたる「ばかやろっ! 早く帰ってこれたのも、唯ちゃんのおかげなんだぞ。唯ちゃんが京都まで迎えに来てくれなかったら、永久にさよな
らだったところじゃないか! それも一方的に、何も伝えずに、煙のように消えようとしてたんだろ? その後で、残された俺の気
持ちも考えてくれよ! いったい何が原因なんだ? 母星で何が起こってるんだ?」
頷くと、ラムは俺に話してくれた。
ラムの母星の鬼星がある銀河に、巨大な彗星が接近していることが判明した。ものすごい速さで今も接近していて、彗星の組成、スピー
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